
95話はこんな話
明治18年(1885年)9月、五代友厚、死す。
涙、涙の15分
15分間、ほとんどの登場人物の瞳がうるうるしていた。
東京で療養生活を送るため、五代(ディーン・フジオカ)が大阪を離れることになった。
五代があさ(波瑠)に託したのは、凛々しく立つペンギンの写真。【泣きポイント】
このままかっこつけ過ぎたまま東京に(あの世に?)行かしたらあかん、と新次郎(玉木宏)は、あさを連れて五代に会いに商法会議所へ走る。
相当具合が悪いにもかかわらず、ソファで寝ている五代(靴も履いたまま)。部屋は大量の仕事の書類と、大量の薬。【泣きポイント】
「〜〜やっぱり、些細なほうの話を聞いておけばよかったって」と以前の会話を覚えている五代。【涙、涙、涙】
外で聞いている新次郎。
あさ「うちは、あなた様に道を照らしてもろうて、ここまで歩いてこれたんだす」
五代「道を照らしてくれたのはあなたのほうです」【泣きポイント】
はじめて出会った時のことから今に至るまでを思い出して、笑い合うあさと五代。
最初の出会い、年端のいかないあさから「それがニッポン男児のすることですか」と厳しく問いつめられた五代は、その言葉に多大な影響を受けた。以後、五代は何かとあさから刺激を受けていく。大阪のために身を粉にして働いたのは、すべて、あさの言動に感化されてのことだった。
「確かに歴史を変えてきたのは武士だったかもしれない。そやけど、それを支えて活力を与えてきたのはいつの時代も商人だったんです」と力説し、「大丈夫、私はまだまだ死にません」と力む五代。【涙】
五代「本当にまだまだなんです」【涙】
もうこのヘンから、ヤバ過ぎる。うるうるどころではない。目の中だけでは支え切れず、鼻まで水が下りてきた。溢れる涙は、これから仕事に行く視聴者には困りものだ。でも、まだまだこれから。
あさ「やっぱり前向いてはりますな。ペンギンはあなた様です」【涙、涙、涙】
あさがずっともっていた、五代の描いたペンギンの絵【涙、涙、涙、涙、涙】
子供の教本にペンギンが載っていたと、些細な話をするあさ。少年のように泣く五代【号泣】
部屋の外でじっと立っている新次郎【大号泣】
療養をはじめて一ヶ月後、五代が亡くなったというナレーション。
あさ「2度と追いつかれんようになってしまいました」【放心状態。今日、会社休みます】
95話の功労者は、美和(野々すみ花)。
五代の死が報じられた新聞を見て、おそろしいほどの虚無感を漂わせる。志半ばで倒れた五代の無念さを、彼女が全身で表していた。【翌日が土曜日で良かった】
それにしても、あの孤高のペンギンの写真、ほんとうに五代みたいだったなあ。
これからどうするんだろう、「あさが来た」。
(木俣冬)
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