JUN SKY WALKER(S)のメンバーとして活動し、それ以外にもゆずなどのプロデュースやソロ活動等、音楽の世界で幅広く活躍中の寺岡呼人さん。そんな寺岡さんに今回、プロデュースや人気ライブイベント「Golden Circle」についてなど、様々なお話を聞いてきました!

JUN SKY WALKER(S)への加入と脱退


寺岡さんはJUN SKY WALKER(S)のデビュー一カ月前、前ベーシストが脱退したことがきっかけとなり、ジュンスカに加入することになりました。
「上京した弟が通っていた学校の先輩が、まだデビュー前のジュンスカメンバーだったんです。

それで後に自分も上京した際、他につてもなかったので、弟の先輩であるジュンスカをよく見に行っていました。そうして、どんどん親しい関係になったこともあって、デビュー直前に僕に白羽の矢が立ちました」
寺岡呼人が語るプロデュースと「Golden Circle」と新アルバム『COLOR』

ジュンスカの一員として活躍していた寺岡さんですが、1993年にJUN SKY WALKER(S)を脱退。この理由を次のように語ります。
「バンドを始めてから自分で曲作るようになったり、1991年にソロツアーを行ったりするうちに自我が芽生えてきました。もっと色んなことをやりたいと思った時に、30歳からでは遅いということで、25歳で脱退しました

寺岡呼人が語るプロデュース術


そしてソロ転向から4年ほどが経った1997年。ゆずのプロデュースを担当する機会に恵まれました。
「現在のゆずの事務所社長が、ジュンスカ時代にプロデューサーだったのがきっかけでした。
当時、なにも実績がない僕に声をかけてくれて。ゆずもストリートで活動していたので、そういう感じが分かる人の方が良いと思ってくれたのかもしれません」

ゆずがデビュー直後にブレイクしたこともあり、当時の雑誌では「名プロデューサー」と取り沙汰されていた寺岡さん。しかし、「職業としてプロデュースをやっている感覚はあまりない」とも発言しています。これはいったいどういった真意なのでしょうか。
「プロデューサーには色んなパターンがあると思います。たとえば、小室さんやつんく♂君のように、あるフォーマット、"自分印"のものがあって、そこに色んな人を乗っけていく方法もあります。

でも僕は、逆にその人に"乗っかる"感覚だったので、その人のキャラクターなどを話し合いで探って『こういうのはどう?』と提案していました。そういう意味では、あまりプロのプロデューサーっぽくないなと」
寺岡呼人が語るプロデュースと「Golden Circle」と新アルバム『COLOR』

また、寺岡さんのアレンジ方法は、ある名プロデューサーの影響を受けているそうです。
「ジュンスカ時代、最後に担当してくれたプロデューサーが故・佐久間正英さんでした。佐久間さんは一期一会というか、その曲をアレンジするときまでなにも考えず、機材の前に座って初めてバーンと行うやり方です。そこに影響されている部分はありますね。最初から完成形を考えて行うのではなく、その時の空気感でやるというスタイルです

ところで寺岡さんといえば、ソロとしても活躍中。
プロデュースは影から支える形、ソロは自分が全面に出る形と、それぞれ真逆のようにも思えますが、寺岡さんは「その2つでは特に線引きはない」と語ります。
「ずっとソロとプロデュースを続けているので、今やそれも自分のひとつの特徴になっている気がします。自分のことをやるから分かることだったり、他の人のことをやるから自分に還元されることがあったり、割とこの2つのバランスは自分の中で大きい気がしますね

寺岡呼人が語る「Golden Circle」


また、寺岡さんは人気ライブイベント「Golden Circle」の主宰としてもよく知られています。「Golden Circle」といえば毎回、上の世代では加山雄三さんや松任谷由実さん、下の世代ではback numberやゆずなど、幅広い世代の人気アーティストが一堂に会することでもお馴染み。なにか人を集める、巻き込む秘訣などはあるのでしょうか。
「これが全然ないんですよね(笑)。イベントやるために、サラリーマン的な営業や接待も自分はできないですし。
ただ、当たって砕けろというか、『こういう方とこんなことがやりたい』という願望をぶつけて、たまたま良い答えを頂けているという感じです」

