NEWSの加藤シゲアキ主演のドラマ『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系・日曜22:30〜)第9話。

何かにつけてゼロ(加藤シゲアキ)の一歩先を行っていたライバル・標(佐藤龍我)がリングを4個獲得したことによって、1000億円争奪ゲームも終了。


ここから先は、連載が休止しっぱなしな原作にも描かれていないゾーン。

脚本家の腕の見せどころなわけだが、……だいぶワケが分からないことになってしまった。
今夜最終回「ゼロ 一獲千金ゲーム」最後の最後で小山慶一郎登場、グズグズの伏線をエブリー回収できるのか
イラストと文/北村ヂン

最初に決めたルールだけはちゃんと守って欲しい


設定を聞かされた当初からモヤモヤしていて、今に至るまで「なんでこんなアレンジしちゃったの?」と、ずーっと引っかかっていた原作からの改変ポイントが、「1000億円争奪ゲームの勝利条件」。

原作では、制限時間内にリングを3個集めた者、全員が決勝戦に進めるということになっていた(結局、決勝戦は描かれていないが)。

一方、ドラマ版では時間制限なしで(それ故、ゲームは数日間にわたっていた)一番先にリングを4個集めた者が勝者となる。

微妙ではあるが、ストーリー展開に大きく影響してくる違いだ。

それだけに、何か重要な「理由」があって変えているのだと思っていたのだが、今ところはその「理由」も分からないまま。

標がリングを4個集めたことでゲーム終了かと思いきや、唐突に在全(梅沢富美男)が、

「ワシが望むのは最後の最後まで食らいつく、ヘビのような男だ」

とかなんとか言い出して、追加の20分間でリング4個に至ったものが標と最終決戦をするというルールに変更。

だったら、最初から原作と同様、決勝戦が別途用意されている設定でよかったのではないだろうか。

『カイジ』にしろ『アカギ』にしろ、福本伸行作品においては、バレない限りどんな汚い手を使っても、どんなイカサマを仕込んでいてもオッケー。

しかし、決着した勝負の結果には、たとえ主催者であっても絶対に従う。

「勝負には負けたけど、ワシが主催者だから血は抜かな〜い」とかはナシなのだ。

「勝負は決まったけど、やっぱ20分追加」みたいなことをオッケーにしちゃったら、「優勝者は決まったけど、やっぱ1000億円やらない」もオッケーになってしまう。


ギャンブルをテーマにした作品で、それは絶対やっちゃいけないことだろう。

穴のある脚本が気になって仕方がないのだ


決勝戦なしルールを採用したせいで、優勝する目がなさそうなボンクラたちがリングを集める意味も分からなくなっている。

20分の追加が宣言されたものの、ゼロの取り巻きたちは自分でリング4個を揃えるのは不可能だと考え、代わりにゼロにがんばって欲しいと思っているようだ。

原作では「仲間全員で決勝戦に進む」という目的があったため、仲間内でリングを融通してゼロだけを勝ち残らせるという作戦は取れなかったが、ドラマ版のようにゼロひとり勝ち抜ければいいということならば、君が首から下げているそのリングをあげれば、ゼロは即クリアーできるんだけど!?

……というか「優勝するのはゼロか標だな」と思っていたのだとすれば、ゲーム終盤、ボンクラたちが命を賭けてリング1個や2個を取りに行く意味はまったくない。

これがずーっと引っかかっていたのだ。

理詰めで謎を解いていくというストーリーだけに、ルールに穴がある脚本は気になって仕方がない。

お前ら全員、何がやりたいんだよ


標との最終決戦「ブレイクダウン」もゆるかった。

原作における、お互いに指の指を切り落とす「ジャックルーム」をアレンジしたゲームなのは明らかだが、内容はだいぶグダグダ。

限られた鉄板を使って自分のリング(指)をガードしつつ、相手がガードしていない場所を推理していくというルール自体はほぼ同じ。

どちらも、相手の反応を見てガードしていない場所を見抜く……といいつつも、運まかせな部分が多いゲームだ。

原作では勝負相手が主催者側で、事前にサーモカメラを仕込んでいたりと、様々なイカサマを仕込んでいたため、逆につけこむスキがあったわけだが、ドラマ版では両者平等な立場。

そこで標は「相手の心の揺らぎが分かる」というエスパー的な能力を発揮する。……何それ。

一方、ゼロは「標の言うことを信じる」という方法で対抗。


「標は手を組んでもいいと思える、信用するに値する大人を求めていたんだ!」とか何とか言われても、その結果、標自身が脱落してしまっては意味がないと思うのだが。

もう「お前ら全員、何がやりたいんだよー!」状態だ。

ついでに言うと、どこに鉄板が入っているのかを当てるだけというメチャクチャ繊細な読み合いゲームなのに、プレイヤーの背後に観客がいるってあり得ないだろう。

観客のリアクション一発で鉄板の位置がバレバレになっちゃうよ!

最後の最後に小山慶一郎登場!


何だかんだで標との勝負に勝ったものの、在全の側近である後藤峰子(小池栄子)が再びルール変更する。

「勝利者は名乗らせない! 私と最後の勝負をしなさい」

とか言われても……。

これまで、さんざん嫌がらせをしてきた峰子がラスボスだという展開は熱いものがあるが、1000億円どころか、100兆円以上とも言われている在全グループのすべてが手に入ることが確定しているというのに、わざわざ追加の勝負に応じるバカはいないだろう。

そこで、ゼロに戦うことを承諾させる材料ための材料が……NEWSの小山慶一郎!

最後の最後に出てきましたな。

小山演じるミツルは、過去にゼロのせいで半身不随となったようだ。

最終回は、それに負い目を感じているゼロが勝負を受けることを認め……的な展開だと思われる。

これまで以上に「なんじゃこりゃ」な展開連発だった第9話だが、最終回でぜーんぶキレイに伏線回収してくれるのか。

それとも「なんじゃこりゃ」のまま終わってしまうのか!?
(イラストと文/北村ヂン)

【配信サイト】
日テレオンデマンド

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TVer

『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系列)
原作:福本伸行『賭博覇王伝 零』(KCデラックス 週刊少年マガジン刊)
脚本:小原信治
演出:丸谷俊平
主題歌:NEWS「生きろ」(ジャニーズ・エンタテイメント)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
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