
9話中4話くらい主人公がクビだけ
3話かけてやっとクビだけ状態から復帰した前話の奮闘も空しく、アグニはまたしてもクビだけにされてしまう。ユダはアグニの息の根を止めようと、クビだけのまま海に沈める為、新キャラのサイモンとイワンを連れて久しぶりに列車を動かして旅に出ることになった。
意外だったのはアグニの事を気にも留めてないような素振りを見せていたルナが、たくさんの人数を引き連れて列車に乗ったこと。そして、国一番の英雄と呼ばれるサイモンにも敬語を使われていて、年齢が130歳だったこと。再生の能力者は年を取らないということなのだろうが、問題はそこではない。
130歳という年齢からわかるのは、ユダはルナではないということだ。ルナがもし生きていたとしたら年齢は20歳そこそこのはず。アグニとルナの幼少期の描写も過去にしっかりと存在する為、「ルナとユダは二人で一つの存在なのだ!」とか「水、空気、太陽、ルナ、この世の全てを総称してユダと呼ぶ」のような何かしらのファンタジー設定が上から乗っからない限りは同一人物である可能性は0だ。
そっくり設定をどう活かすか?
主人公に近しい人物とそっくり設定のキャラクターが出て来た場合、普通だったら種明かしは主人公の前で行うものだ。「じゃあお前は一体誰なんだ!?」とか「くっ!わかっちゃいるけど、ルナと同じ顔の奴に攻撃なんて出来ない!」など、主人公側に様々なドラマ性を持たすことが出来るからだ。逆にいない所で種明かしされても何も起きることはない。そっくり設定が無駄になってしまう。
では、なぜアグニがいない所でユダがルナではないということを明かしてしまったのか?それはおそらくもう一つ意外な真実が隠されているからだろう。
考えられるのはこの二つのパターンだ。
アグニとルナは、ユダの子孫
顔も似ていて再生能力を持っている為、血縁関係にある可能性はあるかもしれない。年齢差から考えると、ひいひいひいひいおばあちゃんくらいだろうか?ユダはその事を全て知っていたという可能性もありそう。
顔が似ているのは単なる偶然で、本当はルナが生きているのを隠すためのミスリード
こっちの方がこの作者らしい。第1話で衝撃的な死に様を見せたルナが実は生きていたという展開は、面白いが読者に予想されやすい。なのであえて似ている人物を登場させて目線をそっちに逸らし、この後ルナ復活再登場という展開を用意しているのかもしれない。
そしてもっと謎に包まれているのが、映画大好き少女トガタだ。わかっているのは部下がいてそれなりに偉い事。ベヘムドルグが敵だという事だけ。レリゴーレリゴーとイワンにレイプをけしかけたり、編集者のアオリにありのままのという言葉を使ったりと、アナ雪を連想させて氷の魔女だという事を暗に示しているが、これもまたミスリードくさい。
列車に忍び込み一波乱起こしそうな展開だけに、6月27日の次話で少しは正体がわかりそうだ。
(沢野奈津夫)