私が漫画アシスタントとして働いている職場のうめ・小沢高広先生が脚本担当ということで、仕事中話題に上がります。


ぼんやりしか知らない3人が30秒でうろ覚えチャレンジした結果

ごらんの有り様です。誰も実像がつかめてない、伝説の何か。
ということで伝説を確かめるべく、初代マジンガーZアニメ第一話を観てみました。
時間の使い方がすごい

会話のテンポがとても早いです。相手の話終わりにかぶせる勢いでめちゃくちゃ食い気味に話します。漫才のスピード感。あしゅら男爵、上司まだ喋ってるよ!
物語の展開も早く、「世界征服をたくらむDr.ヘルが機械獣を作ってて、対抗する技術は兜博士が持ってるよ!」っていう、世界観とやりたい事の説明が10分くらいで全部終わります。このスピードはすがすがしい。
その分細かいところで引っかかりは残るんですが、1話目はどうしても伝えたい情報が多いから詰め込まざるを得ないんだろうな…と思って観てたら

バイクの移動シーンはたっぷり時間を使います。歌詞付きの音楽を流して45秒くらい。な、なんで!?
第一話には「出動シーン」がないから、その代わりなんでしょうか。魔法少女の変身シーンみたいなものかもしれない。
死の描き方が軽い
主人公は二日間でたて続けにお手伝いさんと祖父を亡くしますが、泣いて悲しんだ後すぐコミカルなシーンに入ります。感情の切り替えがめちゃくちゃ早い。

弟は兄の誤操作で殺されかけてもまったく気にしません。トラウマになったり、兄との関係が気まずくなったりしない。
第二話では主人公とヒロインが機械獣と戦いますが、「戦って死ぬかもしれない」みたいな感情の描写はなく、人類の未来を背負ってる事へのプレッシャーもなく、主人公とヒロインが若干イチャついたあと

このセリフで初戦に向かいます。戦士としてメンタルの資質がはんぱない。
思ってたよりずっと「ヒーローもの」だった
マジンガーZと言えば「パイロットが搭乗して戦う巨大ロボットものの草分け」というイメージが強く、なんとなく

このへんの仲間だと思ってたんですが

こっちの仲間だったんだー!という印象です。ぼんやりしたイメージしかなかった私のいちばんの勘違いポイントでした。
音楽つきの出動シーンに時間を使うのも、ヒーローものなら見たことある。死の描き方が軽いのは、対象年齢を考えて重くなりすぎないようにしてるのかも。
当時のファンは主人公の弟シローに感情移入して、一緒に兄ちゃんを応援する気持ちで見てたんでしょうか。
細かい部分はツッコミ入れながら観るのが楽しい
古い作品だけに、細かい部分はツッコミはじめたらきりがありません。
人はたくさん死んでるけど全体的に悲壮感がないので、いっそツッコミを楽しみながら見れます。

おじいちゃんたち落ち着きがない。
兜博士はDr.ヘルについて世間に公表せず、弓教授にさえマジンガーZの事を話さなかったあたり、かなり独善的で他を信用しない人に見えます。Dr.ヘルとは似た者同士で、唯一友達になれる人だったと思う。
他にも細かいツッコミ部分は後発の作品への影響が見えて、そこも楽しいです。
マジンガーZの操縦方法はどこにも書かれていないので、主人公は手探りで操縦を覚えますが、兜博士が操縦マニュアルも作っておいてくれればよかったのに…とか考えると

そういえばマニュアル読んでいちばんうまく使えるようになったパイロットがいたような気がします。
ヒロインのほうが先にパイロットとして訓練されていたなら、初戦はヒロインがマジンガーZに乗って戦ってもよかったんじゃ…なんて考えると

そんな先輩パイロットが思い当たります。この発見が楽しい。
TV版第一話はこちらで観れます。
いきなり『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』から入るのももちろんありですけど、第一話だけでも観るとキャラにちょっと愛着がわくのでおすすめです。

TV版マジンガーZ、グレートマジンガーまで押さえてる上級者の方はインターバルピースがおすすめだそうです!
(イラストと文/たきりょうこ)