「僕は日本のサッカーにひれ伏してる」 “サッカー大好き芸人” 平畠啓史流 Jリーグの楽しみ方

「僕は日本のサッカーにひれ伏してる」 “サッカー大好き芸人” 平畠啓史流 Jリーグの楽しみ方

「僕は全部受け入れる。僕は日本のサッカーにひれ伏してますから」

吉本興業所属の芸人である平畠啓史が、書籍『今日も、Jリーグ日和。』を上梓した。本書は、2012年より雑誌『サッカーダイジェスト』に連載してきたコラム「アディショナルタイムに独り言」を一部修正し、さらに今回の出版にあたり書き下ろしを追加、そして平畠が全国のサッカースタジアムで撮影した写真から構成される一冊だ。

「僕は日本のサッカーにひれ伏してる」 “サッカー大好き芸人” 平畠啓史流 Jリーグの楽しみ方

『Jリーグジャッジリプレイ』や『アメトーーク!』をはじめ、数々のサッカー番組に出演する平畠が紹介するのは、“ひらちゃん流マニアックなサッカーの楽しみ方”。「あの監督、変な顔しとんなぁ」「このおばちゃん、選手の太ももばっかり見てるなぁ」と、そんな見方もあり、とにかく「死ぬ気で楽しんだろ」という気持ちで全国のスタジアムに足を運んでいるのだという。

Jリーグ全肯定派・平畠啓史にサッカーの楽しみ方を訊く。

取材・文/オグマナオト 撮影/コザイリサ
編集・リード/田上知枝(エキサイトニュース編集部)


土地ごとに喜び方も楽しみ方も違う、Jリーグの魅力


――2018年に出版された『平畠啓史 Jリーグ54クラブ巡礼』に続くサッカー本、『今日も、Jリーグ日和。』を上梓されました。もともと海外サッカーをたくさん見ていた平畠さんがここまでJリーグにのめり込むことになったきっかけは何だったのでしょうか?

平畠:2007年からスカパー!でJリーグのハイライト番組を担当させていただいたことですね。もちろんそれまでもJリーグは見ていたんですけど、番組MCになるからには中途半端にやったらあかんな、というのが自分のなかであったんです。

――番組名を変えながら2016年末まで続いた『Jリーグマッチデーハイライト』ですね。

平畠:サッカー好きからすると、「あぁ、この人あんまり試合見てないなぁ」というのはすぐにわかるんですよ。自分がそうなるのは嫌だと思って、「よっしゃ。じゃあスタジアム全部行ったろ」「試合もむちゃくちゃ見たろ」となった感じですね。

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――それだけ何百試合と見てきたからこそ、本に記述のあった「椅子ひとつ違うだけ見える景色が変わる」という話が実に印象的でした。最近気になるスタジアム事情だとどんなことが思い浮かびますか?

平畠:新しいスタジアムだと、ギラヴァンツ北九州のホーム「ミクニワールドスタジアム北九州」なんか、最前列の迫力がすごいですね。ピッチがすっごい近いんですよ。一列目だと選手と同じくらいの目線になるので、スピード感は半端ないし、ボールも飛び込んでくるし、選手の声も聞こえるし。ガンバ大阪の「パナソニックスタジアム吹田」なんかもそうですけど、新しいスタジアムは海外のいいところをどんどん取り入れていて、おすすめです。

――また、本のなかでは小柳ルミ子さんのサッカー愛の凄まじさが描かれていますが、他にも芸能界で「この人のサッカー愛はすごい」というと誰でしょう?

平畠:うーーん……あまりいないかなぁ(笑)。あ、でもワッキー(ペナルティ)はJ1の試合は全部見てるし、選手との交流もあるし、僕なんかよりよっぽど真面目にJリーグを見ているかも。僕は結構、注意力散漫ですからね。「あの監督、変な顔しとんなぁ」とか、客席ばっかり見ているときもあれば、ボールの回転ばっかり見る試合もあったり。攻めてるのにキーパーだけ見ているときもありますね。

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――酒井高徳(現・神戸)が新潟時代、担架で運ばれている途中に試合終了のホイッスルが鳴って横になったままガッツポーズしていた、という場面の描写がこの本でもありますね。そこ見ていたの!? という。

平畠:スカパー!の番組で、そういう細かいポイントを伝えるコーナー(平ちゃんの今日イチ!)をやっていたのもあると思うんですけど、選手からも聞かれますからね。「今日、なんかオモロイことありました?」って。いやいや、たまに見つけるだけで毎回はないで! というやり取りをよくしています。でも、海外サッカーを見ていたときはもっと「システムがあーだこーだ」と凝り固まった視点だったのと比べると、楽しむ幅は広がったのかなと。

――J1からJ3まで、全クラブ全スタジアムを見てきたからこそ、そういった幅が生まれた?

