事実を元にした作品をドキュメンタリーと呼ぶが、脚色・演出が施された、事実と虚構の入り交じった作品のことを、フェイク(擬似)ドキュメンタリー、または「モキュメンタリー」と呼ぶ。

最近では、テレビドラマでも『バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』『山田孝之のカンヌ映画祭』(ともにテレビ東京系)など、しばしば見られるようになってきた。


モキュメンタリーをメジャーな存在にした作品


そもそも、そのルーツはどこにあるのか。その手法自体は古くからあるものだが、モキュメンタリーを一躍メジャーな存在にしたホラー映画がある。
99年公開、6万ドルという超低予算ながら、全世界興行収入2億4050万ドルという記録的ヒットとなった『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』である。

なぜヒットしたのか?


伝説の魔女「ブレア・ウィッチ」をテーマにしたドキュメンタリー映画を撮影するため、3人の学生がビデオカメラを持って森に入ったまま、消息を絶ってしまう。1年後、彼らの撮影したビデオが森の中で発見され、それをそのまま映画化した、というのが本作の設定である。
ただし、そのビデオを最後まで見ても、彼らが巻き込まれた怪奇現象の全容は謎のままであり、見る者はモヤモヤした感覚を抱くこととなる。

実際には脚本が用意され、役者もオーデションから選んだフィクションなのだが、モキュメンタリーとして宣伝された。ただし宣伝の際、物語の核心部分を隠した手法を取ることにより、イメージだけが膨らみ、「本当にヤバイらしい」といった口コミ効果を加速させることに成功した。
暗くてブレまくる画面も、見る者を映像酔いさせる反面、リアルさを際立たせる要因となった。

ヒットに便乗した作品が頻出


ヒット後、『ブレアウィッチ2』『チュパカブラ・プロジェクト』など、「ブレア・ウィッチもどき」の映画が頻出したが、そもそも本作が「一発ネタ」的な性質が強かったため、残念ながら二番、三番煎じ感は否めなかった。
その一方で、07年には『パラノーマル・アクティビティー』が大ヒットし、新たなモキュメンタリーの潮流が生み出された。

そして映画公開から17年が経った2016年冬、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の正式な続編となる『Blair Witch』の公開された。期になる方はぜひDVD等でチェックしてみてはいかがだろうか。
(青木ポンチ)

※イメージ画像はamazonよりバイプレイヤーズ ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~ DVD BOX(5枚組)
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