連続テレビ小説「わろてんか」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第13週「エッサッサ乙女組」第75回 12月27日(水)放送より。 
脚本:吉田智子 演出:東山充裕 中泉慧
「わろてんか」75話。娘よりも可愛い着物のお母ちゃん、順調にツッコみどころを作り続ける
イラスト/まつもとりえこ

75話はこんな話


島根からやって来た安来節の踊り手4人は「安来節乙女組」と命名された。

一銭飯屋がカレー自慢の洋食屋に


勝部なつ(畦田ひとみ)、小豆沢とわ(辻凪子)、錦織あや(鈴木球予)、安達都(大後寿々花)
4人が島根から大阪へやってきた。
いつの間にか「風ひな寮」というとてもかわいい寮ができあがっていて(思いつきをすぐ形にする。
てんは手回しがいい)、4人は大喜び。

さっそく歓迎会が行われる。
場所は、歌子(枝元萌)の副業店マンマン。あの万々亭がいつの間にか、洒落た洋風なお店になっていた。
副業はとてもリアルな設定だ。芸能人って飲食とかファッション雑貨などのお店やるものだから。


自慢の卵カレーをふるまう歌子。
いつの間にかカレーがメニューに!
万々亭時代、団吾団真編のとき、藤吉がカレーを食べたいと言ったからだろうか。

ドラマにおけるたまり場の重要性


マンマンは今後、登場人物たちのたまり場になるのだろうか。
たまり場は、朝ドラに不可欠(朝ドラにかぎらず連ドラには必ずといっていいほどたまり場が出て来る)。「ひよっこ」のバー、「べっぴんさん」の多国籍カフェ、「あまちゃん」のスナックなどなど。
このたまり場が魅力的だと、朝ドラ(ドラマ)はうまく回っていく。たくさんの俳優がわいわいと個性を寄せ合って盛り上がるから。

「わろてんか」がこの3ヶ月、いまひとつ停滞していた感じがするのは、たまり場がなかったからかもしれない。万々亭があったが、寄席経営が安定せず、みなが安定して溜まっている場面が作れていないのだ。

たまり場はすなわち安定の証であり、作り手も視聴者も、ドラマの設定を理解したうえで、自由に楽しめる場なのだ。

今後、このマンマンが皆のたまり場になって、何かにつけカレーを食べるのだとしたら、
この間までやっていた、昼の帯ドラマ「トットちゃん!」(テレビ朝日)みたいではないか!
「トットちゃん!」のたまり場はカレー屋で、メニューはカレーしかないというのに、みんな何かっていうとここに来てた。

名前いろいろ


歓迎会で、芸人たちがわいわいやっているなかで、風太が誰とも絡まず、ひとりでブツブツ言っている様子がおかしい。いつの間にか「カミナリ風太」と呼ばれていることが、トキ(徳永えり)にバラされる。
安来節の4人には「安来節乙女組」とてんが命名した。

「風ひな寮」もてんの命名に違いない。「ひな」はやっぱり「ひよっこ」を意識していそうだ。

だが、乙女組はその夜、代表の座をめぐっていさかいが。
翌日からの稽古も、チームワークがバラバラで、亀井(内場勝則)が頭を抱えてしまう。
年内に解決するのか(あと1回しかないが)、年を越してしまうのか。

てんが公私共に「お母さん」になって大変


女の子たち4人もの「お母ちゃん」になってしまったてんに、隼也(南岐佐)が不満顔。
学校で友だちに手をあげて、てんが呼び出しを食らう。

隼也の影のある感じは、お父さんにそっくり。
「一日は朝ごはんと笑顔からはじまるんえ」と乙女たちにてんは言っているが、北村家は、藤吉も隼也も笑顔が少なめ。

そもそも、「一生笑わせたる」と言って、笑いの仕事をしている藤吉が、日常、全然、陽気じゃなく、どことなく陰な雰囲気をまとっていることが、このドラマの一筋縄ではいかなさの最たるところだ。そうはいっても、芸人さんは、舞台の上では陽気でも、ふだんはわりと静かってことはあることなので、リアルといえばリアル。
ゲラゲラ笑っていればいいってもんではないのはわかる。

今日の、わろ点


てんは「お母ちゃん」なったのに、着物はお嬢さんっぽさが抜けない。
乙女組の着物のほうが地味だと思った視聴者はかなり多いだろう(主にSNSユーザー)。でも、芸能事務所の女社長がやたらハデっていうのも、あるあるなのだ。てんはまだ社長じゃないけど。

年内、あと1回!
(木俣冬)