平畠:そうですね。いろんなクラブを見たのもあるし、その土地土地でサポーターの方に教えられることも多いですね。「このおばちゃん、選手の太ももばっかり見てるなぁ」みたいな人もいるし。太ももで喜ぶ感覚ってなかなか気づけないじゃないですか。

――たしかにだいぶマニアックです(笑)。

平畠:ほかにも、サポーターの皆さんって「次にこのチャント流れたら気持ちええやろうなぁ」というのがあるみたいで、「コールリーダーが期待通りの曲を始めてくれたときの嬉しさったら半端ないですよ」とか。僕は個別のチームを応援しているわけではないので、その気持ちよさはわからないわけですよ。さっきの「椅子ひとつで景色が変わる」じゃないですけど、その土地ごとに喜び方も楽しみ方も違う、というのは、あちこちのJリーグを見に行って教わったことですね。

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自然に音楽を聴くように、サッカーを楽しみたい


――今も話が出た、いろんな視点でサッカーを見るという観戦スタイル、出会ったサポーターとどんどん交流していくスタイルは意識してそうなったんですか?

平畠:意識はしてないです。コラムで書くからとか、番組で喋りたいからいろんな人と知り合うとか、そういう気はさらさらないんです。まあでも、それが僕の役割なのかなって。それこそ、選手と話をしたり、監督のコメント聞いたりとかは、記者やアナウンサーがやってくれますよね。それよりも、僕なんかは有難い話、選手とも話ができる立場でありつつ、ぶらぶら歩いていたらサポーターも声をかけてくれるし、バスの運転手さんも声かけてくれるしで、そこからいろんな楽しみ方があるのを教えてもらうことが多いんですよ。僕はそれもサッカーだなぁと思うので、そこをどんどん掘っていこうとしているだけですね。単純にいえば、それが楽しいんですよ。

――その「楽しい」を仕事としてずっと続けていくというのは、誰もが憧れつつもなかなかできないことであり、継続するのも実は大変なことだと思います。好きをずっと仕事にする上で心がけていることはありますか?

平畠:すごいアホですけど、「死ぬ気で楽しんだろ」って思ってるんですよ。世の中に何十億人とおるんやったら、1人ぐらいこんなヤツおってもええかなぁと思ってやってる感じはありますね。

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――ずっと見続けることで、サッカーもより詳しくなってきましたか?

平畠:いや、変にわかりすぎないようにしよう、という思いがありますね。戦術面の話も好きですけど、理詰めになりすぎないように。たとえれば、自然に音楽を聴く感じです。ベースがこうでギターがこんな感じなら、もっとシンコペーションにして……とか考え出したら、それはもう音楽の純粋な楽しみ方とはちょっと違うやないですか。聴いてて気持ちいいから聴いているだけ、という感覚でサッカーを楽しみたいんですよ。あいつメッチャ足速いなぁ、とか。ボールすげー飛ぶなぁ、とか。そういう感覚を大事にしたいなと。まあだから、子どもと一緒ですね。

――では、日本サッカーや日本代表、Jリーグへ要望したいことは?

平畠:うーん……難しいなぁ。僕はただただサッカーを楽しませてもらっている感覚があるので、こんなサッカーを見たいとかってあまりないんです。それに、表面だけを見て「日本のサッカーはね、」とか言っても説得力ないと思うんですよ。たとえば、街のちっちゃいクラブで暑いなか子どもたちにサッカーを教えてるおっさんとか、いろんな立場の人がいてくれてるおかげで、日本のサッカーって成り立ってると思うんです。むしろ、本当に偉いのはそんな人たち。彼らからしてみたら、「お前にそんなん言われたないわ!」ってなると思うんです。だから、僕は全部受け入れる。僕は日本のサッカーにひれ伏してますから。

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兎にも角にも1回スタジアムに行ってみましょう!


