良くも悪くも芸能界の話題の中心であり続けるジャニーズ。90年代にはSMAPに続く形でTOKIO、V6、KinKi Kids、嵐がCDデビューを果たしている。
今も第一線で活躍中の彼らのデビュー曲とその背景に迫りたい。

TOKIO『LOVE YOU ONLY』(1994年9月21日発売)


コテコテのアイドルソングだったTOKIOのデビュー曲『LOVE YOU ONLY』は、オリコン初登場3位。オープニング曲となったフジテレビ系のアニメ『ツヨシしっかりしなさい』は、平均視聴率18%と人気も上々。タイアップ効果もあって、累計売上50万枚超えはTOKIOの歴代シングル1位となっている。

デビューわずか3ヶ月での紅白初出場が話題となるが、何より目を引いたのが全身を純白で固めたボーカル・長瀬智也のコーディネート。
ノースリーブのロングコートにロンググローブ、ロングブーツながら、なぜかピッチピチの短パンというエキセントリックな出で立ちで、「ジャニーズらしさ」を強烈に印象づけた。
初期は何かと露出過多の衣装が多かったTOKIOだが、大人になるに連れシックな装いにシフト。だが、山口達也は未だにノースリーブの機会が多いようである。

オリコン初登場1位は、2001年5月発売の22作目『メッセージ/ひとりぼっちのハブラシ』でようやく達成となるが、TOKIOの魅力や人気はCDセールスを超越した部分にあるのは明らか。
深夜時代を含めて20年以上も続く看板番組『ザ!鉄腕!DASH!!』でのアイドルの枠を超えた奮闘ぶりもあって、一般層の支持が絶大なのは言うまでもない。

V6『MUSIC FOR THE PEOPLE』(1995年11月11日発売)


所属レコードレーベルがエイベックスとあって、デビュー記者会見を六本木にオープンしたばかりの「アジア最大のディスコ」ヴェルファーレで開催したV6。
デビュー曲『MUSIC FOR THE PEOPLE』も含め、当初のユーロビート路線はジャニーズに新風を巻き起こした。フジテレビ系『バレーボールワールドカップ1995』のイメージ曲だったが、これを契機にバレーW杯のイメージ曲はジャニーズが独占することに。

オリコン初登場3位、累計売上約50万枚の出足はTOKIOと同じで不安を募らせたが、2ndから6thまでは初登場1位を記録。

実は、現時点での最新作である45作目までで1度だけ4位になった以外は、すべて1~3位を記録しているのが凄い。根強いファンに支えられているグループなのである。

KinKi Kids『硝子の少年』(1997年7月21日発売)


『ジャニーズ関西組』、『W堂本』、『KANZAI BOYA(カンサイボーヤ)』など、様々な呼び名を経てたどり着いたデュオ名が『KinKi Kids』。
どれもジャニーズならではの超絶センスだ。今では馴染んでしまった感もあるが、『KinKi Kids』だって冷静に考えると相当に微妙なネーミングである。

ジャニーズ事務所がレコード会社『ジャニーズ・エンタテイメント』を設立し、その第1弾アーティストとして万全の態勢で売り出したが、その期待以上の活躍ぶりを早々に発揮。ノンタイアップながらデビュー初登場1位を記録し、3週に渡って首位をキープ。結果として、累計売上約180万枚のメガヒットとなっている。
アイドルソング、ユーロビートの次は、まさかのウェットな歌謡曲だったが、作曲した山下達郎によると、「ジャニーズの歴史を踏まえてイメージした楽曲」とのことであり、古臭さとダサさが混在するのは計算通りのようだ。

デビュー曲から現在に至る35作すべてが初登場1位でギネス記録を更新中という、とんでもない大記録を保持している彼ら。いつまで「Kids」なのか気になるところだが、事務所の大先輩である少年隊がアラフィフの今でも「少年」だから今のところ問題なさそうである。

嵐『A・RA・SHI』(1999年11月3日)


デビュー曲『A・RA・SHI』が、フジテレビ系『バレーボールワールドカップ1999』のイメージ曲なのは、前述の通りV6から続く路線である。
デビュー記者会見では「得意のスポーツはバレーボールか?」との質問に対して、櫻井翔が「みんなスポーツ全般得意だけど、特にバレーボールは得意ということでこの5人になったようですね」と営業トークをしていたのが印象深い。


時流に乗ったためか、曲の半分はラップが占める異色作となっているが、KinKi Kidsに続いて嵐もデビュー曲オリコン初登場1位を見事獲得した。
グループ名が曲名となっていることもあって一般的認知も非常に高く、嵐の代表曲となっている。
現時点でのシングル47作中、4曲をのぞいてすべてが1位。その4曲も3位以内と、好成績を収めているが、実はこのデビュー曲の累計売上約97万枚が最大のセールスであり、シングルでは一度もミリオンを達成していない。これは時代の流れだろうか……?

21世紀に入ってからもジャニーズの新たなグループが続々とデビューしているが、アラフォーの筆者にとって名前と顔が一致するのは今回紹介した4組まで。関ジャニ∞は苗字までは何とか。Hey!Say!JUMPやSexy Zoneに至っては、何人組かさえ分からないレベルだ。それだけに、90年代デビュー組には思い入れは深い。
「空中分解」に気を付けて、できるだけ長くアイドル稼業を続けてもらいたいものである。

(バーグマン田形)
編集部おすすめ