新ゲーム「迷宮のトライアングル」がスタート。
ゲーム自体は同じだけど、ドラマ独自の新要素が
どーかしているクレイジーな殺人ゲームが次々と登場する原作漫画『賭博覇王伝 零』の中でも、ひときわ地味で、なおかつ解答を導き出すにはひたすら数学知識を駆使する必要があるこのゲーム。
映像化にはあまりむいていないと思っていたのだが、ドラマ版では新たな要素を加えることによって、上手いこと処理していた。
三人一組のチームが、三角の形をした部屋に閉じ込められ、
「部屋はすべて同じ。君達は何?」
という、薄らボンヤリした禅問答っぽい言葉を手がかりに、部屋の隅々まで調べつつ答えを導き出す、「リアル脱出ゲーム」っぽい内容。
もちろん、ただの「リアル脱出ゲーム」ではなく、殺人要素も付け加えられている。
三人組の内、ひとりが柱にくくりつけられ、円筒状の水槽の中に閉じ込められた上に、少しずつ水を流し込まれるのだ。
後藤峰子(小池栄子)曰く、「人間柱時計、いわゆる水時計よ〜ん!」とのこと。
問題に答えられなければ、どんどん水が溜まっていき、約25分で鼻と口が水に沈み、30分でゲームがタイムアップとなる。
5分間も水中で耐えられるのは「水中クンバカ」で鍛えられたオウム真理教信者か、江頭2:50くらいのものなので、要は正解できなければ「人間柱時計」役は死。
とはいえ原作で「人間柱時計」になったのはボンクラそうな仲間。
「急がないと仲間が死んじゃう!」というサスペンス要素にはなっていたものの、宇海ゼロ(加藤シゲアキ)はあまり関係なく普通に問題を解き明かしていた。
しかしドラマ版で「人間柱時計」になったのはゼロ自身だ。

バカを誘導して答えを導き出す!?
頭脳役であるゼロ、そして別の部屋では標(佐藤龍我)が「人間柱時計」となっており、自ら部屋を細かく調べることはもちろん、最終的に答えを送信するタブレットを操作することすらできない状況に置かれた。
このことで生まれたドラマ版のみの新要素が、三人組の仲間が「敵」になり得るということ。
ゼロが水槽の中で正解を導き出したとしても、水槽の外にいるヤツらは、ゼロが水に沈んで息絶えるまで待ち、それからおもむろに答えを入力してゲームをクリアすることが出来るのだ。
今回、ゼロとチームを組んでいるのが、振り込み詐欺をやっていたヤクザ・末崎さくら(ケンドーコバヤシ)と、その弟・末崎セイギ(間宮祥太郎)という、まったく信用できないふたり。
バカそうなヤクザの方はともかく、頭のキレる感じのセイギは、露骨にゼロを殺そうとしてくる。
ゼロを利用して正解を出しつつ、ゼロ自体は殺したいというこの作戦、人としてはどうかと思うが、「誰かが先にリングを4つ集めたら……」というドラマ独自の勝利条件を考えれば当然のこと。
「王」となり1000億円をゲットできるのは誰かひとり、ということを踏まえれば、団体戦であっても仲良く協力し合っている場合じゃないのだ。
……ということで、「人間柱時計」側は正解が分かったとしても、水槽の外にいるヤツらに直球でそれを教えるわけにはいかない。
答えを送信するタイミングをゆだねることになってしまうからだ。
部屋に隠されたヒントを外の人間に集めさせるとともに、上手いこと誘導して答えを入力させる必要がある。
ゼロは、ここにきて妙に人情味を出してきたバカそうなヤクザにこの問題を理解させ、正解を導き出させることによって、自分から答えを入力したくなるようにする作戦。
数学記号を見るだけで吐き気がするバカヤクザだが、「塾で小学生に算数を教えていた」というゼロの経歴が、ここで生きてきそうだ。
一方、標は仲間に「一番バカそう」なヤツを入れることによって、そいつを自分の意のままに操ろうとしているようだ。
この要素が加わることによって、「二等辺三角形の角度がどうのこうの……」と延々と数学問題を解いていて、地味な印象のあったこのゲームが、心理戦としても楽しめるようになった。
今回のドラマ版では「それ余計!」という、いらん要素ばかり「原作にないアレンジ」を加えていたが、迷宮のトライアングル」編に関してはナイス・アレンジ!
原作を読んでいても、どのように問題を解き明かし、どんな結末が待っているのか予想出来ない展開となっている。
手越くんがあのキチガイを演じる!
次回は「迷宮のトライアングル」編が完結するとともに、新ゲームもスタート。
クイズ司会者・城山小太郎役としてNEWSの手越祐也が登場するようだ。
城山小太郎って……キチガイなキャラクター目白押しな原作においても、トップ3には入ろうかというクレイジー。
アレを手越くんが演じるの!? どこまで吹っ切った演技をしてくれるのかにも注目したい。
(イラストと文/北村ヂン)
【配信サイト】
・日テレオンデマンド
・Hulu
・TVer
『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系列)
原作:福本伸行『賭博覇王伝 零』(KCデラックス 週刊少年マガジン刊)
脚本:小原信治
演出:丸谷俊平
主題歌:NEWS「生きろ」(ジャニーズ・エンタテイメント)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