ドラマイズム「左ききのエレン」(TBS毎週火曜日深夜1時28分 MBS毎週日曜日深夜0時50分)、今夜第7話「不夜城の兵隊」。原作は、マンガ『左ききのエレン』

池田エライザ「左ききのエレン」「若さは最後の切り札、いずれなくなるカードをあてにするな」の是非6話

「第6話 誰がつくったかなんて、誰も知らなくても」で、神谷先輩(石崎ひゅーい)と朝倉光一(神尾楓珠)はまだタクシーに乗っていた!
前話、ふたりは、最初から最後までタクシーに乗っていた。
ふたりが対話のなかで過去をふりかえり、過去のシーンに飛び、そこに山岸エレン(池田エライザ)の現在と過去が挟み込まれる構成。だったので、もちろんタクシーのシーンだけではないのだが、第6話冒頭、まだタクシーに乗ってる!
「おまえぶったおれてたもんな」
神谷先輩の言葉で、光一が過労で倒れたシーンへ。
「ほんとうにきついなら降りてもいいんだぞ」
神谷先輩の言葉に食い気味に
「やりたいです」
と答える光一。
若さと体力にまかせて、がむしゃらにがんばる光一。
がんばらせる神谷先輩。


タクシーのなか。
光一は、沢村さんに
「若さは最後の切り札だ。いずれなくなるカードをあてにするな」
って言われたことを神谷先輩に語る。

神谷先輩は、その言葉を否定する。
かつてサド村って言われるほど周りにビビられていた沢村の「生き方」を神谷先輩は選んだのだ。
その沢村が、優しくなって、若さや体力まかせな働き方を否定する。

「時代が変わったんだ」
神谷先輩は、激昂する。
「甘い夢よりも、しびれる現実のために。大人になることよりも、クリエイターになることにしたんですよ。光一だって、そうです。あいつはいま変わりたがっている。そんなやつを前に、俺は優しくなんてなれないっすよ」
神谷先輩が、光一にところに来て聞く。

「万全の体制ならもっといいもんができるか」
「そりゃもちろん」
と答える光一に、神谷先輩は言い切る。
「クソみたいな日にいいもん作るのがプロだ」

今や、神谷のような働き方は、ほぼ難しくなった。
時代が変わった。
電通のビルの灯りが夜10時になると一斉に消える。
残業禁止。
「3日帰らずに働く」なんてことはできなくなった。

若さにまかせて歯を食いしばり、何かを見つけようとあがくことが禁止された。
がむしゃらにがんばることを、できなくしてしまった。

ラストのラストで、タクシーから降りて、神谷先輩が会社を辞めることを光一に告げる。
新しい会社を作るのだ。
「これからはスターよりもチームの時代だ」
光一にとってスターであり先輩であった神谷に、そう言われてしまう。
それは、社会が、がむしゃらにがんばることを露骨に否定する少し前の時代だ。

テキスト:米光一成

【DATA】
原作 かっぴー/nifuni『左ききのエレン』(集英社「少年ジャンプ+」連載中) かっぴー『左ききのエレン』(cakes連載)
監督 後藤庸介 深迫康之 本間利幸
脚本 根本ノンジ 守口悠介 本田隆朗
制作 共同テレビジョン
製作 ドラマ「左ききのエレン」製作委員会・MBS

朝倉光一…神尾楓珠
山岸エレン…池田エライザ

神谷雄介…石崎ひゅーい
加藤さゆり…中村ゆりか
三橋由利奈…今泉佑唯
流川俊…吉村界人
朱音優子…田中真琴
園宮千晶…久保田紗友

岸あかり…八木アリサ
佐久間威風…板橋駿谷

柳 一…丸山智己
沢村考…村杉蝉之介
冬月慎太郎…阪田マサノブ

海堂…般若
古谷真治…堀部圭亮