『花より男子』新シリーズ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS・火曜10:00〜)第10話。

前回、周りを巻き込み、傷付けまくりながら色恋沙汰をやっている江戸川音(杉咲花)、神楽木ハルト(平野紫耀)、馳天馬(中川大志)というメインキャラ3人への好感度が下がりまくってしまったが、今回は主人公である音への好感度がさらに低下。


最終回へ向けて、これだけ主人公を応援する気にならないドラマもなかなかないだろう。
「花のち晴れ」今夜最終回目前にして、主人公・音の好感度はどん底…もはや幸せになって欲しくない!

悪役の言うことが正論に思えるほどブレブレな主人公


これまで、ずーっと「天馬くん一筋!」みたいな顔をしてきた音だったが、「自分を襲撃した犯人の黒幕は天馬の側近・近衛仁(嘉島陸)だ」という主張を天馬が信じてくれなかったことから一気に気持ちがぐらつき、

「(ハルトが)落ち込んでた私の心を埋めてくれたんです」
「私、神楽木のことが好きみたい」

なんて言い出してしまった。

確かに、近衛の陰謀を見抜けない天馬はボンクラだとは思うけど、それ以外は、ほぼ完璧な彼氏なのに……。そして、ハルトと付き合いたいというメグリンを散々応援していたのに……。今さら何を言っているのだ、音よ。

そんなことを告白された紺野さん(木南晴夏)も「何やってんの」としか言いようがないってもんだろう。

それでも自分の気持ちにフタをして、天馬と向き合うと言う音。


天馬と別れたら親(実家)が困るから。天馬にこれまで色々してもらったから(寄付金5000万円払ってもらってるし)……などなど、天馬と別れられない理由を山盛り背負っているのは分かるけど、その中途半端な態度のせいで、メグリンをはじめ周りの人たちが傷付きまくっているのだ。

ウジウジ面倒くさいことを言っている音に対し、紺野さんが放った言葉が痛快だった。

「失礼すぎるよハルトっちにもサワヤ彼氏(天馬)にも。音っちは結局、自分が傷つくのが怖いだけじゃん。周りのことばっか気にして、自分の気持ち後回しで、結局どっちつかずで、そういうのが一番人を傷付けてるって分かんない!?」

視聴者のモヤモヤを全部言ってくれた! さすが、玉木宏を射とめただけはあるよ、紺野さん……というか木南晴夏!(おめでとう)

紺野さんの直球な説教で、さすがの音も心を入れ替えるかと思いきや、「私の答えはもう決まっている(天馬を応援する)」と、ハルトからもらった豚のアクセサリー(ワシン豚)を缶に入れ「フタ」をしてしまう。


さらには天馬に会いに行って、

「誰にでも分け隔てなく優しい、真っ直ぐな天馬くんが好き。たった一度のことでふたりが積み重ねてきたものを失いたくないの」
「天馬くんでここ(胸)をいっぱいにしたい」

とか言い出す始末。

かと思えば、天馬との勝負に向けて稽古に励むハルトを見てニヤニヤしたり……、ホントに何を考えているんだお前は状態。

あれだけ分かりやすい紺野さんの説教が、まったく届いていない!

このドラマにおける最大の悪役・近衛から、

「アナタの馳さんへの思いは、ボク程度の存在で揺らぐものなのですか? 馳さんはどんなことがあろうとも、揺らがずアナタを愛しているのに!」

と言われてショックを受けていたけど、悪役の言葉がザ・正論と思えるほど、音の言動はブレブレなのだ。

みんな成長しているのに、音だけ退化している!


