近年はAKB48とその姉妹ユニットを立ち上げた総合プロデューサーとして知名度を誇る秋元康。彼は80年代には、おニャン子クラブというアイドルグループのプロデュースを手がけていたことでも有名だ。


少女漫画の原作も担当した秋元康


作詞家として「女の子に歌わせる歌」を書くエキスパートとしては名高い(たまに炎上もするが)秋元康だが、プロデュース業や作詞だけでなく、少女漫画の原作を書く仕事もしていたことは知られているだろうか? しかも、『りぼん』と『なかよし』という、少女漫画の二大巨塔ともいえる雑誌でだ。

その少女マンガというのが、『あずきちゃん』と『ナースエンジェルりりかSOS』という作品。どちらも雑誌連載のみならずTVアニメ化され、小学生女子を中心に人気を集めた。

『あずきちゃん』には刺激的シーンも?


『あずきちゃん』は、秋元康が原作を手掛け、作画は木村千歌が担当した漫画。講談社の少女漫画雑誌『なかよし』に1992年から1997年まで連載されていた。
「あずきちゃん」と呼ばれている小学5年生の主人公・野山あずさが、転校生の小笠原勇之介にひと目惚れし、その恋愛模様を描いた作品だった。クラスメイト、先生、両親の視点も組み込まれ、全体的にほのぼのとしたムードに包まれているものの、小学生同士のデート、告白、キスなどが描かれているため、刺激的だと捉えていた大人も当時多かったのではないだろうか。
見た目も普通、成績や運動神経も平凡な家庭の女の子で、ちょっとおっちょこちょいで素直なヒロインというのは、AKBにも受け継がれる秋元康的理想の女の子像もひとつという気もする。


シリアス路線だった『ナースエンジェルりりかSOS』


一方、『ナースエンジェルりりかSOS』は、秋元康原作、池野恋作画の漫画で、人気少女漫画雑誌『りぼん』(集英社)に1995年から1996年まで連載されていたもの。
池野恋は当時の『りぼん』を代表する漫画家であり、本作が連載される前は、今も人気の高い名作『ときめきトゥナイト』を連載していた。
『ナースエンジェルりりかSOS』は、森谷りりかという「どこにでもいる普通の」小学4年生の女の子が、もう1つの地球「クイーン=アース」の戦士カノンから、地球侵略をたくらむ「ダークジョーカー」と戦う「ナースエンジェル」としての使命を託されるという設定だが、なかなかにシリアス路線のストーリーで、アニメ化の際には視聴者層の小学生がついていけなくなったりもしたようだ。

小室哲哉とのコラボも実現!


原作者とは言っても、『ナースエンジェルりりかSOS』において、秋元康は「戦う看護婦」(※当時の表現)や「クイーン=アースとダークジョーカーの名前」という概念のみを発案しただけで、詳細な設定は作画担当の池野恋が考案したという。
ちなみにアニメ版の主題歌は、秋元康の詞と小室哲哉の曲のコラボになっているのも見所だ。

現在も様々なヒットを生み出し、「こんなかわいい曲をこんなおじさんが作っていたのか!」という衝撃すら与え続けている秋元康。その手広い活動は少女漫画にまで及んでいたことを、48グループのファンならずとも味わってみても面白いかもしれない。

(空町餡子)

※イメージ画像はamazonより秋元康の仕事学 ( )