斎藤工「このままじゃこの『MASKMEN』、終われないなというのがありまして」
くっきー「尻下がりもええとこですもんね」
斎藤工「なので……素顔で、やろうと思います」
斎藤工が「匿名&覆面」で芸人に挑んできた『MASKMEN』(テレビ東京系)もいよいよ大詰め。人印(ピットイン)、フェイス・ザ・チャンスと、仮面をかぶってきた斎藤工が、ついに素顔をさらして舞台に立つ。最終回のタイトルは「芸人」。

生まれながらの「マスク」で舞台に
タイトルの『MASKMEN』の通り、これまで斎藤工は覆面をかぶって芸人活動をしていた。素顔をさらすことに対しての斎藤工の解釈は「人は皆いろいろな顔(=マスク)を持っている」ということ。ならば最後は自分自身の「マスク」で舞台に上がりたい。斎藤工はくっきーと組み、ライブに出演することを提案する。
『MASKMEN』は、斎藤工がマスクを何重にもかぶったドラマだった。人印というマスク、芸人というマスク、俳優というマスク、そして『MASKMEN』というドラマを演じるマスク。フェイス・ザ・チャンスの元ネタも、顔を次々と変わる中国雑技「変面」だ。
それら全てのマスクを脱いだとしても、立場や環境に応じて「顔」は変わる。常にマスクを被っている状態であり、人は生まれながらにして「MASKMEN」だとも言える。
「石田さんのせいですよね?」
ライブ出演を打診されたくっきーは「(ノンスタの)石田はどうします?」と問い返す。「石田さん……?」ととぼける斎藤工。
斎藤工「人印が2回戦にいって、フェイス・ザ・チャンス1回戦敗退ってことは……石田さんのせいですよね?」
くっきー「気づきはりました?」
第8話で万人受けするネタを作ってくれ、と石田に頼んだのは他ならぬくっきーである。手のひら返しがすごい。
その後、ライブ会場の楽屋に「なんかすいませんでした」と現れた石田。「せっかくなんで」と新ネタをごっそり持ってくる。だが、くっきーは「誰がやるかい!信用してないねん、お前のネタを!」とキレ、石田を追い返す。
もちろん、本番直前にネタを持ってこられてもできるわけがないし、この下りはフェイクなのだが、最後に石田が「でもくっきーさん、LINEで完璧じゃんって……」と取り出したスマホの画面は本物に見えた。
(LINEの画面)
石田「(長文でネタ構成が書いてある)」
石田「ざっくりですが、なんとなく繋げてまとめてみました」
石田「今のところかなり長いと思われますので、また明日よろしくお願いします」
くっきー「完璧じゃんっ!ありがとぅー」
過去に石田が『笑×演』(テレビ朝日)で中野英雄と中尾明慶にネタを書いたとき、演者たちは「石田さんから長文のLINEが……」と、おののいていた。R-1ぐらんぷりで披露されなかった本戦用の3分ネタも、石田がみっちり作っていたのかなぁと想像してしまう。
素顔からの再出発
2018年3月1日。グレープカンパニー主催のライブに、くっきーと斎藤工はシークレットゲストとして参加。くっきーが富豪のベンジャミン、斎藤工が執事に扮してコントを披露した。
真顔&無言でボケを繰り出す執事に、キレながらツッコミをいれるベンジャミン。
2人の挑戦は笑顔で幕を閉じた……かのように見えた。
2018年3月7日。東京。渋谷スクランブル交差点。
第2話で、斎藤工が初めて人印としてゲリラライブを行った場所。斎藤工は素顔でその場に立っていた。「ヘルスの待合室で演技について考える俳優」と書かれたフリップをめくり、ピン芸を披露する。画面下には「ネタ原案:永野」の文字。
『MASKMEN』が始まったとき、斎藤工は「芸人としての筋肉をつけたい」と言っていた。プロデュースを他人に頼み、覆面で舞台に立つことは、果たして「芸人」なのかと言われたこともあった。
スクランブル交差点でネタを終えた斎藤工は、遠方からその姿を狙うカメラへ視線を向ける。そのやりきった表情は、マスクに頼っていた自分に落とし前をつけたかのように見えた。
斎藤工の挑戦は終わった。
三代目人印誕生
……かのように見えた。
エンドロールが流れるなかバックに映し出されたのは、第10話のラストで斎藤工が川に流したマスクを世界各地(アメリカ、ブラジル、インド、フィンランド、ケニヤ)の子どもたちが拾い上げる映像。ずいぶん遠くまで流されたんですね!
子どもたちが拾ったのはリリー・フランキーがデザインした5枚。残った人印のマスクを拾ったのは、お台場海浜公園で「CMほしいわ、松重豊みたいにな。広瀬すずみたいになりてぇよ」と、くだを巻いていた手塚とおる(本人)!
怪しく目が光る人印のマスクに取り込まれ、三代目人印となってしまった手塚。「MASKMEN vs 人印」の戦いが今始まる……(DVD-BOXの特典映像で……)
人印「シュコー(見てくれてありがとうございました)」
(井上マサキ)