長い歴史の中では99年にフジテレビ系、2011年に日本テレビ系と2度に渡ってアニメ化されている。最初のフジテレビ版は、休載が多すぎる原作に追い付いてしまう形でやむを得ず放送終了。後にOVAで「グリードアイランド編」までを補完した人気作品である。
実は、このフジテレビ版がミュージカルになっていたことをご存知だろうか?
アニメファンが支えた! アンコール公演を行うほどの人気に
このミュージカルの最大の特徴は、アニメの声優本人が各々のキャラを俳優として演じていること。そう、アニメファンにとっては最大の問題、「声のイメージ違い」と言うギャップがないのである。
当時のフジテレビ版アニメは土曜日夕方6時半からの30分枠で、平均視聴率は9%ほど。後期は2桁台もキープしていたのだから、時代背景的にはかなりの好成績である。
第1作のタイトルはズバリ『ミュージカル HUNTER×HUNTER』。まったくのオリジナルストーリーではあったが、2000年12月~01年1月に掛けて新宿スペース・ゼロで全14回の公演を開催。熱狂的ファンに支えられる形でチケットは即日完売となり、約6,500人の動員を集める大人気公演となった。
コンビニ完全予約限定で発売したDVDが完売するほどの人気を受け、01年夏には再演も行っている。
抜群の歌唱力、役者顔負けのアクション!
やはり声優さんが演じているだけあって歌唱力は抜群。さらに、戦闘シーンも役者顔負けのハードさ。意外と言っては失礼だが、見応えある作品に仕上がっている。
主人公「ゴン」を演じているのは竹内順子。後に同じくジャンプアニメ『NARUTO』で主役の「うずまきナルト」を演じたことでも有名だ。軽快なアクションと小柄な身体にみなぎるパワー、ゴンとのシンクロ率の高さは特筆ものである。
メインクラスで注目なのは、戦闘狂の奇術師「ヒソカ」。演じるのは、洋画吹き替えでもお馴染みの高橋広樹。豊富な舞台経験もあってか、華のある演技で劇をリードしている。時々、KABA.ちゃんに見えてしまうのが難点だが、細身の長身といい佇まいといい、こちらもかなりのシンクロ率だ。
ヒソカの念能力「バンジーガム」の設定が、強制的にダンスシーンになだれ込むように使われるなど、演出面でも重宝する美味しいキャラである。
原作ファンも納得! 2作目にはゾルディック家が総登場
筆者イチ押しは、02年8月に第2作として公演された『ミュージカル HUNTER×HUNTER ナイトメア・オブ・ゾルディック』だ。
原作にあった、ゴンたちが「キルア」に会うためにゾルディック家を訪ねる「ククルーマウンテン編」がベース。なので、個性豊かなゾルディック家の面々も総登場している。
見せ場は、父「シルバ」と祖父「ゼノ」がヒソカと対決するシーン。シルバ&ゼノは連続バク転からのバク宙を披露するなど、とんでもなく高い身体能力を披露。
とりあえず、シルバの人はプードルみたいなカツラを除けば、ガタイのデカさも含めて貫禄十分で完璧である。
チョイ役である、オタクな兄貴「ミルキ」と素顔が見えないメカニカルな母親「キキョウ」も原作再現度が高く、ファンならにんまりすること請け合いだ。
評判が芳しくない3作目
04年8月には『リアルステージ HUNTER×HUNTER A Longing for Phalcnothdk ~蜘蛛の記憶~」も公演となっている。こちらは、ミュージカルだった前2作と異なり、ストレートプレイだ。
熱狂的ファンの多い「幻影旅団編」だけに、その思い入れの強さがアダとなったか、前2作が好評だっただけにハードルが上がりきってしまったのか、ともかく評判は芳しくない。とりあえず、筆者的には「パクノダ」「マチ」「シズク」たち女性キャラが可愛かったぐらいしか、評価すべき点がないのが残念である……。
(バーグマン田形)
※イメージ画像はamazonよりミュージカル HUNTER×HUNTER [DVD]