本日7月18日(火)より、新ドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ系・火曜9:00〜)が放送開始された。正直、どんなドラマになるのか期待と不安が入り交じりまくっていたのだが……。

異常なほどの原作再現度「僕たちがやりました」1話。今後もこの調子で行けるのか? 原作ファンが検証する
原作1巻

原作となる漫画版は、今年の4月に最終巻が発売されて完結したばかり。安達哲の『さくらの唄』や押見修造の『惡の華』あたりの系譜に連なる、鬱屈とした青春を送る少年たちの大暴走&大爆発を描いた傑作だ。思春期に出会ってしまったら、胸をザックリえぐられてしまい、人生がちょびっと歪んでしまうこと間違いナシ!?

思春期をとっくに過ぎたボクも心をわしづかみにされてしまい、単行本を毎回発売日に購入するくらいドハマリしていたので、ドラマ化されるのは素直に嬉しいのだが、映像化をされるとしたら映画……しかもR15+とかになるだろうと思っていたので、ゴールデンタイムのドラマというのは完全に予想外だった。

深夜ドラマならともかく、ゴールデンに放送できるような内容じゃないと思うんだけど……。

こんな原作、どうやって実写化するの?


「必死こいて追いかけるような夢も自意識もないけど、将来をドブに捨てて生きるほどバカにはなれない。そこそこ楽しく生きれればいいんだ」

そんな感じで優等生にも不良にもなれないまま、そこそこ楽しく日々を送っていた主人公・トビオ(窪田正孝)と同級生2人+パイセン(今野浩喜)。

ある日、仲間のひとりが隣のヤンキー高校の生徒にボコられたことから、復讐のため爆弾を使ったイタズラをしかけることにする。

ところが、ちょいとしたおもちゃレベルだったはずの爆弾がプロパンガスに引火したことによって予想以上の威力を発揮してしまい、ヤンキー高校は火の海。10人以上が死亡する大惨事となってしまうのだ。

「そこそこ」の生活から抜けだして、爆破事件の容疑者となってしまった彼らは逃亡生活を開始するのだが……。

もうこの段階で、まったくテレビドラマ向きじゃない内容。コレをどういう風にドラマ化するのか気になるところだが、公式サイトを見てみると、

「そんな彼らが右往左往しながらも成長していく様を、ハラハラドキドキの展開で描いた青春逃亡サスペンス!!」

とのこと。……こんな軽いノリの話だったっけ!? 心配だ。


ということで原作ファン目線から、どうなることやら心配していたポイントを、ドラマ第1話を振り返りつつ確認してみよう。

人、燃えるの?


学校が爆発し、ボーボー燃えるヤンキーたちの姿はちゃんと映像化されるのか?

漫画版ではかなりエグイ感じで描写されていたこのシーン。その凄惨な光景を見てしまったことが、逃亡中のトビオたちが延々と引きずってしまう罪悪感へとつながっていく。

警察には捕まらないものの、罪悪感に押しつぶされてしまって……というのは重要ポイントなので、絶対に必要なシーンなのだ。

ドラマでは第1話終盤に学校が爆発し、ちゃんとヤンキーも火だるまになっていた! 炎が完全にCGでショボイし、エグイ表現はかなり抑えられていたものの、いいぞ、攻めてるぞ!

ただ、「死んだ?」という噂が流れるほど、再起不能レベルの重傷を負ったはずの市橋(新田真剣佑)に関しては表情が硬すぎて、頭からチョロッと血を流して倒れているだけに見えてしまったが。

爆発シーン以外でも、マル(葉山奨之) VS ウンコ(加藤諒)の殴り合いなどは、血を流しまくりのリアルな暴力表現でなかなかの迫力でした!

今後もギリギリまで攻めていって欲しい!

セックスするの?


風俗にドハマリしたり、ヤリマンとヤリまくったり、同級生とヤッたりと、かなりセックス描写が多い漫画版。

もちろん単なる読者サービスなどではなく、罪悪感や、逃亡生活のプレッシャーから、バカな高校生たちが逃避する先はエロしかなかった……という大事な要素なのだ。

その辺のシーンが登場するとしたら第2話以降だと思われるが、どうなるのか?

不倫ドラマの『昼顔』が夕方に再放送されたり、船越英一郎のバイアグラがどうのこうのと朝っぱらからワイドショーで騒いでいる昨今、高校生のセックス描写くらいオッケーそうなもんだが、漫画版において性のはけ口となっているのが、新里今宵(川栄李奈)と蒼川蓮子(永野芽郁)。……ハードなセックスシーンを演じるとはとても思えないキャストだ。

「逃避する先が女」という図式は残されそうだけど、「逃避→セックス」が「逃避→恋愛(プラトニックな)」とかにすり替えられないといいけど……。

ギャグはどうなる?


