脚本:岡田惠和 演出:福岡利武 19日の分、 視聴率:19.4%(ビデオリサーチ社調べ 関東地区)前日比↑

15話はこんな話
聖火リレー大会が行われ、みね子(有村架純)がアンカーを立派につとめた。
大忙しの日々
↑と、増田明美さんが言っているときに、みね子と時子(佐久間由衣)が楽しげにブランコを漕いでいるという牧歌的ないい画が挿入される。働いてないじゃん! いやきっと、ブランコで足腰のトレーニングをしていたにちがいない。
これが政治ってもんだ
走者と順番を決めるとき、寄付をもらっている人や村長も走らせることに。
それを、青年団団長(尾上寛之)は「政治」といい、増田明美さんが「わかりたくないですね」と皮肉る。
なかなかにやりとさせるシーン。
お呼びじゃない
化学の先生と体育の木脇(増田)には協力してもらうが、田神先生(津田寛治)は「お呼びじゃない」(BY植木等)。田神先生は、当時のギャグを言う係になっちゃっていますね。
と、まあいろいろ楽しそうにバタバタ準備をして・・・
1964年10月4日、いよいよ、奥茨城村で聖火リレー大会がはじまった。
三男(泉澤祐希)は「おれを忘れねえでけれ」「ありがとう」「ありがとう」と感無量。
時子は女優になるために、おしゃれなはちまきをして、カメラに笑顔を振りまく。
みね子は、おとうさん(沢村一樹)への思いを胸に走る。
声援が消えてまったくの無音が12秒ほど。お父さんとの幸せな思い出、お父さんがいなくなってからの悲しい記憶が脳裏に浮かぶ。
「お父さん、みね子は走ってます」
「お父ちゃんのこと考えながら走ってます」
「お父ちゃん、みね子はここにいます」
なんて清らかな思い。
欲望とか邪念いっさいなし。
有村架純、ちょうちんブルマが似合うな、とかそういう俗っぽいことを考えることを恥じいるほど汚れがない。
ナレーションで盛り上げることもなく、いろいろドラマちっくに盛り上げることもなく、みね子の真剣な顔で、つづく。
大事なところは、情感に訴える「ひよっこ」は、けっこう攻めていると思う。
ま、ちょっとだけ、「ニッポンの新しい世代の幕開けだっぺ」と宗男(峯田和伸)による、「日本の原風景」に続いてふたつめの状況説明があるにはあるが。
峯田は銀杏BOYZというバンドのボーカルということもあるのか、吐く言葉に説得力がある。短い単純な、ありふれたフレーズであっても、なんだかいやな感じがしない。彼だから「日本の原風景」とか「新しい世代の幕開け」とか言って許されるのだ。岡田惠和はうまいこと、峯田を生かしている。
こうして、あっという間に、聖火リレーというお祭りは終わってしまった。
おわりに、実際、茨城の旧里美村で、聖火リレーをやった方(荷見さん)の写真が「昭和とりっぷ」のコーナーに出てきて、ああ、実際にあったことなんだと驚く趣向だ。
荷見さんの当時の回想がコチラ荷見さんの当時の回想をどうぞ。
「ひよっこ」には誰もが知っている有名な人は出てこない。
この聖火リレーには、「ひよっこ」とは“無名戦士たち”の物語なのだという宣言の意味もこもっていたのではないかと思って、胸を熱くした。
(木俣冬)