3月3日放送のドラマ『もみ消して冬~ わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系列)。
意中の相手・里子(恒松祐里)の部屋にようやくあげてもらった秀作(山田涼介)。唇を突き出してくる里子に、キスをするか逡巡するところから8話がスタート。
キスシーンはなかったが、「ん~っぱ!」というキスの効果音でハッピーに始まった。秀作、やったね!

手のひらで踊らされる秀作
里子「せっかくだから踊りましょうか。たいして踊れないのに、2人っきりで踊ってたら馬鹿みたいですかね」
秀作「ううん、教えて」
里子「いいですよ」
他人に思い通りに動かされることを「踊らされる」という。
今回はまさに、秀作が登場人物たちの手のひらで踊らされていた回だった。
今回、秀作がもみ消さなければいけない問題は「靴隠し」。
里子の家から朝帰りした秀作に、父・泰蔵(中村梅雀)が彼女を家に連れてくるように言う。以前は兄・博文(小澤征悦)に恋心を抱いていた里子に気を遣い、家に博文、知晶(波瑠)がいない日に里子を呼ぶことに。
泰蔵、里子との3人だと安心していた秀作。そこに、知晶、博文が帰宅。博文は、秀作の同僚・尾関(小瀧望)とクリーニング屋の手毛綱(児嶋一哉)まで連れてきた。
『もみ冬』の主要キャラクター勢ぞろい。
閉ざされた北沢家の中で秀作は、里子の履いてきた靴がなくなったことに気付く。「この中に犯人がいる!」というミステリドラマ的シチュエーションが揃った。
里子「私も、小学生の頃、靴を隠されたことがあります」
泰蔵「そのとき、靴はすぐ見つかったのか?」
里子「はい。隠した男の子たちを順番に捕まえて、ボコボコにしてしまいました」
過去には上級生の男子3人組をボコボコにした柔道黒帯の里子。少しの邪さもない笑顔。
そんな里子に靴がないことがバレることや、犯人をボコボコにして家族への心証が悪くなることなどを勝手に心配し、秀作は焦る。家族を疑い、執事たちを疑い、同僚やクリーニング屋、果ては里子の自作自演までも疑おうとしてしまう。
秀作はこれまで、起こったトラブルを「家族のために」解決しようとしてきた。
でも、今回は恋人のために行動を起こしている。1話から、兄と姉に「言いたいことがあるなら言え」と何度も叱られてきた秀作。少しでも否定されれば黙ってしまっていた秀作が、博文、知晶、泰蔵に1対1で靴の在りかを聞いているのだ。
この秀作の行動だけで、もう里子が家族として受け入れられるのは決まったようなものじゃないか。安心安心。
そして、この「靴隠し」は秀作の誤解だったことが最後に判明する。
里子の靴を2時間だけ借りて、知晶の思い出のダンスシューズをサイズ調整。それを里子にプレゼントする予定だった。家に来ていた人は、秀作と里子以外の全員が仕掛け人だ。
靴がないことに秀作が気付いてしまい、しかも隠されたと思い込んだ。秀作は、自分でトラブルを発生させて自分で解決しようとしていたのだ。
秀作が犯人を突き止めようとするも、みんなにたらい回しに会う姿。まさに「踊らされて」いた。
過ちはきちんと謝らせる「もみ冬」プライド
ただ、靴を隠されたことがあるのは、里子だけではなかった。
知晶も、こどもの頃に近所の男友達と遊びに行くときに履きたかった靴を隠されたことがある。犯人は、男友達に嫉妬した秀作だった。
そのとき、靴を隠した秀作を知晶は見て見ぬふりをした。自分を恨んでいるのではないかと考えた秀作は、知晶が里子の靴を隠したのだと確信する。
尾関「どうするんですか」
秀作「ん、どうするって?」
尾関「今回は、先輩が許してあげる番じゃないですか」
秀作「できればそうしたいけど、でも、彼女に靴は返してあげなきゃいけないし……」
尾関「知晶さんも、ちゃんと話せばわかってくれますよ」
尾関に促され、秀作は知晶に再び靴の在りかを聞きに行く。
秀作「どうしてあのときは見逃してくれたの」
知晶「どうしてかしらね」
秀作「いつもの姉さんなら、お構いなしに僕の部屋を荒らして、見つかるまで探していたでしょう」
知晶「私があの男友達のこと、好きだったからじゃない。必死で探しているところを見られるのが恥ずかしかっただけ。ただそれだけのことよ」
秀作「あのときはごめん」
知晶「もう何とも思ってないわ」
本当に何も思っていないのだろう。だって、過去の靴隠しは今回のダンスシューズプレゼントには何の関係もないのだから。
関係なくとも、家族に対してしまった過ちは秀作にきちんと謝罪させる。それが、『もみ消して冬』が守っているプライドだ。
「そろそろみんな、準備が整った頃かしらね」と知晶が玄関に向かうと、里子以外は全員出掛けていく。
残されたビデオレターや、靴屋から届いた母さんの形見のダンスシューズ。すべてが揃って、秀作は自分と里子が家族に受け入れられていたことを知る。
今回は、秀作が1人で右往左往していただけ。他の登場人物たちはすべてを知っていて秀作を見守っていた。
北沢家に残された秀作と里子。里子が秀作をダンスに誘う。
里子「せっかくだから踊りましょうか。たいして踊れないのに、2人っきりで踊ってたら馬鹿みたいですかね」
みんなの手のひらで踊らされることで、愛されていること、見守られていることを知ることができた。それなら、お膳立てしてもらったとおり踊りましょう。
里子の台詞は、これまで愛されていることに気付けなかった秀作への「愛情の気付き方」のアドバイスのようだった。
第9話は、3月10日(土)よる10時から放送予定。
(むらたえりか)
日テレオンデマンド、 Huluにて配信中
ドラマ『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』
出演:山田涼介、波瑠、小澤征悦、中村梅雀、小瀧望(ジャニーズWEST)、恒松祐里、ほか
脚本:金子茂樹
主題歌:Hey! Say! JUMP「マエヲムケ」(ジェイ・ストーム)
オープニングテーマ:もみ消して冬~24のカプリスfeat.高嶋ちさ子 (作曲ニコロ・パガニーニ)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
演出:中島悟
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