連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第1週「生まれたい!」第1回4月2日(月)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出: 田中健二

連続朝ドラレビュー 「半分、青い。」はこんな話


エキレビ連載「毎日朝ドラレビュー」が毎日、月から土まで朝ドラ各話レビューして3年、6作。「半分、青い。」でついに4年目に突入します。

あまりに朝ドラを追いかけ過ぎて、ついに、NHKの広報プロデューサーに、ロケ地の取材会参加を許されました。今回は、実際に見聞きした光景なども、たまにちょいちょい交えながらレビューをしていきたいと思います。
本日スタート「半分、青い。」楽しみ過ぎてロケ地取材に行って来た
こちらヒロイン・鈴愛(第1話より) 提供:NHK

ではまずは、はじまる前レビュー。

4月2日(月)からはじまる朝ドラ新作「半分、青い。」放送に先駆けて、3月21日にナビゲート番組「もうすぐ『半分、青い。』」が放送された。
そこでわかった情報は、こんな感じ。
主人公・鈴愛(永野芽郁)は、岐阜県東美濃地方の架空の町・梟町に生まれ育った。
幼い頃、左耳を失聴するというハンディを背負いながらも、苦にすることなく前向きに明るく生きていく。彼女の家族や隣人は、彼女をあったか〜く包んでくれる人ばかり。

お母さんに松雪泰子、お父さんに滝藤賢一、おじいちゃんに中村雅俊、おばあちゃんに風吹ジュン。
同じ日、同じ病院に生まれた運命的な絆で結ばれた幼馴染・律に佐藤健。
律のお父さんは谷原章介、お母さんが原田知世。

みんな魅力的だ。

なかでも、原田知世。
ちょっとほわっとした、でも怒るとこわいらしいお母さん。金八先生やマグマ大使のゴアのモノマネに挑んだとかで、それはいったいどんなふうになるのやら。
彼女の役名は「和子(わこ)」。原田の出世作「時をかける少女」(83年 大林宣彦監督)で芳山和子(かずこ)役だったことを思い出す。

1971年生まれの鈴愛だから、青春期である80年代〜90年代(バブル期)が描かれることになるが、80年代のカルチャーを描いた「あまちゃん」(13年)では小泉今日子が出演していたため、小泉今日子が存在しない80年代になっていたのと同じく、今回が原田知世の存在しないパラレルワールドの世界になりそう。それはちょっとさみしい気もするが、お母さん・和子(わこ)さんの活躍を応援したい。
朝ドラでは「おひさま」(11年)で、早くに主人公を残して亡くなってしまうお母さんを演じていた原田知世、今回は、いつまでも元気でいてほしい。

やがて、高校を卒業すると、鈴愛は、漫画家を目指して東京へ。
そこには、カリスマ漫画家・秋風羽織(豊川悦司)がいる。鈴愛は、彼のもとで漫画家修業に励むことになる。

秋風の描く漫画は、くらもちふさこの漫画が使用されるので、その凄さの説得力は抜群だ。

舞台は、岐阜。岐阜ロケ取材に行って来た


本日スタート「半分、青い。」楽しみ過ぎてロケ地取材に行って来た

2017年11月、「半分、青い。」のクランクイン取材が行われた。
じつは、最初の予定日前日に、大きな台風が来て取材は延期になっていた。
ふたをあけたら、当日は台風一過でからっと晴れたが、前日大荒れだったため仕方ない。
なんとも波乱に満ちた幕開けだったが、これはこれで、何か特別感ができた気がする。
仕切り直しての取材日は、しっかりいい天気だった。

ロケ地は、岐阜恵那市岩村町。名古屋からバスに乗って向かうと、そこは「女城主の里」という幟があちこちに立っていた。直虎様とはまた違う、女城主が国を守っていた土地らしい。
見学したロケは、「もうすぐ『半分、青い。』」18分めくらいに出て来た、鈴愛が「世界でいちばん熱い夏」を歌って浮かれている場面の撮影だった。


夏の陽炎を表現するために、カメラの前にはガスコンロが置かれていた。
永野芽郁は、新体操をやっていたそうで、身体がしなやかそう。長い手足を自由自在に動かしながら、ふくろう商店街を何度も往復する。天真爛漫な雰囲気を保ちながらも、自分を追うカメラに対して、瞬間瞬間、きちっといい表情を見せる。フレッシュさを残しながらプロという、なかなか頼もしい俳優だと感じた。
本日スタート「半分、青い。」楽しみ過ぎてロケ地取材に行って来た
こちらは少女時代(第4話より矢崎由紗) 提供:NHK

本日スタート「半分、青い。」楽しみ過ぎてロケ地取材に行って来た
コンロを使って撮影中

この商店街は、昔の建築を残しながら、住人がそこに住んだり商売したりして生活している場所。
そこに、美術スタッフが電柱をわざわざ建てるなどして、80年代の岐阜の町並みを作り込んだ。当時の広告を意識したオリジナル看板や、ところどころに置かれた梟の置物、架空の町の地図など、本物の建物のなかに美術が混ざり込んでいて、面白い。
本日スタート「半分、青い。」楽しみ過ぎてロケ地取材に行って来た
ふくろう商店街にて

この地には、ふくろう商店街として使用されている通りのほかに、もう一本、通りがあって、「もうすぐ『半分、青い。』」で、秋風と鈴愛が「五平餅」と言って写真に映っている、その岐阜名物「五平餅」が売られているお店もあって、ひとつのお店の方々は、「半分、青い。」の関係者たちが食べてくれたと嬉しそうだった。お店の方は女性だったので、ロケで佐藤健さんの姿を見たことも嬉しかったようだ。ですよねーやっぱり。
もちろん永野芽郁さんに対しても好感触。

実際食べてみたが、うるち米でできたそれは、いわゆるお団子のようにみっちりしているのでなく、ふわっと柔らかい食感で、長年つけこんだたれは、味噌や醤油やゴマなどの風味がそれぞれ強烈に主張するのではなくやさしく調和した味がした。まるで、岐阜の鈴愛みたい。
はたして、五平餅は、ブームになるだろうか。
そのためにも、まずは「半分、青い。」が盛り上がることを楽しみにしよう。
本日スタート「半分、青い。」楽しみ過ぎてロケ地取材に行って来た
お餅を焼いて、タレにつけます 許可をもらって撮影しました

本日スタート「半分、青い。」楽しみ過ぎてロケ地取材に行って来た

(木俣冬)
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