漫画版『僕たちがやりました』の特筆すべきポイントは、殺人、自殺、いじめと、ヘヴィーな展開が目白押しなのにもかかわらず、ギャグも頻繁にはさみこまれてくること。

重くて暗いシーンと、おバカなノリで大騒ぎしているシーンの緩急が絶妙で、思わず笑わされてしまうのだが、漫画におけるあの手のギャグ描写を実写で再現すると、たいていお寒いことになりがち。

しかもそのギャグの多くが、ダンソンや、永野のラッセンネタ、ですよ。(あいとぃまてぇーん)などなど、実在の芸人ネタをパクッたもの。漫画版においてパクリネタを主にやっているのはパイセンなのだが、パイセンを演じる元・キングオブコメディの今野浩喜が、他の若手芸人のネタをやるのか!? と思っていたら……ガッツリやってましたね。


トツギーノからはじまり、お口チャックマン、ダンソン、さらに原作でPSYの「カンナムスタイル」を踊っているシーンは、サンシャイン池崎のネタに変更。

どれも、今野が完全に役に入り込んで思いっきりやっていたおかげで、「そういうパイセン」として違和感なく見ることができた。

梅宮辰夫とパパイヤ鈴木は出るの?


ストーリー的にはまだまだ先だが、漫画版には梅宮辰夫とパパイヤ鈴木にそっくりなキャラクターが登場する。コレを辰っちゃん&パパイヤご本人が演じてくれたらメチャクチャ熱い!

漫画版を読んでいない人は、突然の大物俳優登場にポカーンとしてしまいそうだけど、やってくれたら原作ファンは泣く!

ちなみに、漫画版の爆弾設置シーンではマキタスポーツそっくりの先生に追いかけられているのだが……マキタスポーツは出てこなかったね。

結末はどうなるの?


一番心配なのがコレ!

制作のカンテレのサイトによると、

「原作ファンをも唸らせるキャストをそろえたうえ、すでに完結した原作とは異なる結末を用意。最後にどんなサプライズが待っているのか!?」

とのこと。……異なる結末を用意しちゃったかー!

原作とは違ったオリジナル展開のドラマってロクなことにならないイメージが強いんだけど……(『ロング・ラブレター〜漂流教室〜』とかドラマ版『デスノート』とか!)

ただ、漫画版の結末は、色んなことが解決しないままモヤモヤっと終わってしまったので、その辺を解消してくれるような新しい結末を用意してくれるなら嬉しいんだけど。

とりあえず今後も期待!


第1話を見て思ったのが、「良くも悪くもメチャメチャ漫画版の再現度が高い!」ということ。

漫画を片手に見ていたのだけれど、全体の流れからメチャクチャ細かいセリフ、小ネタまで、原作の第1巻を一言一句……とまでは言わないが、かなりそのまんまドラマ化していた。

逆に、原作との違いを必死で探してしまうようなレベル。ここまで、原作をいじらずに実写化しているドラマは珍しいんじゃないだろうか?

ストーリーだけではなく、今野浩喜のパイセンや、三浦翔平の飯室成男、古田新太の輪島宗十郎、加藤諒のウンコ(そういう役!)なんて、「漫画から出てきたのかよ!」というビジュアル再現度だ。

もちろん、漫画中のセリフや構図をそのまんま実写化すればドラマとして成功するってもんでもないので、第2話以降の印象がどうなるのかは分からないが、第1話に関しては、原作ファンとしても納得のドラマ化だった。

でもなー……、ここまでそのまんま実写化をしているのに、結末は変えてくるのか……。


第1話において、漫画版との大きな変更点は、オリジナルキャラである教師の立花菜摘(水川あさみ)に爆弾設置現場から逃げる姿を目撃されているところ(マスクはしているので確信はされていないようだが)。刑事の飯室成男(三浦翔平)が早くも登場して、輪島宗十郎(古田新太)周辺をかぎまわっているということ。

このあたりが、今後のストーリー展開にどのような影響を与えてくるのかも注目だ。

とりあえず、第1話を見逃してしまった人も、原作の第1巻さえ読んでおけば問題な追いつけるくらい、そのまんまの展開だったので、第2話からでも見るべき!
(北村ヂン)
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