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――今シーズンのJリーグと平畠さんというと、DAZNで配信している『Jリーグジャッジリプレイ』も話題です。

平畠:おかげさまであの番組はたくさんの反響をいただくんですよ。ビックリするのが、小さい子やお母さんみたいな人たちも「ジャッジリプレイ見てます」と言ってくださること。スマホでも見られるから、という気軽さもあるんでしょうけど、ありがたいですね。

――特に今季は偶然にもというか誤審騒動が何度もあり、番組も深刻な内容になりがちな分、平畠さんのコメントでちょっと救われるというか。

平畠:あんまり変なこと言いすぎると「平畠ふざけすぎ!」となるし、さじ加減は難しいですよね。でも、海外ではこういった「今のプレーはどうだ? あの判定でいいのか?」みたいな検証番組ってポピュラーなので、そういうのをやりたいとずっと思っていたんです。だから、それができることになった嬉しさの反面、サッカーの楽しみ方という点からいうと、判定に関しての議論ばっかりになるのもどうなの? ということも考えながらやらせてもらっています。

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――でも、こういう検証をJリーグ主導でやっている、ということの意義は大きいのかなと。

平畠:ただ、やっぱりみんな真面目なんで、「いや、今の判定おかしいでしょ!」とか「あの審判外したほうがいいよ」だけになりすぎないように。これもサッカーの楽しみ方の一部ですよ、という意識を忘れないようにとは心がけています。あと、僕が気をつけているのは、変な先入観で意見を言うことだけはしない、ということ。だから、あえて事前の打ち合わせにも参加していません。事前に見て、「よっしゃ、これ言ったろ」と構えるのも違うと思うんです。それに、知っている選手が汚いファウルをするかもしれないわけで、そこで変な忖度もしたくない。映像を見て率直にどう思ったかを言うのがいいのかなって。

――硬軟、さまざまな視点でJリーグと向き合う平畠さんだからこそ改めて伝えたい、Jリーグの楽しみ方を教えてください。

平畠:これはもう、難しいこと考える必要がないというか。別にサッカーを知らなくたっていいですしね。たとえば、どこか遊びに行ったときにそこで盆踊りをやっていたら、決まりの踊りは知らなくても、とりあえず参加すればなんか面白いじゃないですか。一緒に踊ってもいいし、傍観者でもいいし、浴衣の綺麗なお姉さんにウットリしてもいいし、出店で食べまくってもいい。ルールを知らなくても、そこに人が集まっていて「ワーッ」となっている雰囲気そのものが楽しい。Jリーグって、そういう感じでいいのかな、と。

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――一緒に踊ってもいい、見てるだけでもいい、出店を楽しむでもいいって、この本で平畠さんが書いているJリーグの日常ですね。

平畠:文句ばっかり言ってるおっさんでもいいと思うんですよ。「あいつ下手くそやなぁ」と言うててもいいし、「頑張れー」と声を張りあげてもいい。サッカーってこうですよ、みたいな固定観念に凝り固まらないように。兎にも角にも1回スタジアムに行ってみましょう! と。開幕したときに1回だけ行ったなぁとか、W杯で盛り上がったときは行ったなぁ、という人も、久しぶりにスタジアムに行けば、いろんな変化があってすごく楽しいと思うんです。この本を読んで、「じゃあ、ちょっと行ってみようかな」と、そんな気持ちになってもらえたら、僕もちょっと嬉しいなぁ。


プロフィール


平畠啓史(ひらはたけいじ)
1968年8月14日生まれ。出身の大阪府高槻市でサッカーを始め、高校3年時には主将としてチームをインターハイ出場に導く。スカパー!のJリーグハイライト番組で10年にわたりMCを務めるなど、プライベートも含めてJリーグの試合会場に足を運び続け、芸能界ナンバーワンのサッカー通として知られる。

スカパー!の「平畠会議」「平ちゃんの『ほな行こか。』」、Jリーグのインターネット配信番組「ひらチャンねる」、DAZNでのJ3ゲームの実況、「Jリーグジャッジリプレイ」など、独自の視点からサッカーの魅力を伝え続け、活躍の場を広げている。

2018年には自信初の著書「平畠啓史 Jリーグ54クラブ巡礼」(ヨシモトブックス)を発売、累計2万7,000分を発行するなど、好評を博した。

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