96話はこんな話
五代(ディーン・フジオカ)を失い、しんみりしているあさ(波瑠)の元に、やってくる人たち。
謎の「月曜日のへいさん」(辻本茂雄)は、元大蔵省につとめていた山崎平十郎なる人物で、銀行経営の強い味方になってくれそうだ。
そして、和歌山にいるはつ(宮崎あおい/崎の大は立)が、10年ぶりにあさを訪ねてきた。
五代を語る
五代の後日談がまた泣ける。
美和(野々すみ花)は、五代の根っこは御武家さまだったと、言う。
じつのところ、商売はからっきしで、死んで残ったのは借金ばかり。若い人の面倒ばかり見て、薩摩出身のお役人にも気前よくお金を貸していたというのは、実を生かしているようだ。
「大久保(利道)様かてそうです。自分の蓄え増やすことなどいっこもかんがえんと、身を削って、お国のために働いて」
「みな、死に場所探してはるみたいに思われてな。」とか、「けど今頃、ふたりでようやっとほっとして、いまのニッポンで文句でも言いながら、お酒飲んではるんやないやろか。」とか、美和が意味深な台詞を担当している。
いまのニッポンに、五代みたいな人はいるだろうか、なんて思わせるような発言をした美和は、当初、新次郎のいい人なんじゃないか疑惑を担当していたのが、西洋ふうのカフェレストランを経営し、政治経済に関わる人物たちの集う場になっていくことで、五代のことや社会のことを見つめるようになり、結果、このように重要な話をすることとなった。
インテリへいさん
五代がいなくなっても、あさには、すぐに新しい救いの手が差し伸べられる。
元大蔵省、ドイツ留学の経験もあるインテリ・平さんだ。
「へい」しか言わないから「(月曜日の)へいさん」と呼ばれていたこの人物を、新次郎は「ほんまに、へいさんだしたがな」とのんきに大喜び。まったく、和ませてくれるおひとや。
はたして平さんは、これから、あさの銀行計画を助けてくれる人材になるのだろうか。
平さんもなかなかユニークなキャラクターのようだが、五代の穴を埋めるには、
もの足りない。
そこは、姉はつという強力なキャラクターを再登板させる。じつにみごとな戦略だ。
あさの子供時代役・鈴木梨央、再登場
あさにとっての課題は、娘の千代。
あさの子供時代を演じた鈴木梨央が千代役で再登場して、女の子らしくなかったあさと比べて、ドレスに憧れる女の子らしい子供の表情を鮮やかに演じ分けた。
あさは、おしゃれに興味がなく、千代を落胆させるという設定のようだが、いつもけっこうセンスのいいお着物をお召しなっているように思う。
とりわけ96話、縁側にて、三味線もった新次郎と語り合うシーンでの、ふたりの、淡い紫系の色によるペアルックは、かなりオシャレで素敵に見えた。
いよいよ17週からは、銀行編に突入? 衣裳もだいぶ変わりそう。
(木俣冬)
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