遊助「遊助はみんなに作られたもの。10周年ライブはみんなの声を形にしたい」/インタビュー2

――【遊助】インタビュー1より

「みんなで作る」っていうことをしてみたいなと思っている

――大サビの最後で「俺と付き合ってください。」という決め台詞が出てきますが、その言葉を言い終わったところのサウンドの味付けが印象的でした。告白のクライマックスで緊張がピークに達する場面だけど、音はどこか牧歌的というか、軽やかな感じに展開していくっていう。


遊助:俺の中でそこは(両手を広げて)バーッというイメージだったの。(両手を差し出して)花束っていう感じ。フラッシュモブみたいな。

――じゃあ、告白が成功してピースな場面なんですね。

遊助:そう。もちろん緊張感はあるんだけど、それが弾けてドーンと開けてる感じ。だから、そのあとのピアノソロも当初より半分のところで音量を下げて、そのぶんストリングスの音量を上げて壮大感を出して、ラストサビに向かっていくっていう流れにしたの。

――そうやってハッピーな流れで結ぶところが実に遊助さんらしいです。

遊助:この曲はカラオケで告白に使ってほしいんだ。やっぱり言いにくいときあるじゃん。好きな人と「カラオケ行こう」となって、タイトルがバーンと出てくるシーンを想像したの。

――タイトルが出ちゃったら出オチみたいじゃないですか(笑)。


遊助:まあ、そうなんだけど、「え、何コレ、何コレ?」みたいな。「いや、これはマジでお前だから」って、その子を指さして「君が好き」って言ってほしいなって。ただ、相手にその気がなかったら最悪。そのあとのカラオケボックスは地獄の空間(笑)。

――とっとと精算して店を出た方がいいですね(笑)。

遊助:だから最後の1曲で、コレを歌ってください(笑)。

遊助「遊助はみんなに作られたもの。10周年ライブはみんなの声を形にしたい」/インタビュー2

――カップリングの「美女の野獣」はレゲトン風味のナンバーですね。タイトルは「美女と野獣」のもじりですが、タイトル先行で作ったんですか?

遊助:そう。タイトルを耳にしただけで聞きたくなる曲を作ろうと。ある日、夢に女豹みたいな女の子が出てきて。動物なんだけど、人間みたいな体をしていて、そいつと踊る、みたいな。キャンプファイヤーみたいなのがあって、そこで山賊がドンダ、タッタ、ドンダ、タッタって女豹と自分のために歌や演奏で盛り上げてくれてるっていう。
だから、俺の夢の中の世界を描いたファンタジーソングだけど、聞いてると乗りたくなるような、みんなで踊りたくなるような、手を繋ぎたくなるような物語と曲にしたかったんだよね。

――「Voyager」は、スキャンダルや不祥事を起こした人を叩きまくる昨今の日本社会へのメッセージソングのような印象を受けました。

遊助:一つの問題をずっとスルメみたいにしがいて、もういいよ、同じニュースばっか、同じような番組ばっか、みたいな思いがあって。全体的に世の中、粗探ししてる風潮があるなって。揚げ足を取ってあーだこーだ言うとか、毒を吐いてぶった斬るみたいな人がカッコいいみたいになってるけど、それでいいの?みたいな。テレビとかを観ていて、最近そういうのが多いなぁという思いがこの2、3年あって。

――弱者バッシングはイジメの構造と似ていると言われていたりしますしね。

遊助:テレビを観て単純に元気になりたいとか、笑いたいとか。お互いの良いところを褒め合うとか、人を認めるとか、人を許せるような方に世の中が向いて行っていない気がしちゃって。見たり聞いたりしていて心地良くないことが多いなぁ、みたいな。俺と同じくそうやって思っている人もいるかなと思って、そういう人を代弁したんです、これは。

――通常盤のみに収録された「真夏のBig Up!」は、お得意の高速ソカナンバーですが、正直、季節外れじゃないですか?(笑)

遊助:でしょ?(笑) 今回のカップリング3曲はすっげえ前に録ったのよ。
基本的にアルバム(『あの・・こっからが山場なんですケド。』)に向けて“山”をイメージして作ってたから、どこかで山とか自然を思わせる言葉が入ってるんだよね。「美女の野獣」も「Voyager」も「真夏のBig Up!」も。

遊助「遊助はみんなに作られたもの。10周年ライブはみんなの声を形にしたい」/インタビュー2

――じゃあ、今回のカップリング曲は、『山場』のスピンオフ作品として楽しんでもらえればいいんじゃないですか?

遊助:本当、そういう感じで楽しんでもらえれば。このシングルから新たなチャプターが始まるというんじゃなくて、来年の10th Anniversary Liveまでがひとつのタームという感じだから。

――ちなみに、今回のジャケットにはUFOキャッチャーがデザインされていますが、その理由は?

遊助:Uは遊助のU。フォーはfor。で、俺はキャッチャーだったから、U for キャッチャー。英語としては間違ってるんだけど、でもCrewのみんなをキャッチ側だとすれば、キャッチャーのためにU=遊助が何かするっていうことになるし、俺がキャッチャー側に回る場合は、UをYouとすればいい。お互いにキャッチボールじゃないけど、いろんなものを受け取って渡し合って、あなたのために、って思えるようなことをやっていこうと改めて思っているんです。

――来年2月28日と3月11日に行う10th Anniversary Liveの副題が「偶然」「必然」となっていますが、その意味は?

遊助:スタッフに「この日だけ武道館押さえられます」って言われた日が2月28日で、「あれ、ちょっと待てよ」って数えてみたら、それが228回目のライブだったの。こんな偶然ある?って。
だから「偶然」。

――偶然というよりラッキーっていうくらいの引きですよ、それ。

遊助:そう。で、3月11日は自分のデビュー日だし、2011年の3.11は武道館が地震で揺れて、次の公演予定だった大阪城ホールはライブを中止にして募金活動に充てたから。そういう意味で3.11と大阪城ホールにはすごく意味があるから「必然」っていう。

――2日間でメニューは変える予定ですか?

遊助:変える。それだけはもう決めてます。どっちがどういうふうになるかはわからないし、勝手に俺の中で思っていることだけど、どっちかは応援してくれる人たちの声を聞いて作ってみようかなと。Crewが作る曲なのか、演出なのか、芝居なのか……全体をそうするのか、そういうコーナーを作るのかもわからないけど、マジで「みんなで作る」っていうことをしてみたいなと思ってる。もともと遊助自体がみんなに作られたものだから。今度はみんなの声をなにか形にしたいと思ってます。

――【インタビュー3】遊助が紹介する「これからもずっと可愛がっていこうと思う大事な仲間」とは?
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