ラストで星名(向井理)が言い放った一言に視聴者沸騰! 吉岡里帆主演の火曜ドラマ『きみが心に棲みついた』。ちょっと停滞気味だったが、このセリフでちょっと持ち直した。

杉本彩のセリフ回しにドキドキ
吉崎(桐谷健太)とキスを交わし、めでたく正式にお付き合いすることになった小川今日子(吉岡里帆)。仕事でも厳しい八木(鈴木紗理奈)の信頼を得て、新ブランドのための下着デザインの最終プレゼンへと突き進む。
吉崎とのデートの帰り道、いったん別れた吉崎がきびすを返してモッズコートの胸元を開け、今日子にキスしてハグするシーンでも女性視聴者が大いに盛り上がっていたが、これは天堂きりんの原作コミックどおりの描写。このあたりの描写のきめ細かさをドラマ版は忠実に再現しようとしている。
ところが、ここで登場するのが新ブランドの責任者・池脇部長(杉本彩)。過去に八木と男をめぐって一悶着あった池脇は、社内であからさまに八木をディスってライバルの堀田(瀬戸朝香)をプッシュする。この人、「報復人事で有名」らしいが、それって最悪だな! しかし、それ以上に杉本彩のセリフ回しにドキドキさせられっぱなしだった。
「笑けるやろ。どんなに頑張っても肝心なときに過去の自分が邪魔しに来よる」
八木の一言は、今日子の胸にも突き刺さる。親に愛されなかった過去と、星名に辱められた過去が今の今日子をがんじがらめに縛っている。
星名よりもおかしい? 飯田&市ノ瀬
今日子が星名に頭を下げることによって、最終プレゼンが行われることになった。池脇部長は有無を言わさずに堀田がデザインした下着を推す。しかし、それは入れ替えられていた八木のデザインの下着だった。恥をかかされた池脇は激昂するが、星名にトドメを刺されて退場する。なんだか星名がいいヤツっぽくて中途半端な印象。
一方、星名に恋する飯田(石橋杏奈)には同僚の市ノ瀬(西村元貴)が「星名は人の企画を盗んで陥れるような、悪魔のようなヤツなんです!」と忠告する。しかし、原作では星名はプレゼン前日に市ノ瀬の酒に下剤(!)を入れて、出社できないようにして企画を盗むという悪辣ぶりだった。
ドラマ版ではどちらかというと市ノ瀬本人のほうがサイコで、飯田ににじり寄って両肩をつかみ、星名の母が殺人を犯していることを大声で叫ぶ。飯田が「何なんですか! 気持ち悪い」と吐き捨てる気持ちもわかる。
飯田は飯田で、星名に冒頭のセリフを突きつけられて「絶対に別れない!」とエキサイトするのだが、なぜそんなイカれた言葉を吐く男に執着する? 一晩寝てよく考えろ、飯田。
「心友」に「何これ……」
「#変わらない心友に感謝」
「何これ……」
今日子の呟きは「心友」というフレーズのキモさに対するものかと思ったが、そうではなかった。
吉崎に会いたくなって電話する今日子だが、吉崎は映美と会っている最中だった。そしてその様子を(カフェがオープンエアだったため)目撃してしまう今日子! まぁ、吉崎にしてみれば、後ろめたいことをしているつもりはないのだろうが……。このドラマはこういう偶然が多すぎて笑ってしまう。東京は広いぞ。
それにしても中村アンと吉岡里帆がカットバックで映ると、2人のスタイルの違いが際立つ。身長は5センチしか違わないのだが、ロングヘアの中村アンがスラッとしているのに比べて、青いコートをまとった吉岡里帆はまるでドラえもんのようだった。こんな相手が元恋人で、しかも部屋にまで上がり込んでいたりしたら、そりゃ心乱されるよね。しかも「心友」だなんて……。
そして今日子の公開ストリップの様子を納めたビデオカメラが、牧村(山岸門人)から吉崎に恋する為末(田中真琴)の手に渡ってしまう。
(大山くまお)