そして「Golden Circle」では、色んなアーティストが自分の持ち歌以外の、様々な曲を披露することも印象的です。どのように披露される曲は決めているのでしょう。
「もちろん、その時その時でバラバラです。しかし、リスペクトする方々の曲を『こういう感じで歌ったらいいかな』という自分のイメージがあって、それをどこまで膨らませられるか、という部分は一つの大きなポイントとしてありますね

桜井和寿と2人で行う「Golden Circle Vol.20」


いつもの「Golden Circle」では、幅広い年代の人気アーティストの共演が目立ちますが、7/5、8/2に開催を控える「Golden Circle Vol.20」では、同世代の盟友・Mr.Childrenの桜井和寿さんと2人で行われることが発表されています。
20回記念である今回、なぜ寺岡さんと桜井さん2人だけという形になったのでしょうか。
「自分が知っている人たちに出演してもらうのはある意味、ピークを越えた部分がありまして(笑)。なかなか次に広げるのが難しいなと。
また、本末転倒なんですが、最近のライブブームなどの影響で、ブッキングする前に会場を押さえないといけないという事情もありまして。
でも、その状況をもっと逆手にとれないかなと思ったときに、ちょうど桜井とは付き合って25年ということもあり、その中で共作した曲などを一夜で振り返るのも面白いなと思ったからですね
寺岡呼人が語るプロデュースと「Golden Circle」と新アルバム『COLOR』
「Golden Circle Vol.20」寺岡呼人 OFFICIAL WEBSITEより

ところで、付き合って25年という寺岡さんと桜井さん。親交を深めるきっかけはなんだったのでしょうか。
「自分の後輩が渋谷の『ラママ』で行うライブを見に行った際、対バンの相手がデビュー前のMr.Childrenだったんです。ポップな曲をやっていたり、声もすごく特徴的だったりで、当時のバンドブームの中では非常に異質な、なんか気になるという感じでした。
そして'91年にソロツアーを行うにあたり、『あのヴォーカルの彼、来てくれるかな』と思って後輩に連絡してもらったら、二つ返事で『行きたいです』と言ってくれてからですね」

寺岡呼人が語る新アルバム『COLOR』


そんな寺岡さんは、8/3に新アルバム『COLOR』を発売予定です。前作『Baton』から4年ぶりのリリースとなるこのアルバムを制作するにあたり、ビートたけしさんの言葉に影響された部分があるといいます。

「あるとき、ビートたけしさんが『清貧』という意識が昔あったと話していました。これはどういう状況にあっても、幸せは見つけられるというものです。
経済成長以降、より良い家に住むのが幸せとか、どんどん価値観が変化していますが、今こそ日本人が昔持っていたこの価値観を歌にできないかと思いまして。それをそれぞれが持った色(=COLOR)として、表現することができました。それらの色でこの地球を彩っていくという感じにしました」
寺岡呼人が語るプロデュースと「Golden Circle」と新アルバム『COLOR』
ニューアルバム『COLOR』

また、本作に収録される曲は大喜利のように作っていたとも振り返ります。
「最初にこういうテーマで曲作りたい、というのが思い浮かべば半分曲は出来上がったようなものですね。たとえば『カンフーボーイ』(新アルバム『COLOR』に収録)というタイトルが浮かんだら、曲調とかは深く考えずに、大喜利のように一気に曲をつけていく、といった感じでした」

寺岡呼人が目指すものとは?


最後に今後の抱負についてもお伺いしました。
「自分たちはレコードビジネスのピークのときに仕事を始めました。しかし今後、CDを買ってライブに行く、というサイクルが大きく変わろうとしている過渡期だと思います。だからCDを作って報酬をもらうという形で飯を食うのは、相当難しくなっていくのではないでしょうか。
ただ、音楽自体は絶対なくならないし、必要とされるはずなので、その中で自分たちはどう表現していくのか。使命とかは全く思わないですけど、積極的にそういう場所があったら切り開いていきたいなと思っています

■ニューアルバム『COLOR』
発売日:2016年8月3日
CD: PECF-3169/税込価格3,300円(税抜3,056円)

収録曲:
01. キャッチボール
02. COLOR
03. 秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー
04. もったいない
05. 蜜蜂
06. カンフーボーイ
07. 最初の男
08. 檸檬
09. ブランコ
10. ライフイズビューティフル
11. バトン feat.桜井和寿 (Bonus Track)

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