先週放送された第9話の視聴率はガクンと下がって7.0%。みんなが待望していた岩田剛典主演回だったのに……。でも、ドラマの内容も少し息切れしていたように感じてしまった。

実はもう物語が終わってる?
『崖っぷちホテル!』は「ホテルとは人である」ということに焦点をあてて、ここまで進んできた。第1話を振り返ってみると、ホテル「グランデ インヴルサ」のホテルマンたちは本当にイヤな感じの連中ばかりで、常連の老婦人にも平気で「はぁ?」とか返事をしていたわけだ。
そこへ副支配人としてやってきた宇海(岩田剛典)は、各人に具体的なミッションを与えつつ、ホテルマンとしてのあるべき姿や信念を注入し、それぞれのやる気を引き出してダメ社員たちをホテルマンとして再生させていった。
第2話で臆病なベルマンのピエール田中(チャド・マレーン)、第3話で傲岸不遜なスーシェフの江口(中村倫也)、第4話で自己中心的な事務責任者の丹沢(鈴木浩介)、第5話で酒浸りのバーテンの梢(りょう)、第6話ではダメ従業員の本丸とも言うべき時貞(渡辺いっけい)を立ち直らせた。
第7話では「グランデ インヴルサ」共通の敵である誠一(佐藤隆太)をホテルマンたち全員で撃退して、ホテルの負債を一掃。自信喪失気味の総支配人・佐那(戸田恵梨香)は経験を積むことで自信を回復し、熱血漢の長吉(宮川大輔)は特に問題もなく、尚美(西尾まり)の盗癖もいつのまにか直っていて、天才肌のハル(浜辺美波)、異様に気が利く裕子(川栄李奈)、顔以外は特に欠点のない大田原(くっきー)、最後まであまり存在感のなかった服部(佐伯大地)は通常運転。
さらに第8話でやってきた王女一行のおかげでホテルの評判は世間に響き渡り、「グランデ インヴルサ」は久しぶりの活況に湧いていた。これ、もう話が終わってない?
岩田剛典の謎めいた過去とは……?
いや、ひとつだけあった。謎めいた宇海の過去だ。そもそも、なぜ宇海は名門のバリストンホテルを辞めて「グランデ インヴルサ」にやってきたのか? ホテルの密着取材を続ける番組ディレクターの藤井(『ウルトラマンX』の神尾佑)が宇海の正体に執着することで疑問が浮かび上がってくる。
そもそも宇海はこれまでほとんどストーリーに登場してこなかった。
実は宇海は前職のバリストンホテルでも花火大会を企画していたが、ホテル内での足の引っ張りあいによって失敗していた。宇海は花火大会を期待していた客に失望させてしまったことを何よりも悔やんでいた。
……という、わりと大切な過去のエピソードを、岩田剛典の一人語りで処理しちゃったのがちょっと残念。過去の因縁はドラマで見せてほしかった。
クライマックスはタキシード姿の岩田剛典!
クライマックスはもちろん大花火大会だ。ところが、ホテル周辺は悪天候に見舞われてしまう。お客さんは集まり、出店なんかもあって、いい具合に盛り上がっているけど、大雨も強風もやみそうもない。
「中止じゃしょうがなねえな。帰るか」と言い出す客を、なんとか引き留めようとする佐那と時貞。「まだ夢がかなっていないんです。
そこへ颯爽と現れるのが、タキシード姿でビシッと決めた宇海! 正装をすると吐き気がして失神してしまうという設定の宇海だったが、なるほど、岩田剛典のタキシード姿が第9話のクライマックスのわけね。ちなみに正装をすると吐き気がしてしまう理由については特になさそう。でも、まぁ、そういうことってあるよね。筆者は大根を食べると特に理由もなく吐き気がしてしまう。
宇海が土砂降りが続くホテルの外に客を案内すると、空には一面(というわけでもないのだが)の傘が。これは長吉と尚美が必死に準備したもの。客は「うわぁ!」と喜ぶが、正直それほどたいしたものには見えない。すると、たちどころに風雨がやんで、本物の花火が次々と打ち上がる! これは裕子が諦めずに準備していたものだ。かくして花火大会は大成功となった。
最終回は山下健二郎、山口乃々華出演!
宇海の過去が思ったより平凡だったり、それをドラマで見せなかったり、花火大会がかなり都合よく成功してしまったりするなど、かなり薄味だった第9話。
先ほども触れたが、『崖っぷちホテル!』のストーリーは実質7話で誠一を撃退した時点で終わっているような気がしてならない。ラストに向けて、どのようなドラマが起こるのかと思ったが……。今夜の最終回はどのような展開が待っているのだろうか?
最終回はゲストとして山下健二郎、山口乃々華のほか、谷村美月、稲葉友、松島庄汰、小野花梨、西山繭子、鈴木拓(ドランクドラゴン)、アニキ(ペンギンズ)、アントニー(マテンロウ)が大挙して出演する。まるごとエピローグのような最終回になりそうだ。豪華ゲストで華麗なフィナーレとなるか? 今夜10時30分から。
(大山くまお)
【配信サイト】
Huluにて配信中
・hulu
・TVer
『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)
脚本:土田英生
演出:猪股隆一、岩本仁志、水野格、山田信義
プロデュース:池田健司、福井雄太、柳内久仁子
制作:日本テレビ