年末年始、どんどん冷えていく日本列島。

温かい食べ物が恋しくなるが、逆に暖かい部屋でこたつに入りながら冷たいものを食べてもとても美味しい。
実際に冬場のアイスクリームの売り上げはなかなか良いという。
それと同じように、冬にはあつあつの熱燗もいいけれど、お鍋をつつきながらきゅっと冷たい日本酒、というのもなかなか粋なものだ。

昨今では、ロックで飲む日本酒がはやっているそうだ。
氷を浮かべて、ウイスキーや焼酎のように楽しむ日本酒。とうとう「ロックにあう日本酒」、なんてものも登場した。それがこちらの「SAKURA ROCK」。

桜の酵母で作ったロックにあう日本酒「SAKURA ROCK」
田嶋酒造株式会社の「SAKURA ROCK」。

その可愛い名前の由来は、桜の酵母を元に作られているから。

開発のきっかけとなった、桜の花から分離した酵母


このお酒を造られたのは、福井の田嶋酒造株式会社さん。

開発のきっかけは『天然吟香酵母さくら』という日本酒の酵母の存在だ。これは東京農業大学、酒類学研究室 中田久保(なかたひさやす)教授が桜の花から分離に成功した酵母のこと。

桜の酵母にも、いくつか種類があるそうだ。その中でもなぜこの酵母を選んだのか伺ってみた。
「仕込んだお酒を色々な飲み方で試していたのですが、なかでも原酒をロックで飲んだところ大変美味しいことに気が付きました。
まだ日本酒をロックで飲む専用のお酒が少ないこともあったのでネーミングを『さくらロック』としました」

この日本酒の原型が発売されたのは、2012年夏頃。そして、昨年から蔵を任されている若き杜氏の田嶋雄二郎さんが「SAKURA ROCK」と改名し、2016年5月にリニューアルを果たした。

氷が溶け出し味わいが変化していく日本酒


どんな日本酒かといえば、まずアルコール度数19度、と少し高めな点が特徴。
ロックにすれば氷が溶け出し、ゆっくり少しずつアルコール度数が下がっていく。お米の味が強いタイプのお酒なので、味や香りが薄まることはない。
日本酒特有の酒臭さもなく、氷を入れることですっと飲める味わいに変化していくお酒なのだとか。


それなら、濃い日本酒や味の濃い日本酒ならなんでもロックにあう……かと思いきや、実際はそういうわけでもないそうだ。繊細なお酒だからこそ、日本酒のロックは難しい。
いろいろな日本酒をロックで飲み比べてみた田嶋酒造株式会社さんが、「このお酒は酵母の特徴が大変お酒に影響しており、品の良い華やかさと酒臭さの少ない誠にロック向きのお酒にしてくれました」と太鼓判を押すこの「SAKURA ROCK」。アルコール度数を落とした時に驚くほど飲みやすいタイプに変化するのだとか。
桜の酵母で作ったロックにあう日本酒「SAKURA ROCK」
暖かい部屋で冷たいお酒に誘惑されたい。

大きなグラスにたっぷりの氷をいれて「SAKURA ROCK」を注ぎ、ゆっくり飲むのがおすすめの飲み方。温度の変化とともに変わっていく香りや味を楽しめる日本酒だそう。


寒い冬は熱いお鍋に冷たいロック日本酒なんてすてき。
まだ桜が咲く春には遠いが、年も明ければ新春。春に思いを馳せるこんなお酒で新春をお祝いしてみては。
(のなかなおみ)