脚本:福田 靖
演出:安達もじり
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

38話のあらすじ
汗水たらして働いた結果、給料が少なかったため、憂さ晴らしに酒場に出た男たち。
岡幸助(中尾明慶)が、からまれてる女性を助けて警察沙汰に。
なんだかストレスが溜まってギクシャクする従業員のために、福子(安藤サクラ)と萬平(長谷川博己)たちは慰労会をやることにする。
拙い芸あり、面白い芸ありで、若者たちは少しだけ癒やされるのだった。
浮世離れした美人が人気
13日の朝は、「世良さんそらないですわな〜 でもちょっと信じたい気持ちもあります」と「おはよう日本 関東版」の高瀬アナ。高瀬アナのコメントにはドラマをちゃんと見てるときとないときに温度差があって、正直なところが面白い。最近はちゃんと見ている感じがする。というのも、「まんぷく」は忙しい業務の合間に見てもわかりやすいのだと思う。その回のポイントがあそこもここもではなく、一箇所大きなポイントがあって、話題を共有しやすい。福田靖の脚本作が過去何作もヒットしているわけはそういうところにもあるだろう。ただ、そういうのが退屈と思う人もいるにはいるが、一般的にはわかりやすさが大事なのだと「まんぷく」を見ていると改めて感じる。
14日の朝は、鈴(松坂慶子)の「国定忠治」に言及してほしい。
福子たちの慰労会
慰労会での鈴の「国定忠治」はすばらしかった。
「赤城の山も今宵限り〜〜」
鈴さん、いったい、どこでどうしてこの芸を会得したのだろうか。
武士は、織田信長、豊臣秀吉をはじめとして能などをたしなむ人も多かったので、武士の娘の面目躍如といったところか。
大河ドラマの「真田丸」での演劇大会(?)を思い出してしまった。
演目は以下。
タカちゃん(岸井ゆきの)のハーモニカ演奏、
福子は英語で「リンゴの唄」、
鈴は「国定忠治」、
萬平は福子と夫婦漫才。「チャウチャウ」ネタ。ペアで貝殻をリボンとネクタイにしているところが可愛い。
芸としては大したことはないが、タカちゃんのキャラに免じて、生ぬるく見つめるハーモニカ。
日本語のままだったらみんなで歌えるのに、教養の高さが交流を邪魔をしてしまう英語の唄。
みんなの知ってるポピュラーな内容で、決め台詞で一緒に盛り上がる大衆芸能。
大衆芸能は大衆芸能だが、下手過ぎて失笑を買う漫才。
とうまい構成になっていた。
福子は道化キャラ
……と、ここで、舞台にあがった安藤サクラを見ていて気づいたことがある。
彼女のもんぺのシルエットと明るい色味が“道化”に見えて、そうか、福子はヨーロッパの古典的演劇における“道化”なんだなと感じたのだ。
道化とは、王様に仕えて、盛り上げたり、ちょっと鋭い意見を言ったりする役割。おバカさんを装いながら実は賢いキャラである。演劇では巧い俳優しかできない。
有名なのは、「リア王」の王様にくっついている道化だ。
萬平と並んで漫才している時の安藤サクラは、シェイクスピアの『間違いの喜劇』の主人公と彼にくっついている道化キャラ、もしくは、イタリアのコメディア・デラルテにおけるコロンビーナという女性キャラのようだ。
長谷川博己は実のところそんなに器用な俳優ではないから、芝居が固くなっていくこともある。四角四面の真面目キャラの役だからパキパキするしかないところを、安藤サクラが頑張っておバカさんになって盛り上げて支えている印象。それでバランスがとれている。元来、彼女もそういうお道化キャラではなかったはずだが、今回、そこに挑んでいるのではないか。そこには、長年、舞台で喜劇をやってきた柄本家の嫁の挟持すら感じてならない。
ちなみに、ピンはねして話題沸騰の世良(桐谷健太)もコメディア・デラルテ道化のひとつの典型(ずる賢いキャラ)のようでもある。
「まんぷく」には古典的な大衆芸能が基盤になっていて、そのわかりやすさが多くの人の心を捉えているのであろう。
(イラストと文/木俣冬)
連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
愛が深すぎて細かいチェックをしてしまうひとり朝ドラ国防婦人会チェック
慰労会でなんとか慰労された若者たち。
だが、慰労会の後片付けを彼らがやっていた。
ご主人様たちは芸を披露するだけして、片付けはやらないなんて……。
慰労してもらったお礼に、あとは僕らがやります! という美談かもしれない。うん、そう思っておく。
朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ
「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
「まんぷく」と同じく安達もじり演出週。
38話