今から10数年前、日本は韓流ブームの真っただ中でした。ペ・ヨンジュンにチェ・ジウ、東方神起にチャングムの誓い…。
さまざまな韓国印のコンテンツが流入し、さかんにそれらの魅力が語られていたものです。そんな折に、彗星の如く登場したのが、K-1ファイター、チェ・ホンマンでした。

韓国相撲の横綱だったチェ・ホンマン


身長218cm、体重160kg…。ゴリアテ(巨人兵士)の愛称がピッタリな巨躯といかつくて朴訥とした風貌のこの総合格闘家が、K-1のリングにはじめて上がったのは、2005年3月19日に開催された『K-1 WORLDGP 2005 IN SEOUL』の時でした。

もともと「韓国相撲」とも呼ばれるシルムにおいて天下壮士(日本でいう横綱に相当)だったこともあって、韓国では大スターだったホンマン。デビュー戦の相手は、身長差40cmでほとんどキックボクシング素人の元関脇・若翔洋で、結果は、地元の大歓声を受けたホンマンの1ラウンドTKO勝ち。さらに、曙、ガオグライ・ゲーンノラシンを破って見事トーナメント優勝を果たし、ホンマンは一夜にして、新たなK-1のシンボルへと昇格したのでした。

K-13連覇のセーム・シュルトにも勝利した


かくしてK‐1のスター選手となったホンマンですが、決して、戦闘技術が高かったわけではありません。重々しい巨体をのっそりと動かし、強パンチ・強キックの単純攻撃を繰り返すその様は、スト2のザンギエフに代表される格ゲーのタンク系キャラそのもの。しかし、巨体ゆえのタフネスは相当なもので、セーム・シュルトやマイティ・モーといった一線級のファイターたちの猛攻にも耐え抜き、結果として判定勝ちを収めています。が、より高度なテクニックが求められる総合格闘技は苦手としていて、K‐1では18試合12勝6敗と勝ち越しているのに対し、9試合4勝5敗と負けが先行していました。

ドラマ『怪物くん』のフランケンシュタイン役に抜擢!


キャリアを通してホンマンは、主戦場であるK-1のメインイベント「WORLD GPシリーズ」で、一度もチャンピオンになれませんでした。しかし、“フォータイムスチャンピオン”アーネストホーストや3連覇達成のセーム・シュルトより、インパクト抜群のビジュアルとパワフルなファイトスタイルのボブ・サップのほうが人気だったのと同様に、その特異過ぎる風貌によって、メディアから引っ張りだこに。

特に、広告塔としての効用は抜群で、ロッテのアイス『モナ王』のテレビCMで香里奈と共演したり、フロムエーのイメージキャラクターとして青鬼に扮したりと大活躍。また、俳優としても、嵐の大野智さんが主演したドラマ『怪物くん』(日本テレビ系)でフランケンシュタイン役を演じるなど、個性的な役回りで存在感を放ちました。


女子大生への暴行疑惑、1300万円踏み倒しなど、近年はトラブル続き


しかし近年、韓国に戻ってからは、2011年に自身が経営する飲食店で女子大生へ暴力を振るったとして訴えられたり、2015年には、知人から日本円にして1300万円を借りた挙句に踏み倒したとして逮捕状が出されたりと、ダーティーなスキャンダルが先行。肝心の格闘家としても負けが続き、唯一のポジティブなニュースといえば、佐々木希似の可愛い彼女ができたと報道されたぐらい。さらにパッチリ二重に整形手術との疑惑が出たが、本人は痩せたせいだと釈明。しかしつい最近、2017年11月末にソウルで行われた格闘技大会『エンジェルス・ファイティング』において、立ち技限定のキックボクシング・ルールでは10年ぶりの勝利を挙げたとのこと。現在37歳。日本では未だに知名度があるわけですし、亀田興毅・朝青龍の対決企画で話題を呼んだAbemaTVあたりがほっとかないでしょう。

(こじへい)
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