そこでエキレビ!では、時空を旅してさまざまな「はじめて」を紹介するモグタンを演じた声優の津賀有子にインタビュー。この後編では、謎の呪文「クルクルバビンチョパペッピポ ヒヤヒヤドキッチョのモーグタン」の由来についても尋ねてみた。
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上から教えるような番組は作らないように
──初代お姉さんのうつみ宮土理さんと、二代目お姉さんの岡まゆみさんとの思い出を教えて下さい。
津賀 うつみさんはとにかくすごく器用な方で、何をやっても早いんです。私は、とにかくついていくという感じだったので、楽をさせていただいていたと思います。「クルクルバビンチョパペッピポ ヒヤヒヤドキッチョのモーグタン」の呪文の言い方は、うつみさんが考えたんですよ。最初のオープニング(『不思議な旅』)は、うつみさんと私で歌っているのですが歌詞に呪文が出てくるんです。でも、特に歌い方の指示もなくて、まずは自由に歌ってみてという感じだったので、うつみさんがああいう感じに歌ったんですよ。呪文の振りもうつみさんが考えたはず。その後、お姉さんになったまゆみちゃんもすごくテキパキしている子だったから、「あ、はい。こういう振りなんですね」みたいな感じで、なんでもすぐに覚えて。あっと言う間に番組に馴染んでいきました。
──「クルクルバビンチョ〜」の呪文には、どのような意味があるのですか?
津賀 何なんでしょうね(笑)。

──回数を重ねていく中で、津賀さんご自身が「モグタンをこういう風に見せたい」とか「こういう番組にしたい」と考えるようになったりはしましたか?
津賀 歴史やモノの起源についてお姉さんが質問すると、モグタンがそれが生まれた時代に連れて行き、一緒に調べたり、その時代の人に話を聞いたりする番組だったので、視聴者の方にも起源などを知ってもらおうというのは大前提としてあるんですけれど。私は、その事実を伝えること以上に、調べたり、知ったりする過程の楽しさを感じて欲しいなと思っていました。上から教えるような番組は作らないようにしようという気持ちは、スタッフみんなの中にもあったはず。
外でロケをしている時には、写真も撮られ放題
──モグタンはすごく物知りですが、津賀さんご自身は歴史や化学などは得意だったのですか?
津賀 化学は全然ダメでしたが、世界史や日本史は高校時代、けっこう成績は良かったですよ。歴史は教科書を丸暗記をするのではなくて、まるで自分がその世界に生きているような感覚で、ドラマチックな想像をしながら、読むのが好きだったんです。みんなもそういう感じで読んだり、勉強したりしているのだと思っていたのですが、そうでもないみたいですね(笑)。もしかしたら、そういう面があったからこそ、この番組の世界により自然に入れたのかもしれません。
──放送を重ねる事に視聴者やファンの反応などは変わっていきましたか?
津賀 変わっていきましたね。最初にサイン会をやった時は、全然知られていなくて。「モグタンって何? この人は誰?」みたいな感じだったのですが、どんどん人も増えてきて。外でロケをしている時には、写真も撮られ放題。これは私もお化粧していかなきゃダメだなって思いました(笑)。まあ、当時はネットもなかったので、写真を撮っても基本的にはその人だけのものだから、みんな、あまり気にしてなかったんですよね。今だったら、すぐに「モグタンの中の人はコイツだぞ」「案外、老けてるな」とか書かれちゃったりして、大変だったでしょうね。

──このDVD-BOXには、厳選された26エピソードが収録されているのですが、特に印象に残っているエピソードはありますか?
津賀 「虫歯」(第57話Aパート)は印象に残っていますね。
「勉強になった」ではなく、「面白かった!」と思ってもらいたい
──最後にメッセージをいただきたいのですが。まずは、『まんがはじめて物語』をまだ観たことがない人に向けて、お願いします。
津賀 モグタンとお姉さんは過去に遡って、いろいろな歴史や起源を知っていくのですが、どの時代に行って、誰に会ってもすごくフレンドリー。「やあ、秀吉さん!」「あ、聖徳太子だ!」みたいな感じで話しかけるし、それに対して偉人たちも全然偉ぶってたりもしないんですよね。
──偉人たちはよく悩んでいて。
津賀 そうそう。そういった周りの人には見せていないところも、モグタンとお姉さんには見せたりする。このDVD-BOXで、すごい人たちの意外な面や普通の人らしかったりする面も楽しみながら、いろいろな「はじめて」を知ってもらえたら良いなと思います。観終わった後、「勉強になった」とかではなく、単純に「面白かった!」と思ってもらえたら嬉しいですね。そして、何かのきっかけで、モグタンたちと一緒に知ったエピソードを思い出してもらえたりすると、さらに嬉しいです。

──では、『まんがはじめて物語』やモグタンが大好きだった人たちにもメッセージを。
津賀 放送が始まったのは1978年ですから。それからの社会の変化って、ものすごいですよね。少し話は逸れちゃうのですが、携帯電話が世に出始めたとき、ラジオCMをやらせてもらったんですね。そのとき、携帯電話会社の人に「例えば、電話で写真が撮れるようになるのと、音楽が聴けるようになるのは、どっちが人気出ると思いますか?」と聞かれて、「電話にそんな機能はいらないですよ〜」なんて言っていたんです(笑)。それから、もうあっと言う間に、それが実現していますよね。
(丸本大輔)
【商品情報】
『まんがはじめて物語 DVD-BOX』
発売日:2019年09月28日(金)
セブンネット限定で先行販売中
DVD-BOXのみ:10,000円(税別)
セブンネット限定「モグタンストラップ」付きセット:11,500円(税別)
≪DVD仕様≫
3枚組/DISC1:121分 DISC2:122分 DISC3:122分
全15話(26エピソード収録)/
片面2層/映像:MPEG2/
音声:ドルビーデジタル・モノラル/4:3
≪キャスト≫
お姉さん:岡まゆみ
モグタン:津賀有子
ナレーター:ロングおじさん(吉村光夫)
≪スタッフ≫
監督:曽我仁彦、野崎貞夫
プロデューサー:丹野雄二、永井憲二、鈴野尚志、井上博
音楽:伊部晴美
演 奏:猪俣猛とダックスフント
製作:ダックスインターナショナル、TBS