唐突に家出してしまったカホコ(高畑充希)のパパ・正高(時任三郎)が帰ってきたと思ったら、初恋の相手・麦野初(竹内涼真)がやって来て「できれば交際を許して欲しいと思ってますけど」と唐突に交際宣言。

その告白を受けて浮かれたカホコも、これまた唐突に「もうママには甘えないようにする」と過保護なママからの卒業を宣言。


その結果、ママ・泉(黒木瞳)はブチ切れて家を出て行ってしまったのだが、『過保護のカホコ』(日本テレビ・水曜22:00〜)第6話では、カホコの一家だけではなく、親戚一同の家庭もバラバラになってしまう。
「過保護のカホコ」6話。ド天然カホコが聞いてしまった衝撃の事実、完全に泣ける展開になりそうだ
イラスト/北村ヂン

妻に感謝の気持ちを伝えられない旦那たち


家庭崩壊の理由は、それぞれ、そんなに大した理由があるわけでもなさそうなのだが、とにかく妻たちが家を飛び出して並木家の実家に帰ってしまった。

一方、妻に逃げられた夫たちはカホコの家に集結。男性陣、女性陣の会議(というか愚痴大会)が繰り広げられることに。

男側の問題は主に、何で妻が家を出ていったのかも含め、妻の気持ちが理解できない、妻も自分の気持ちを理解してくれない……ということ。

「かみさんってなんであんなに上から目線なんですかねぇ?」

「イライラしちゃいけない、普段から優しくしよう、感謝しようって思ってるんですけどね」

「せめて妻に愛しているとか、ありがとうって言えればいいんですけど、なかなかそれもできなくって……」

こっちは家族のために仕事をがんばっているのに、どうして分かってくれないんだ!? という、ありがちな悩みだ。まあ、妻から出て行かれた側の意見はこんなもんだろう。

出ていった妻に帰ってきてもらう方法も思いつかず、ウジウジと悩み、愚痴りあう男性陣だったが、カホコの解決策はド直球だった。

「みんな奥さんに感謝の気持ち伝えてきたら?」

こんなところで愚痴ってないで、直接言えや! ということだ。

カホコだけは私の事を無条件に愛してくれる


一方、女性陣は、旦那がどうこうというよりは、自分自身の問題の方が大きそうだ。

姉妹同士、思い出話をする中で、それぞれ「他のふたりの方が幸せなんじゃないか?」……というコンプレックスを抱えていたことが明かされる。

特に泉は子どもの頃から、妹たちは自分に懐いてくれないし、母親は自分にばっかり厳しくする。さらに、飼い犬のドンベエも懐いてくれず、「妹たちの方が家族に愛されている」と感じていたという。

「その頃から不安だったの。
私の事、誰も好きじゃないのかも知れないって」

そんな泉の心を満たしてくれたのが、娘のカホコだった。

「カホコだけは違った。カホコだけはこっちが呼ばなくても天使のような笑顔で私の胸に飛び込んできた……」

「この子だけは、私の事を無条件に愛してくれる。この子の愛情だけはどんなことがあっても信じることができる」

小さい子どもは、そりゃ無条件に親に愛情をぶつけてくるだろうよ……とは思うものの、ずっと誰からも愛されていないと感じてきた心のスキマに、カホコの愛情がガッツリとハマッたのだろう。

それ故、カホコが自立して、自分(泉)なしでも生きていけるようになることを認められず、あそこまで過保護(過干渉)な親になってしまったのではないだろうか。

しかし、泉と正高って恋愛結婚したはずなのに、正高の愛情では「誰からも愛されていない」という気持ちを解消できなかったというのは悲しい。正高の存在感よ……。

純粋なカホコのド直球過ぎる感情表現


泉たち女性陣や、旦那連中の抱えている問題は、ほぼほぼコミュニケーション不足が原因となっている。

旦那たちの「妻が理解してくれない」問題に関しては、カホコの言うように「感謝の気持ちを伝えればいいじゃん」というだけのこと。

泉が家族から愛されていなかったと思い込んでいたことに関しても、「妹たちが懐いてくれなかった」と思っていた件は、妹たちからすると「泉ちゃんが構ってくれなかったから」。母親が自分にだけ厳しかった件は「アンタがしっかりしていたからでしょ」とのこと。

ドンベエが泉にだけ懐かなかった理由はよく分からないが……。

どれも、ちゃんとコミュニケーションを取れていれば解決していたであろう問題ばかりだったのだ。
もちろん、普段から腹を割ってぶっちゃけトークをするというのは、なかなか難しいことではあるが。

その点、カホコの感情表現は、純粋……というか、おバカであるが故にどストレートだ。

泉に対するLINEでは「大好きだよ」の連発。麦野を好きになったら、好き好きオーラ全開でド直球でアタック。正高や親戚連中に対しても、ちょくちょく「大好きだよ」と発言している。

誰に対しても「大好きだよ」と言いまくりなので、若干嘘くさくはあるものの、こじれまくった一家の問題を解決するには、このくらいストレートな感情をぶつけ合うことが必要なのだろう。

麦野、お前は……!?


コミュニケーション不足といえば、前回、カホコと交際宣言をした麦野も、感情を素直に表現できないタイプの男だ。

カホコの両親の前で大胆な告白をしたわりに、「好き」と言うことも「カホコ」と下の名前で呼ぶこともできない。……これまで散々、カホコに対して「世の中分かってる」感全開で上から目線で接してきたのに、何なんだこの恋愛スキルの低さは! 童貞かよ!?

そんな麦野も、泉に対して「大好きだよ」連発のメッセージを送っているカホコの姿を見て、思わず「大好きだよ、カホコ」と言ってしまう。

麦野が発情するスイッチがよく分からないが、とにかく、カホコのストレート過ぎる感情表現は、周囲の人間をも巻き込むパワーがあるということなのだろうか。

完全に泣ける展開になるフラグだ!


カホコの「大好き」攻撃にほだされたのか、ようやく家に戻ってきた泉だったが、そこで元の幸せ家族に戻らず、

「ママは金輪際口を出さないから」

と、自由放任主義宣言をさせるあたりは、視聴者の期待をスカしていく、いかにも遊川脚本らしい展開!

ザ・過保護な親だった泉が、一気にカホコを突き放してどうなっていくのか気になるところ。

さらにたたみかけるように、祖母・初代(三田佳子)が、病気で余命わずかであることを、カホコが知ってしまうという衝撃展開が。

前回あたりから、初代の存在感が妙に高まっており、すべての事を見透かしたような達観した発言が増えていたのだけれど、この展開への前振りでしたか……。


ひとり、この事実を知ってしまったカホコが、初代のためにボロボロになっている家族関係を修復していく……ということになっていくのだろうか? 完全に泣ける展開だ!

ようやくドラマの方向性も見えてきて、俄然、面白くなってきた『過保護のカホコ』。

しかし、カホコと麦野の恋愛模様に関しては全然興味を持てないのはボクだけでしょうか……?(麦野に興味を持てないだけかも知れない)
(イラストと文/北村ヂン)
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