音が、信じられないくらい鈍感ちゃんだというのもイライラするポイントだ。

ドラマがはじまった当初は、金持ち学校の中で唯一、常識的な判断力を持っているというキャラだったはずなのに、ここにきて、周りの金持ち連中以上に非常識な人になってしまった。

ハルトに抱きしめられ、それを天馬が目撃してしまった翌日に、ハルトと天馬が決闘することになってたら、どう考えても原因は自分。


それなのに、メグリンから「これは音を賭けた戦いなの!」と言われ、

「え!?」→宇多田ヒカルの歌→「私のためだったんだ……!」

じゃないだろう。

音がどんどん非常識になっていくのに対して、周りの人たちは真っ当になっている。

一時は音とハルトの恋仲を邪魔するため、サイコパスな行動を取りまくっていた真矢愛莉(今田美桜)は、

「(ハルトに対して)バッカじゃないの。だから最初から愛莉は音だって言ってたのに! メグリンを、周りの人をみんな傷付けて!」
「愛莉の好きな人たちが苦しむくらいなら、恋愛なんて世界から消滅すればいいのに!」

サイコパスだった愛莉がすごく成長している! 友達思いのいい子になってるじゃないの。

温泉でハルトと遭遇し、ハダカを見られても平然としていたド天然なメグリンも、

「(ハルトと天馬の勝負に関して)どっちかを応援なんてホントはしたくない」なんて寝ぼけたことを言っている音に対して、「それじゃダメなんだって!」「音のためにみんな必死になっているんだよ!」とマジレス。

音やハルトからひどいことをされまくって、ド天然ではいられなくなっちゃったんだろうな……(涙)。


当初は、クズ行動が目立っていたハルトも(メグリンへの態度は相変わらずひどいものの)、音への気持ちを素直に認め、勝負に向けて努力しているのは、成長と言えるだろう。

周りのキャラクターが、どんどん成長……というか、真っ当になっているのに、音だけ成長していない。むしろ、かつて「庶民狩り」を繰り広げるC5にひとりで立ち向かっていたとは思えないほど退化している。

ドラマにたびたび出てくるワードとして「しょうもない」というのがあるが、ホントにしょうもないよ、音!

メグリンが幸せになる最終回を期待


さて、いよいよ最終回。

天馬とハルトの勝負が決着し、音たちの恋愛模様にも結論がでることになるのだろうが、果たしてどんな結末が待っているのだろうか?

予告編で音が、「私も自分らしく生きるんだ!」と言っていることから、普通に考えれば、色々と抑えていた感情を開放し、ハルトとくっつく……的な展開なのだろうが、ここまで積み重ねてきた音のイライラ行動のせいで、どうも応援しづらい。

メグリンが「ハルトのことをあきらめない」宣言をしていることや、馳家が江戸川家のために仕事&住居を用意していること、ハルトが負けたら海外に留学させられる予定となっていることなどから、単純にハルトが勝ち、音とくっついてハッピーエンド、というのは考えづらいのだが……。


それ以外のパターンだと、どんな展開が考えられるだろうか。

・ハルトが負けて、音と天馬がよりを戻す。

・ハルトが負けたけど、音が本当の愛に気付いてハルトとくっつく。

・ハルトが勝ったけど、「中途半端なことはしない」という言葉を守ってメグリンとくっつく。

とことん健気なメグリンが気になって仕方ないメグリン推しとしては、ハルトが勝って音と付き合う権利をゲットしたのに、それを捨ててメグリンと……パターンを期待したいが、ドラマとしてはワケが分からなすぎるか。

イライラしつつも何だかんだで夢中になって見てしまう本作。
最終回は今夜放送!
(イラストと文/北村ヂン)

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アマゾンプライム

『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系列)
原作:神尾葉子『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(集英社少年ジャンプ+刊)
脚本:吉田恵里香
音楽:大間々昂、平野義久、鈴木真人、羽深由理
主題歌:King & Prince「シンデレラガール」(Johnnys’Universe)
イメージソング:宇多田ヒカル「初恋」(EPICレコードジャパン)
プロデュース:瀬戸口克陽
協力プロデュース:齊藤彩奈
演出:石井康晴、坪井敏雄、岡本伸吾、松木彩
制作・著作:フジテレビ