昨年(2015年)の夏、コンビニで売っている激辛フードを集め、レビューする記事を書いた。

2015夏のコンビニ激辛フード決定戦、この夏いちばん辛かった味は?

「激辛」を謳う商品がコンビニを席巻するのは、主に夏。
しかし、よく見てみれば、冬でもちょこちょこと辛さを売りにした新作は出続けている。そんなわけで今回は、年明け以降に見つけた「激辛フード in コンビニ」をレビューしてみたい。

前回同様だが、以下がだいたいのルールである。

「ピリ辛」などの辛みをアクセント的に利用している商品や、激辛レトルトカレー「LEE」(グリコ)のような定番は除いている。

辛さレベルは、★…1点、☆…0.5点で、5点満点とした。点数をつけている私の激辛センサーは、練馬の「麺処 井の庄」の激辛ラーメンをカップ化した「麺処井の庄監修 辛辛魚らーめん」(寿がきや)を★5、もっともノーマルなカラムーチョ「スティックカラムーチョ ホットチリ味」(コイケヤ)を★1と感じるレベルである。
なお、これはコンビニ商品限定の基準であり、店舗で提供される激辛料理はこの限りではない。

菓子/つまみ部門


ポリンキー 特辛めんたい味(湖池屋)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

ポリンキー生誕25周年を記念し発売された、辛さ10倍、たらこ風味2.5倍のスペシャルバージョン。元のめんたい味の辛さがあまり記憶にないのだが、「特辛」と言われたら食べるしかあるまい。
ルックスから言うと、まず通常のものよりも赤い。まぶされているめんたい粉末中の唐辛子の割合が多いのだろうか。とはいえ、所詮は甘めのポリンキー、大したことなかろう……と思いきや、意外にもそこそこ辛い。もともと辛いイメージが希薄なスナック菓子ゆえ、そのギャップからか、じっさいよりも辛く感じるのかもしれない。
甘辛でうまい。 ★★

辛バタピー(でん六)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

パッケージにどでかく「辛」の文字。裏を見れば「激辛風味がビールにピッタリ」とある。
ピーナッツの表面にしっかり味が付いていて、確かに酒が進む。しかし、バタピー自体の甘さも相まって、味の印象は辛いというより甘い。おいしいが、辛さを期待して食べるものではない。
 ☆

R-20俺の本気のわさビーフ(山芳製菓)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

「わさビーフ」のエクストリームバージョンとおぼしき商品。パッケージには「!! WARNING !!」も文字と共に「わさびの刺激が強いので、辛みが苦手な方は十分にご注意ください」との注意書きがあり、なんだかものものしい。
ポテトチップスとしては厚めな部類で、食べごたえあり。辛さは……ん、ぜんぜんわからないのだが、これは酒を飲んでいて舌がバカになっているからか? でも、パッケージには「お酒に合う」って書いてあるんだが。
あらためシラフの状態で食べてみたところ、確かに通常の「わさビーフ」に比べるとズシンとくる“わさび感”がある。「わさビーフ」からジャンク感を抜き、わさび部分を本格化したような味、とでも言おうか。

ウェブサイトによれば、「辛さ訴求だけではなく、わさビーフの本質ともいうべき『刺激と旨み』がさらに高まった味わいに仕上げました」とあり、そこまで辛さに特化しようとしたわけではない模様。そもそも、わさびと唐辛子では辛さの質がだいぶ異なるので、星付けはちょっと難しい……。 ★★

帰ってきた暴君ハバネロ(東ハト)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

世界一辛い唐辛子(当時)「ハバネロ」の名を日本に広げた立役者「暴君ハバネロ」が、2003年の誕生当時の辛さで復活!ということのようである。確かに、この大ヒット商品、一時は辛いスナックの代名詞的存在にまでのぼりつめたものの、以降は、パッケージに登場するハバネロを模したキャラクターはそのままに、ピリ辛系新作スナック菓子を作ってみたり、あるいはコンビニのプライベートブランドにラインナップされたりと、どんどん万人向け路線に舵を取ってきた経緯がある。この「帰ってきた〜」という名称には、当初のエッジの効いた方向に回帰するという宣言なのだろう。
袋を開ければ、リング状で、オレンジ系の赤みを帯びたあのおなじみの姿が登場。
食べてみると……うーん、あまり辛くない。食べ続けたらまた違うのではと続けて口に運ぶも、あまり印象は変わらない。これがオリジナル「暴君ハバネロ」のレシピで作られたものだとすれば、こちら側の辛さへの耐性がアップしてしまったからなのかもしれない。13年という歳月は、人を変えるのに十分な長さである。かつて辛いスナックのパイオニアとして一時代を築いた「カラムーチョ」が、今では辛さを期待して食べるスナックではなくなっているように、「暴君ハバネロ」も、辛さを体現するという役割をすでに終えているのかもしれない。 ★★☆

暴君ハバネロ・暴ポテト(東ハト)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

そんなことを思っていたら、こんな商品が出ていた。
パッケージにある、辛さの度合いを示した唐辛子マークの数もマックスを示し、蓋の「暴」マークもインパクト大。これは期待していいのではないか。
見た目は「ポテロング」系のスティックタイプ。暴ポテトとは、すなわち「棒ボテト」ということか。しかし食感は異なり、ポテロングが「サクッ」なら、暴ポテトは「ザクッ」。
食べれば、なるほど「帰ってきた暴君ハバネロ」よりは辛い。そして、食べ続けると、じわじわと辛さが蓄積していく。ただ……もっと辛いのを想像していたから、おいしいけど、ちょっと肩透かし。 ★★★☆

技のこだ割り 特辛とうがらし(亀田製菓)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

柿の種でおなじみ、亀田製菓。同社の煎餅「味のこだ割り」シリーズの辛いバージョンがこれ。基本となる「味のこだ割り」は、特製醤油だれで味付けした煎餅を割って不揃いな形にし、それをさらに特製醤油だれにつけ込み、割り口にまでたれを染みこませるという二度づけ製法で作られる。辛さのかなめとなる唐辛子「栃木三鷹」は、栃木の唐辛子専門メーカー「吉岡食品工業株式会社」が1955年に開発した辛味の強い品種とのこと。
ゴツゴツとした煎餅は、見た目通りのしっかりとした噛みごたえ。醤油の濃い旨みがバンと来た後、チリチリと唐辛子の辛味が追ってくる。だが、辛さはピリ辛レベル。しかし亀田の煎餅だけあって、さすがにおいしい。本当に辛いものが食べたければ、唐辛子をたっぷり表面にまぶした煎餅や柿の種を食べる方がよいだろう。 ★☆

カップ麺/カップスープ部門


日清のとんがらし麺ビッグ 激辛ジャークチキン味(日清食品)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

麺に唐辛子を練り込んだ、日清の「とんがらし麺」シリーズ中もっとも辛いとおぼしき商品。実物を見たことないので未食だが、他に「日清のとんがらし麺 うま辛酸辣湯麺」「海鮮のうまみを利かせた、うま辛なとんがらし麺」がある。ただ、同社のウェブサイトを見る限り、「激辛ジャークチキン味」が辛さマックスの「5辛OVER」表記なのに対して、他は3辛、4辛なのでひとまず省しても問題はないだろう。
普通にお湯を入れて3分待ち、最後に付属の「超絶激辛オイル」を入れる。これがいわゆるラー油のような赤系ではなく、ごく薄い黄色っぽい油なのだが、食べるとちゃんと辛い。確かに、刻まずホールのまま乾燥唐辛子をオイルに漬け込むと、そこまで色もつかないから、「赤さ=辛さ」とは一概に言えないのだろう。
ちなみに、ダイレクトにくる辛さはスープによるものなので、正直、麺に練りこまれた唐辛子の辛さがどの程度のものなのかはわからなかった。とはいえ、今回食べた中ではもっとも辛い部類だ。ちなみに、麺もスープも同社の「カップヌードル」の延長上にある味なので、辛い即席麺にたまにある「辛いが不味い」というガッカリ感はなく、安定の美味しさであった。 ★★★★

四川料理しびれ王 しびれる四川火鍋ヌードル(アライドコーポレーション)
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?

火鍋スープ+フォー(米麺)。
最大の特徴は、名称に「四川」「しびれ」と付くように、花山椒のインパクトにある。真っ赤なペーストが付属しているため、一見唐辛子系の辛さがメインかと思いきや、最後に加える花山椒粉末が全体の印象を全てもっていってしまう。食べれば食べるほど舌が麻痺していく快感は、山椒好きにはたまらないだろう。「しびれ」という点においては、即席ものの中では最高レベルなのでは。
しかし、味がちょっと苦手というか、どうも深みに欠けるのである。パクチーも入っているし、しびれも強烈なのだが、なんとも惜しい。これで「スパイスキッチン トムヤムクン フォースープ」(日清食品)くらいのコクがあれば、頻繁に手に取ったはずなのだが……残念。 ★★☆(唐辛子的な辛さ)/★★★★(しびれ系の辛さ)

総評


冬にも激辛を謳う商品はある。しかし、やはり全体的に小粒感は否めない。これだと、突然辛いものが食べたくなってコンビニに飛び込んだ時、「LEE」「辛辛魚らーめん」などの定番を選んでしまいそうである。ただ、四川料理しびれ王 しびれる四川火鍋ヌードルのようなエッジの効いた新顔の登場は嬉しいし、これなどは鍋の季節である冬ならではの激辛商品と言えるだろう。

というわけで、また春にも激辛新作商品がたくさん登場した時は、レビューしてみたいと思っている。

なお、この原稿をエキレビ編集長に送った翌日、コンビニに寄ったら、さらなる激辛新商品を発見。しかも、スルーすることのできないレベルのものばかりである。そのため、急遽追加で記事を書くことにしたので、ご興味のある向きはしばしお待ちを。
(辻本力)