女優の中谷美紀が、エッセー「大草原の小さな農家」(幻冬舎文庫刊)を6月11日に発売する。このほどスポーツ報知などの取材に、今年で10年を迎えた日本とオーストリアの二拠点生活への思いを語った。

 ドイツ人ビオラ奏者で夫のティロ・フェヒナー氏と暮らす、オーストリアの大自然での生活をつづったエッセー。2016年のフェヒナー氏との出会いや、18年の結婚をきっかけに同国と日本を行き来している。

 現在は早朝に起床し、自らつなぎを着て畑仕事に精を出すことも日常茶飯事だ。「夫や自分の仕事の関係で都会(の自宅と郊外の自宅)とのハイブリットではありますが、当時ここまでの田舎暮らしは覚悟はしていなかった。でも運命のいたずらから10年、老後は自然や春夏秋冬と共に暮らすのもいいなと思うようになりました」と軽やかな笑顔を見せる。

 夫妻が暮らすのは同国の大草原にたたずむ“ポツンと一軒家”。100年を超える歴史を持つ家屋や庭を手入れする日々を送り、「夫は家の修理や電気工事まで何でも自分でするんです。自分たちで床板を張ると真っすぐじゃなかったりするけど、それすらもチャーミングに見える。“不完全の美”を楽しんでいます」。

 2拠点生活により女優業のペースをセーブすることに「当初は、必要とされなくなる不安はあったかもしれない」と回想しながらも、人生観には自然と変化が生じていった。

 「(若手時代は)労働時間が月500時間を超えるのが当たり前のように育ってきて、勤勉でなければならないとずっと思ってきた。けれど、仕事をするために生きているのではないし、仕事は生きるためにするもの。

もっと日常を大切にしたいなと思うようになりました。余暇を後ろめたく思う必要がない考えが根付いたヨーロッパの暮らしから、学ぶことは多いですね」

 同書では、ご近所付き合いから得た発見や知恵もつづられ、ゆくゆくは「エネルギーと水と食料の自立」を掲げている。日本でも地方移住への関心が高まっており、“中谷流・田舎暮らしのススメ”にヒントがありそうだ。(奥津 友希乃)

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