2002年の初夏。FIFAワールドカップがわが国にやってきました。当時の興奮や熱狂をどう表したらいいか、正直難しいところです。
オリンピックと同等、いやそれ以上に世界中を熱狂させ、権威のある大会が自国で開催されるという、空前絶後の体験。1993年のJリーグ発足から同年のドーハの悲劇、1998年のW杯初出場、2001年のコンフェデレーションズ杯準優勝と順調な成長を見せる日の丸ブルーに、国民のサッカー熱が上昇していたこともあいまって日本中が浮き足立っていました。
きら星のごときスタープレイヤーを擁する各国のナショナルチームが来日し、様々な国のフェィペインティングをした外国人が自分の生活エリアに入ってくる……。未体験過ぎる非日常にワクワク半分、戸惑い半分といったムードが漂っていたのを覚えています。

空前のワールドカップ熱が生んだ2人のスター


この浮かれた雰囲気をメディアは増長させました。NHKだろうが民放だろうが、ニュースだろうがバラエティだろうが、朝だろうが夜だろうが、常にワールドカップ・W杯・World Cup……。街に出れば様々な広告が目に入り、商店に入ればタイアップ商品が勢ぞろい。ほとんどサブリミナル効果のように、国家総動員&挙国一致的イメージを植え付けられました。

そうしてある種のトランス状態になった多くの国民にとっては、渋谷のクラブでハイになった黒ギャルが「何でもいいから、早くノレる曲流せよ」と求めるように、ワールドカップ関連で盛り上がれるなら、もはや何でもよかったのでしょう。そこにタイミングよく表れたのが、ハリウッドスターのような容姿端麗のスタープレイヤーでイングランド代表キャプテン、デビッド・ベッカムです。大衆は、待ってましたとばかりに飛びつきました。