朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)12月5日(土)放送。第10週「お姉ちゃんの旅立ち」第60話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:佐々木善春
最高視聴率25.8%を記録、絶好調で雨が降る「あさが来た」60話
NHKドラマガイド「連続テレビ小説 あさが来た」Part1 NHK出版

60話はこんな話


あさ(波瑠)がついに妊娠。九州から報を受けた加野屋一同は大喜び。とくに新次郎(玉木宏)の喜びといったらかなりのもの。ところが、あさはなかなか帰って来ない。はつ(宮崎あおい/崎の大は立)から母・梨江(寺嶋しのぶ)のつわりはひどかったと聞き、新次郎(玉木宏)は矢も盾もたまらず迎えに飛び出す。

雨と炎


あさの妊娠を知った日、雨が降る。
新次郎のジンクスは相変わらずで、ふゆ(清原果耶)に「嬉しいことがあると雨が降る」と話をする。だが、中庭をはさんで、新次郎の向かい側にいるふゆにとっては、どうやら悲しい雨のよう。

うめ(友近)だけは、ふゆの浮かない表情に気づいてたしなめる。
ふゆはその時、しゃがんで火を燃やしている。その後、うめは雁助(山内圭哉)になかなか消せない恋の炎の話を。なんとも文学的。
うめと雁助の間にも何かありそうで、気になる10週の終わり。

凛々しい新次郎


前半、こんなふうにしっとり見せておきながら、後半は、コミカルに。

母体を大事にしないといけない時にもかかわらず、なかなか九州から帰ってこないあさを心配する加野屋の人々。そして、ついに、新次郎が九州へ行くと宣言。
「八代目!」と弟・榮三郎(桐山照史)に許可を得るため呼びかけるところなんて、歌舞伎のような決まり具合だ。炭坑も加野屋も、メインキャストのほかに、働いている人たちがたくさんいてにぎやか。アンサンブルがたくさん出ている舞台劇みたいだ。

ところで、何かと新次郎と絡む芝居の多い桐山照史も、出番は少ないが、リアクションが軽妙で、飄々としたぼんぼん感を新次郎と少し似せようとしているのか、兄弟の空気が良く出ている。
突き詰めるとお父さん正吉(近藤正臣)のトーンが基調になっているようで、この親にしてこの子ありな感じがする。

新次郎とともに九州に向かうことになるうめと雁助が視線を交わし合うベタなところや、新次郎とうめの珍道中ぷりも挟み込んで、11週へーー。
10週の58話が、これまでの最高視聴率25.8%(ビデオリサーチ、関東地区)をとり、絶好調な「あさが来た」。
予告によると、11週は、めでたいことから大変なことまでエピソードがてんこもりの様子。昼ドラに負けるな(勝手に比較しているが、ご当人たちは全く意識してないかも)。
働くようになったとはいえ、相変わらず眼光鋭くあさを見ているサトシ(長塚圭史)の真意も、いよいよわかるのか。

(木俣冬)

木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから