「OK、ヤローども、最後の出航だーー!」

遂にこの日が来てしまった……。
5月1日のライブをもって充電期間に入るKAT-TUNのラストライブ当日。

上田竜也、中丸雄一、亀梨和也の3人に会えるのに、10周年を祝福したいのに複雑な気持ち。油断すれば涙が出る……。こんな状態で会場に向かったのは初めてだ。

4月3日のナゴヤドームを皮切りにスタートした「KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR“10Ks”」。20日の京セラドーム大阪、ラストを飾る東京ドームは、追加公演の29日から5月1日の3日間に渡って行われた。

KAT-TUNとハイフンの熱気がすごい最終日


亀梨が脱退メンバーに感謝「KAT-TUN」充電前のラストコンサートレポ
グッズには10年分のツアーロゴが散りばめられている。メンバーの声で起こしてくれるアラームクロックは、会場で公開録音したセリフが入る。最終日分は亀梨のキスの音が入る予定。

として販売された銃のペンライト。KAT-TUNらしい。


東京公演一日目。「アンコールに賛同を!!」と書かれたチラシがファンから配られた。「『パン!パン!KAT-TUN, パン!パン!KAT-TUN』で統一して叫びましょう!」と、コールの仕方やハイフン(KAT-TUNファンの呼び名)も一つになろうという旨が書かれていた。光沢の用紙にメンバーカラーをグラデーションしたカラー印刷。どれだけの枚数を用意したのだろうか。

最終日、開演前のKAT-TUNコールは本当にすごかった。
特に5分前からは声が大きくなり、約5万5千人が集まる会場でかなりの人たちが手を叩いていた。

暗転すると、悲鳴のようなものすごい叫び声。銃の形をしたペンライトの灯りで、真っ赤に染まった東京ドームのメインステージに3人が登場。
てっぺんにKAT-TUNと掲げた巨大な船のセットにぴったりな『GOLD』からスタート。

「ヘイ!ハイフン、目に焼き付けてけ!」亀梨に続いて、上田が叫ぶ。
「OK、ヤローども、最後の出航だーー!」

揃うだけが芸じゃない、個性的すぎるKAT-TUN


3日間で最もすごい熱気。3人の歌とダンスがいつもに増して激しい。
MCで中丸が一言。「声、出るんじゃん」

3時間で29曲を披露したが、中でも釘付けになったのが『MOON』。3人が横並びでスタンドマイクを使って歌うはずが……。

和の情緒あふれる楽曲にあわせて、マイクスタンドには着物地のリボンの装飾。マイクとして扱う中丸をよそに、上田はスタンドを肩に担いで強引に奪うような仕草。亀梨は上から下へ撫でるように腰を落とし、スタンドを押し倒して顔を埋める。
ひとしきり撫で回してから上体を起こし、顔を眺めるように先端の方へ視線を落とす。
「ぎぃやぁぁぁぁぁ」
思わず声が出た。亀ちゃんエロすぎ!でも、いい!
マイクスタンド相手にここまでやるか。

東京ドームをつかいこなすKAT-TUN


KAT-TUNらしさといえば、ド派手な演出もその一つ。デビュー当時から自分たちで演出を考えてきた。10年分の経験は伊達じゃない。

巨大スクリーンには楽曲と連動した映像、会場を交差する無数のレーザー、照明に反射してキラキラと輝く紙吹雪。
メインステージの端から端までつながる噴水は、天井に向かって噴出したりウェーブをしたり。炎は激しく燃え、爆音と共に火花が散る特殊効果。規制ギリギリと思われる演出で、天井まで使うのがKAT-TUNのライブ。

充電期間前のラストシングル『UNLOCK』の演出は全部入り! 噴水があがったかと思えば、上下から炎、大きな音を立てて火花が散る。ラストまで歌いきるかと思いきや、高まったところで音を止める。
3人の足音でリズムを取ると、V字の花火があがりレーザーが交差して一気に元の興奮状態へ戻す。
10周年で全部入りを披露しちゃって今後の演出に困らないのか……。

6人の名前を呼んで感謝…肩を組む3人


本編のラストは『君のユメ 僕のユメ』。デビュー曲を手がけたスガシカオが10周年の記念ソングとして書き下ろした。

『UNLOCK』の激しさから一転、白のロングジャケットに着替えた3人。8本ほどの光が天井まで伸びるセンターステージで歌った。デビュー曲の『RealFace』とは対極のバラードだ。
歌い終えるとメインステージにつながる花道を進む。大きなセットに向かって歩いていく姿は、未来を意味しているようだった。

今回はバックダンサーをつけずにKAT-TUNの3人だけがステージに立ち、ファンと一緒に過ごす時間にした。3日間とも天井席と呼ばれる上階の、隅の隅までペンライトの灯りが見えた。

「最後に、僕たちKAT-TUNは、K亀梨和也、A赤西仁、T田口淳之介、T田中聖、U上田竜也、N中丸雄一。この6人が集まらなければKAT-TUNというグループはもしかしたらなかったかもしれないし、抜けていった3人にもしっかりこの歩みを感謝したいと思います」
亀梨はUとNの時に、両サイドにいるメンバーを見ながら話し、最後に「ありがとう」と深くお辞儀をした。

脱退の度に、真っ先にマイクを向けられてきた亀梨。言い回しを変えれば名前を挙げずに伝えることもできたはず。デビュー当時から「自由にやりなさい」(パンフレットより)と言われてきたとあるが、きっちりとけじめをつけなければ前に進めないのがKAT-TUN。はっきりと口に出したのは、3人で11年目を迎えるにあたっての一つの区切りに思えた。

「個々それぞれ何ができるかしっかりと探して成長するために戦いつづけます。一緒に戦ってください」
口数が多い方ではない上田。先日放送された特番のマラソンで激闘の末に1位をとってグループ、ファンへの想いを姿勢で見せた。
「充電期間を話し合いで決定した時もやっぱちょっとどこか納得できない部分が心の中であったんですね」
中丸はこの2日間、気丈に振る舞っていたのか、ラストは誰よりも泣いた。今後も公式サイトで発信すると、ファンとのつながりを考えていた。
亀梨が脱退メンバーに感謝「KAT-TUN」充電前のラストコンサートレポ
「オフィシャル・ピアノ・スコア KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY BEST 」

亀梨の挨拶が終わると、上田が泣いている中丸に近づいた。そこへ亀梨も加わる。メンバーの前だから見せたような泣き顔の中丸がちらっと見えた。最後にもう一度3人で肩を組んでから、それぞれの立ち位置についた。

「人も携帯電話も時には充電が必要」
コンサートグッズで充電器を販売する自虐ネタを投下したKAT-TUN。何があってもユーモアを忘れちゃいけないといわれているようだ。

泣いて笑って叫んで、また泣いて…忙しない3時間だったけれど、ドラマチックなライブを見せてくれて10Ks!
We are KAT-TUN!
(柚月裕実)