小ネタ集だった『おそ松さん』2期5話、この寒い時期によりによって夏がテーマ。
「モテない」をテーマにした、1期11話「クリスマスおそ松さん」の対になる回だ。

「おそ松さん」2期5話。リア充は成長している。だが、ダメなやつはダメなままだ
おそ松さん 二期メインビジュアル(公式HPより)

嫉妬で爆発させることすらできない六つ子


5話ではトト子ちゃんが、カップルを爆発させまくって、ビーチに『君の名は。』級のクレーターを作り上げた。スッキリ!
彼女1期11話では、クリスマス・イブの街中のラブホを破壊している。

では六つ子はというと、カップルに対してドロのような感情を抱いている割に、大した介入はしていない。やったことといえば、『タッチ』みたいな高校生の告白を、セミの声で邪魔したくらい。

1期11話では、クリスマスカップルの横に一松が座り込んで邪魔をする話がある。
この二人、1期24話では、行き倒れになりそうだった一松を助けている。

そして今回の2期5話で、二人は結婚し、彼女は妊娠。
幸せそうに夏の散歩を楽しんでいる。

リア充はちゃんと成長してるんだよというのを、六つ子と対比させて見せてきた。
これは辛い。ダメなやつは、いつになってもダメと、明暗をはっきりさせてしまった。

ルサンチマンの行方


六つ子のルサンチマンは、トト子のそれと大きく異る。
トト子は地下アイドル活動など、色々動いた上で失敗し、世界の幸せなやつらに呪詛を吐く。
文句言うだけの苦労はしている。
ところが六つ子は、何もしていない。だから苛立ちを兄弟間では言えるものの、外側にそれを出すことすらできない。

グループ魂の「モテる努力をしないでモテたい節」の精神と同じベクトルだ(参考・歌詞(J-Lyric))。
モテたいと言いながらも一切努力しない。プライドだけやたら高い。
欲望はむき出しなのに言い訳ばかりで、結局何もしない人間を歌った曲。良い悪いじゃなくて、そういう気持ちがわいてしまう事実はあるのだ。
おそ松とグループ魂、どっかでコラボしませんかね?
「おそ松さん」2期5話。リア充は成長している。だが、ダメなやつはダメなままだ
グループ魂のアルバム「TMC」に収録「モテる努力をしないでモテたい節」。グループ魂の曲は情けなくてしょんぼりな歌詞が多い。シモネタも多い。

5話最後の「今年こそは」。
夏の海辺でナンパしようと言い出すも、誰一人声すらかけられない。あの小学生メンタルなおそ松ですら、女の子の水着姿を凝視するのが精一杯。
六つ子であることを売りに若者たちの中に飛び込んだ結果。
「写真撮ってもいい?」「六つ子っぽく同じポーズしてよ」「何こいつらチョー受ける」とリア充会話ラッシュにたじたじ。
ナンパとか、モテるとかの次元じゃない。
ステージが違うのだ。

これでいいのだ、と言えない男たち


彼らは比較的、それを甘んじて受け入れているフシも見られる。
一松「俺みたいな人間が夏のビーチに来れてんだよ?これ以上望むものはない」

モテるやつら・リア充側は、ちゃんと幸せそうだ。いい人も多い。
だから、六つ子が若者カーストの下の下のさらに下(このへんは1期でも散々図で解説されてきた)なのがより印象に残ってしまう。

バカボンのパパのような「これでいいのだ」という開き直りや達観ができればいいのに、なまじ若いだけにできない。
できることはと言えば、部屋でゴロゴロシッコシコ。
(なお今回のED「イヤミ音頭」は、「おそ松くん」のED「おそ松くん音頭(唄:細川たかし)」のパロディになっている。歌詞は全然違う)

「やりきれない」ことを笑い飛ばすのが、おそ松さん流。ちょっと苦いくらいでいい。
もっとも『おそ松さん』のこのすね続ける精神は、視聴者の共感を刺激するだけでなく、「そんなダメな六つ子かわいらしい」という萌えポイントでもある。
内弁慶で、外に出ると萎縮する彼らは、ケージの中のハムスターみたいだ。

そういえば十四松の恋の話(1期9話)が、ちゃんとあったことになっていて、一安心。
もう一度出てきてほしいところだけども、出てこないままちらつかせるだけの方がブルージーなのかな。
次はイヤミ回の様子。「下の人」の話題が、まだまだ続きそうです。
(たまごまご)


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