フジテレビ系ドラマ「僕たちがやりました」第7話。

爆破事件のニセ犯人が捕まった真相(第6話)を受けて、トビオ(窪田正孝)、マル(葉山奨之)、伊佐美(間宮祥太朗)は、それぞれが思い思いの行動を取った。

「僕たちがやりました」第7話 死んでも生まれ変われないトビオと、平然と生まれかわるマル
イラスト/小西りえこ

伊佐美の鎮魂



他の3人と関係を断ち切ることで前を向こうとしていた伊佐美は、罪の意識でボッキ不全に陥ってしまう。「リトル伊佐美に取り憑いた罪悪感たちを、一つ一つ振り払う」と、爆破事件で死んでしまった10人の家に行き、ありもしない思い出話を語って、遺族を感動させた。

「俺なりのチンコン(鎮魂)」と、ふざけた調子だが、心理の底の底では、被害者達へ償いが目的のはず。じゃなければ、ボッキ不全にはならない。

モンスター、マル



逃亡生活から解放され、マルは生き生きと生活していた。事件をきっかけに度胸がついたマルは、クラスでも友達が増え、逃走生活どころか、爆破前よりも幸せそうだ。

パイセン(今野浩喜)に被害者への罪悪感を問われても、「ないよ!」と明るく言い放つ。ボコボコにされたことを根に持つマルは、“悪いのはヤバ高”という考えがブレない。これが正解なのか不正解なのかはともかく、自分の生き方に自信を持っている。

他の2人が、ニセ犯人逮捕以降と、逮捕以前で心境が変わって苦しんでいるのに、マルだけは、未だに熱海のキャバ嬢のことを考えている。やはり、マルはモンスターだ。

トビオ、生まれ変わる



罪の意識に耐えきれなくなり、学校の屋上から飛び降りてしまったトビオだったが、病院のベッドで妹(八木莉可子)を相手にふざけて変顔を披露している。なにやら楽しそうだ。

あんなにビビっていた宿敵・市橋(新田真剣佑)と病院で再会しても、トビオは「爆発事件の犯人、俺じゃなかっただろ?謝ったら許してやってもいいけど?」と、やはり楽しそう。この原因は、飛び降りた動機にあった。


「もしこのまま死んだら、死んで罪を償おう。でも生きてたら、その時は新しい俺を始めよう」

死んだ気で生まれ変わったということだ。

今までは、“そこそこの人生でいい”と恋愛に臆病だったものの、リハビリを担当するミナミ先生(水沢エリナ)にもチャらい態度を取り、デートの約束を取り付けた。しかし、この明るいキャラクターは、パイセン、マル、伊佐美と4人で集まる時にも見せていた一面で、まるっきり生まれ変わったという訳ではなく、誰の前でも自分を出せるようになっただけのこと。堂々とした振る舞いのおかげで、市橋とも仲良くなっている。

命を賭けても生まれ変われない



だがやはり、本質ではあまり変わらないようだ。開き直って生活することで順調に見えるが、結局は、後ろめたさから逃げているだけだった。その本質が蓮子(永野芽郁)と一夜を共にしたことで爆発する。トビオは泣き出してしまう。「本当に幸せ」というセリフは、事件以降初めて心が安らいだから出た言葉だろう。

「よく死んだ気になって頑張れば」とか簡単に言う人がいるが、トビオは本当に死んだ気になっても生まれ変われなかったのだ。そう考えると、簡単に生まれ変わったマルはやはり大物な気がしてしまう。

嵐の前の静けさのうちに状況整理



第7話は、今まで一番大きな動きがなかった回になる。
人も死んでないし、暴力もうんこ(加藤諒)がマルを金属バットで襲ったぐらいしかないし、トビオ達の葛藤も薄い。第1話じゃら前話まで地獄を見て、今話はこれからの人生のためにメンタルを整えたといった感じだった。

全10話だか全11話のうちの、第7話が大人しい回。もうこれは嵐の前の静けさとしか思えない。そこで、今話起きた今後何かに発展しそうなところをピックアップしておく。

・トビオ、仲良くなった市橋の恋を応援していたクセに、裏切って蓮子と付き合ってしまう。

・伊佐美の彼女である今宵(川栄李奈)が妊娠する

・パイセン、闇社会の首領である父親に近づこうとする

・飯室(三浦翔平)が「事件は終わらせない。彼らにはまだ大事な役目が残っている」と、菜摘先生(水川あさみ)に宣言する

現時点では、今の生活を何とか幸せにしようと努力しているトビオ達だが、パイセンは真実を知ろうとしている。ここに飯室とか、菜摘先生がどう絡んでくるのだろう?
「僕たちがやりました」第7話 死んでも生まれ変われないトビオと、平然と生まれかわるマル
イラスト/小西りえこ

今夜放送の第8話は、制作陣が発表している“原作と異なるラスト”の輪郭が少しずつ見える頃だ。
(沢野奈津夫)
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