フジテレビ系ドラマ「僕たちがやりました」(カンテレ制作)第6話。トビオ(窪田正孝)は2話前に、『真犯人は他にいる!→よし!証拠を掴もう!→やっぱり犯人は僕たちでした』という残酷なぬか喜びを味わわされている。
今回はその第二弾だ。
「僕たちがやりました」6話「お前らは幸せを感じるたびに思い出すんだ、人の命を奪ったということを」
イラスト/小西りえこ

犯人じゃなかった!全てを水に流す3人


真犯人が自首したことによりパイセン(今野浩喜)が釈放され、トビオ、マル(葉山奨之)、伊佐美(間宮祥太朗)は、再び集まることに。それぞれ思うことはあったが、逃走からの解放感と、パイセンの気前の良さで、全てを水に流した。

それにしても、トビオに金を盗んだことを問いただされたマルの「もういいじゃんどうせ助かったんだし!それぞれが何してたとか気にしなーい!それワカチコワカチコー!」は、大物過ぎる。

トビオは蓮子(永野芽郁)に再会し、カラオケで「一回だけやらせて」と迫ったことを謝罪。許しを得て念願の“そこそこの生活”を取り戻した。しかし、いつも通りパイセンのお金で遊ぶという“そこそこの生活”を楽しんでいると、パイセンからとんでもない事実を聞かされる。


ぬか喜び第二弾!


パイセン主催の暴露大会で、パイセンは爆破事件に関して本当の犯人はやはり自分達だったとカミングアウトした。久しぶりの日常を満喫していたトビオ、マル、伊佐美の3人だったが、この告白で一気に逃走時のテンションに逆戻りする。

さらにパイセンは、自首した男が闇社会の首領である自分の父親が犯人にでっち上げたホームレスだったと説明した。これほど大事なことを、笑える話ですよと言わんばかりに楽しげに発表したパイセンに、3人は激高する。ぬか喜び第二弾だ。

パイセンは、「全部黙っといたらいいやろがー!」と、トビオ達を一括。パイセン、マル、伊佐美の3人は事実は自分たちが明るみに出さなければいいと、「それ闇の中!それ闇の中!」オリジナルのコールで無理矢理自分達を納得させようとした。


そこに全てを知る警察官の飯室(三浦翔平)が登場。死んだ10人の写真を地面に広げ、4人に罪の意識を重く植え付けた。

「お前らは幸せを感じるたびに思い出すんだ。いつか他人を愛した時、結婚する時、子供が産まれた時、その節々で思い出せ。人の命を奪ったということを」

この「幸せを感じるたびに」とは、トビオの言うところの“そこそこの日常”のことだ。
しかしまぁ、飯室の善人の思考回路で弾き出した答えを、極悪人のような雰囲気でトビオたちにぶつける様はなんとも奇妙。
「悪を捕まえるために刑事になった若者が、腐りきった警察の現状を見て失望し、自分なりの悪の罰し方を模索して今のようなスタイルになった」という設定なのだろうか?ちょっとしか出ないが、すごく気になるキャラクターだ。

第二弾、第一弾との違いは?


たったの2話前に、トビオ達のぬか喜びのシーンがあった。では、具体的にぬか喜び第一弾と第二弾はどう違うのだろうか?

第一弾は、前述もしたが、『真犯人は他にいる!→よし!証拠を掴もう!→やっぱり犯人は僕たちでした』というもの。「希望を持ったばっかりに、覚悟していた現実がより辛くなる」というパターンだった。

第二弾の場合は、『真犯人が捕まった→逃亡生活は終わりだ!→やっぱり真犯人は僕たちでした→でも、捕まることはない』というもの。トビオ達を取り巻く環境は、以前の“そこそこの日常”と変わることはない。だが飯室は、その幸せには10人殺したという事実がずっと付き纏うと言い切っている。


3人、それぞれの動き方


こんな衝撃的な事実も、受け取り方によって、トビオ、マル、伊佐美の行動はバラバラだ。

マルは、助かった事実をポジティブに捉え、何事もなかったように振る舞う。むしろ、逃亡生活の武勇伝を語ってクラスの人気者になろうという図太さを見せる。やはり、前話で話していたように、自分は悪くないと思っているらしい。

伊佐美は、一刻も早く忘れるためか、みんなとの関係を断ち切って、前を向こうとする。爆破事件直後にみんなで集まったときも、パイセンから金を受け取り、同じような動きを見せた。
しかし、その時は受け止め切れず、クビを吊って自殺未遂をしてしまった。今回はどうなるのだろう。

そしてトビオは、殺人犯という事実と平和な現実とのギャップを「幸せが気持ち悪い」とし、学校の屋上から飛び降りてしまう。

「僕たちがやりました」はエロなどの過激描写がグロいと話題になっている。視聴率が振るわないのもそのためだろう。だが、そんな絵的なものよりも、今回のような精神的な描写の方がよっぽどグロい。


(沢野奈津夫)