創業オーナーの結城伸治(池田成志)、「十和子フード」社長・岡田十和子(水野美紀)、「デリシャス・フード」の前社長だった大友勝次(本田博太郎)、銀行の面々……。
信用していいんだか、悪いんだか分からない連中が、潰れかけの「デリシャス・フード」の「おいしいところ」を切り取ってやろうと群がってきた。
この中では一番信用できそうだった十和子は、いきなり「8億円支援する代わりに株を55%よこせ」なんて言ってくるし、創業オーナーの結城とつながっていたという事実も発覚。
大友が持ってきた「伊坂商事が支援してくれる」という話は魅力的ではあるものの、大友自身は明らかに信用できない。
「誠意」一本槍で大丈夫なのか!?
「誰を信じていいのか、もう何が何だか分からない」
という状態になった樫村が頼ったのは、例のごとく一番信じちゃダメそうに見える、アヤシイ占い師(ミッキー・カーチス)。
「オレは誠意を持って仕事をしている。それなのに上手くいかない。どうしてなのかな」
という樫村に対し占い師が語ったのは、昔、中国の男性・尾生が女性と橋の下で会う約束をしたところ、大雨になって増水し、それでも待ち続けていたら溺れ死んじゃったという話。
「誠意は必ず通じる。何が成功で何が失敗かは誰にも分からないよ。アンタは誠意をつくすことだ」
誠意、通じてないじゃん! 誠意をつくした結果、死んじゃってるじゃん!
それでも、例のごとく占い師を信じちゃった樫村は「誠意をつくしていくぞ!」と決意を新たにするわけだが、そもそも自分で「誠意」とか言っちゃうヤツって、だいたい信用できない。
その昔、「誠意大将軍」を名乗っていた羽賀研二も、今は詐欺事件で捕まって服役中だしなぁ……。
大友の嘘、アッサリ発覚
「誠意大将軍」となることを決意した樫村が行ったのは、銀行や大友たちが進めようとしているような、「おいしいところだけ売っ払っちゃおう」的な会社分割案ではなく、社員みんなのためになるような、新たな分割案を作ること。
あとは、伊坂商事の支援も取り付けられれば再建案は完璧! ……なのだが、やはり大友が絡んでいるのがネックなのだ。
樫村が直接、伊坂商事の小沢常務(竜雷太)と話することに強硬に反対しているのもアヤシイ。
しかし、ファンド会社社長・山本(大谷亮平)の一言で自体は一気に進展する。
「だったら(秘密保持契約をまだ結んでいないなら)直接会いに行けばいいじゃないですか」
「私なら会いに行っちゃうけどな」
え、それだけの話? だったら占い師の話なんて聞いてないでさっさと行けよ、樫村!
……ということで、大友との約束をサクッと破り、直接、伊坂商事・小沢常務に会いに行くことに。
「誠意」とは一体。
そこで明らかになったのは、「まあそうだろうな」という話。
小沢が「デリシャス・フード」に興味を持っているというのは本当だったものの、具体的な話はまったくしていなかったのだ。
「私の名前を信用の裏付けに勝手に使っていたんですよ。そんなこともあって私は、大友をあまり信用していません」
はい大友、アウトー!
簡単に「倍返し」しすぎて気持ちよくない!
そんなことも知らず、銀行の面々を引き連れて「デリシャス・フード」に乗り込んで来た大友の悪代官っぷりが見事だった。
会社を放り出して逃げちゃった前社長ということで、社員たちから煙たがられているのに、自分の策略が成功したと思っている大友は終始ごきげん。
「やあみんな、元気だった〜?」
「かなちゃん、相変わらずカワイイねぇ〜!」
ザ・本田博太郎ショーだ。
そんな大友も、樫村が既に小沢常務と会っていたということを知り、一気に顔面蒼白状態に。怒りのあまり、プルプル震えちゃってる大友がカワイイ。
それにしても、直接会いに行っただけで即破綻するような浅はかな計画で、何をどうしようとしていたのか……。
「失礼だぞ、かしむらっさんッ!」
「失礼なのはそっちです。
(大友プルプル)
ここぞとばかりに大友を怒鳴り飛ばす樫村、メチャクチャ気持ちよさそう。
さらに、伊坂商事が銀行に圧力をかけた結果、頭取を巻き込んで大問題になったということで、これまで超・高圧的だった銀行の面々も即・土下座。
「どうか……助けて下さいッ!」
「銀行取引の件は伊坂商事さんと相談していますから、私ひとりではどうしようもありません。仕事がありますからこれで」
たたみかけるような「倍返し」にカタルシス全開なシーンのはずなのだが、あまりにアッサリと敵が倒れちゃうもんで、イマイチ乗り切れず。
だって、この大逆転を引き起こすために樫村が自分でやったことといえば、大友を無視して伊坂商事に行ったことだけだもん。
ちょっと大企業の支援を取り付けたからって、いきなり態度がデカくなったイヤなヤツにしか見えないのだ。

最終回に本田博太郎は出てくるのか?
そんな調子に乗ったヤツは、キッチリしっぺ返しを喰らうというのが世の常。
再建案は着々と進み、ムカツク連中もやりこめて、ニッコニコの樫村に衝撃が。
含み損の件が「週刊春潮」にすっぱ抜かれてしまったのだ。
「春潮砲」炸裂!
しかも、この情報をリークしたのは、どうやら小沢常務のようだ。
「デリシャス・フードの状況を詳しく聞きましょうか。私はあなた方と仕事がしたい。
なんて言われ、「樫村の誠意大将軍っぷりが報われた!」と思っていたが、この時から着々と罠が張り巡らされていたわけだ。
支援話に浮かれた樫村は「デリシャス・フードの状況」を詳しく教えちゃったんだろうなぁ。
……ということで次回、最終回。
ラスボスは伊坂商事の小沢常務ということになりそうだ。
大友があれだけ直接交渉に反対していたのは、樫村が小沢と直接話すと、いいように騙されちゃうのが分かっていたので、小沢をよく知る大友が代わりに交渉してあげようと思っていた……的なことだったら面白いが。
(イラストと文/北村ヂン)
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『ラストチャンス 再生請負人』(テレビ東京)
原作:江上剛『ラストチャンス 再生請負人』(講談社文庫刊)
脚本:前川洋一
演出:本橋圭太
主題歌: 村松崇継「Starting over」(Climbing Records)
音楽 - 村松崇継
チーフプロデューサー:稲田秀樹(テレビ東京)
プロデューサー:川村庄子(テレビ東京)、松野千鶴子(アズバーズ)、木川康利(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
製作著作:テレビ東京