第3週「そんなん絶対ウソ!」 第16回10月18日(木)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」16話。高視聴率が続くそのワケはアレを意識か 
連続テレビ小説 まんぷく Part1 (NHKドラマ・ガイド) NHK出版

連続テレビ小説 まんぷく Part1

16話のあらすじ


福子(安藤サクラ)は三田村(橋爪功)に萬平(長谷川博己)を助けてくれるように頼む。

世良の言動に「真田丸」を思い出す


なんてよく噛み砕かれた話なんだ! と毎朝、感心して見ている。
今日もよくまとまっていた。

15話のレビューで、「福子のホテル勤務はいい設定。
街の中心のホテルにはビジネスマンが利用する。だから萬平も以前来たし、世良(桐谷健太)も来る。そして、福子と偶然出会う」と書いたら、16話では大阪経済界の重鎮・三田村亮蔵(橋爪功)がやって来て、福子は控室で彼に萬平を助けてほしいと頼む。
それも「もっと力のある人に助けてもらわないと」と言っているところに、支配人の大前田(曾我廼家寛太郎)がやって来て大阪商工会の会合があり三田村会長も来ると言うので、保科(橋本マナミ)がこの人に助けてもえそうだとピン!と来るというまことによくできた流れ。

さらに、会合に世良(桐谷健太)も来ていて、話がトントン拍子に進み、三田村、世良ラインで萬平救出の流れが生まれる。出来過ぎとはいえ、語り口がなめらかなので、すっと飲み込めてしまう。


視聴率も21%台が続いていて好調極まりない。
人気なのは、このように見る人を選ばないわかりやすさもあるだろう。
さらにそこにもうひとつ魅力を発見した。
「大河ドラマ」ぽさである。
人気のあった「大河ドラマ」のいいところを採用しているのが見て取れるのだ。
元来、朝ドラは「女の大河ドラマ化」(女が事業を成功させていく一代記)によって人気を博していると私は拙著「みんなの朝ドラ」に書いている。

「まんぷく」のヒロイン・福子は彼女自身が事業を成功させるわけではなく、夫の事業を支えていく話ではあるが、そこに秀吉を支えたねねを主人公にして人気の高かった「女太閤記」(橋田壽賀子作 81年)の気配を感じる。16話ではさっそく福子が言葉巧みに三田村を味方につけていた。

さらに言えば、世良の豹変ぶりが「真田丸」(三谷幸喜 16年)を思わせる。
あの人気だった草刈正雄演じる真田昌幸が生き残るためにすぐ寝返るところと世良の生き方が重なって見えるのだ。
16話では、三田村に接近するために控室にやって来た世良だったが、三田村が萬平助けに一役買うと言い出した途端、手伝う気満々になる。
「え〜」と福子。
この「え〜」はすっかり福子の口癖のようになっている。

目的のためには頑張る。野呂(藤山扇治郎)と牧(浜野謙太)が保科に頼まれた途端に福子を熱心に応援しはじめたことと同じこと。
「まんぷく」の人たちはこのように、バイタリティーが旺盛で、それが彼らを愛らしく見せている。
そういえば、8話には真田山病院(架空の病院)が出てきて、真田幸村ゆかりの天王寺公園がロケ地と「真田丸」を思い出させる部分があった。

同じ月を見ている


再来年に大河ドラマの主演が控える長谷川博己演じる萬平さんは、稲村(六平直政)に励まされ食べて生き残ることにする。
「食わなくなったら終わりだ 僕は負けない」床にこぼれた飯を這いつくばって食べるほどの意気地を見せる。

確かにこのまま死んだら無実も証明できない。辛いだろうが正しい判断だ。
そうこうしていると稲村が先に釈放されることになった。

稲村「おとがめなしやと」
萬平「えっ」
稲村「(ちょっと間)わいや 明日釈放らしいで」

おとがめなしだったのが稲村だったところが、思わせぶりな脚本。

萬平「そうですか。よかったですね… 稲村さん 本当によかった…」

自分だって出たいはずなのに、枯れた声で、よかったですね 稲村さん 本当によかったと手を握る萬平に、涙をこぼす稲村。

「おまえは無実や 信じてるで」「あんたも絶対に出てこい」と励ます。

萬平の声がしわがれているところがほんとうに弱っていることが伝わってくる。熱演と書きがちだけど、こういう状況だったらこうなるであろうという当たり前のことを当たり前に、いつも丁寧にやっているだけなのだと思う。そこが尊い。

そして、福子が萬平を思って月を見ている。
絶対来ると誰もが思ったであろうが、牢屋の窓から萬平も月を見ている。

ベタだけど悪くない。

今日の鈴さん


福子の恋に反対する鈴は、夢で咲(内田有紀)が出てきて「同情と恋心がごっちゃになってる」「私はお母さんの味方よ」と言う。それを嬉々として福子に報告する時、「(夢枕に立った)正しく言えば座ってたんやけどね」と言う。ベタだけど、なんか笑ってしまう。
夢の咲はどことなく顔つきが鈴に似て見える。鈴の願望が夢になって現れているからちょっと感じを変えていのだろう。
憲兵と鈴、どっちが手強いか。
(木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝ドラ「べっぴんさん」もBS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。 
この前まで再放送されていた「マッサン」のエリー役シャーロット・ケイト・フォックスが登場する「べっぴんさん」第15話レビューはコチラ