「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

バラバラになったまま浮遊する家、街。そして、自分の身体までもが勝手に切断されていく──。悪夢のような世界で目覚めたのは、名探偵・酒井戸。彼は自分が何者かすらわからないまま、奇妙な物理法則に支配された世界を受け入れ、殺された状態で発見された女の子(カエルちゃん)の死の謎を解いていく。

2020年1月放送開始の新作アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」を、あえて一言で表すなら「不可解」だ。謎が複雑に絡み合った結果、謎が謎のまま秩序となる。不可解を受け入れた先に、真の答えが見えてくる。舞城王太郎の脚本を、あおきえい監督が映像化した「オリジナルSFミステリ」。

主人公の酒井戸を演じる津田健次郎も、この作品の持つ不可解さに魅せられた一人だ。「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」「テニスの王子様」「進撃の巨人」「ゴールデンカムイ」など数々の人気アニメで活躍してきた彼が、今回初めてエキサイトニュースのインタビューに登場。自身の芝居観、そして「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」というアニメについて語った。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

取材・文/ヒガキユウカ 撮影/稲澤朝博 編集/日野綾(エキサイトニュース)

別の人格というフィルターを通すことで、ネガティブな感情も表現できた


「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』
津田健次郎がCVを務める『名探偵・酒井戸』

──声優のイメージの強い津田さんですが、俳優、演出、脚本、監督、クリエイティブプロデューサーなど、本当に幅広く活躍していらっしゃいますよね。

今でこそ声優がメインになっていますが、最初の入り口は声優ではなかったんですよ。19歳ぐらいの頃から舞台や映像の俳優をしていました。一度アニメのオーディションを受けたら受かって、経験ゼロで現場に出たんです。

──自身の体を使う俳優としての芝居と、声のみの声優としての演技、共通するものなんでしょうか。

共通していると思います。俳優という大きな枠があって、その中に舞台や映画、ドラマ、そしてアニメがある。とはいえ最初はさすがに作業の部分で違う点はあるので、試行錯誤ではありましたが。舞台でしか表現できないこと、声でしか表現できないことは細部でやっぱりあって、今もそれぞれを一生懸命やらせていただいています。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

──方法を問わず、「演じる」ということ自体にのめり込んでいる印象です。そもそも、演技の世界に入ったきっかけを教えていただけますか。

最初は監督として、自分で映画を撮りたかったんです。でも、「撮りたい」という気持ちがあるだけで、何を撮りたいかが具体的に思い浮かばなかった。それなら、まずは芝居する方をやってみようかなとチャレンジしてみたんです。

いざ稽古をしてみると、これが難しくて。でも、それで逆に火がついたというか。芝居を始めるまでの僕には、生きていくなかで生まれたネガティブな感情とか、自分の中にぽっかり空いたまま埋まっていない穴とかがあって。それらを役柄、つまり別の人格というフィルターを通すことで素直に表現できた。それが面白かったんです。

「この作品は、おもしろいことをやろうとしている気がした」


「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

──アニメに声優に絞っても、1990年代から最前線で活躍していらっしゃいました。津田さんが長年アニメ界を見てきて、感じていることを教えていただけますか。

その時々でトレンドはありましたが、 最近について思うのは、アニメを観るのが当たり前だった世代の方々が大人になったことで、大人向けの作品が本当に増えているということ。今の若い子たちもそうです。もうアニメを観るのは当たり前のことなんですね。何も違和感なく、気付いた頃にはスマホを持っていて、そしてそれと同じようにアニメを観ることができて。日常的にアニメを観ることが特殊なことじゃなくなったと思いますね。

──それこそ、今回の「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」も、決して子供が夜7時に観るような内容ではない、どちらかというと大人向けの内容ですよね。

そうですね。大人な作品だと思います。

──津田さんが最初に今作に触れたタイミングはいつでしたか?

オーディションです。セリフの抜粋で見たので、何がなんだか全くわからない状態で、いざ役が決まって、台本をいただいたときもまだ見えてこない。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

わけもわからない所で目が覚め、腕が輪切りになっていき、家や街がバラバラになっている世界のなかで、当たり前のように「カエルちゃん」という謎の女の子が殺されていて……。「なんだかよくわからない世界が描かれているな」と思ったのが正直なところです。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』
殺された状態で発見された女の子(カエルちゃん)

──本編を拝見しましたが、一話は衝撃の連続でした。

映像として最初に見たのはリハーサルビデオだったんですが、本当におもしろいことをこの作品はやろうとしている気がしたんです。

──名探偵・酒井戸を演じる上で、意識していたことはありますか?

酒井戸は、基本的に淡々としているんですよね。つまり「この世界は何なんだろう」とか、カエルちゃんの死体があることとか、人がバラバラになってもそこで普通に生活していることとか、それらに対して特に驚かない。でもどこかヒロイックな部分というか。淡々と喋るけど、内側ですごく激しいものを抱えている。それをそのまま出すのではなく、内包することで、かえってエッジが効いてくるようなキャラクターだと思っていました。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

──もう全話のアフレコは終わっていると伺いました。現場の雰囲気はいかがでしたか?

作品の凄惨さも内包したストーリーと違って、現場は和気あいあいと、楽しい雰囲気でした。とはいえ作品のテイスト的にもシリアスではあるので、回っているときと回っていないときのメリハリははっきりしていましたね。

「イド」(=ID:INVADED イド:インヴェイデッド)はちょっとだけ特殊な収録環境で、アフレコマイクではなくガンマイクを使っていたんです。ガンマイクは、通常は実写のドラマや映画で使われるようなもの。そのおかげで、臨場感のある音に仕上がったと思います。

──ガンマイクを使うことで、演じる上で変わる部分もあるのでしょうか?

芝居に関して変えるところは全くありません。強いて言えば普段は目の前にマイクがあって、ガンマイクは少し離れたところにあるので、より自由に体を使って演じられる感じはしましたね。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

──ご自身でも出来上がった映像を観てみて、「やっぱり音が違うな」と感じられましたか?

違いました。やっぱり生っぽく聞こえてきますよね。ぼそぼそしたつぶやきもしっかり拾ってくれる。

──アニメ全体にとっても酒井戸にとっても重要な役割を持つ百貴役は、細谷佳正さんが担当されています。

「テニスの王子様」シリーズをはじめ、細谷くんとはこれまでにも共演する機会が多い方でした。彼とはちょっと似ているところがあって、好きな演技の「質」が共通しています。話していて思うのは、彼もリアルな演技が好きなんですよ。内側から立ち上ってくる演技とか。僕から見て、おそらく細谷くんはそういうのが好きなんだろうなと思っていて、感覚が合う気がします。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

──名探偵・酒井戸と百貴は、作中でも2人で語り合う様子が、重要なシーンとして描かれています。お二人の信頼関係が、酒井戸と百貴の微妙な心の機微や会話の駆け引きに、絶妙に現れているように思えました。

楽しかったです、本当に2人とも「イド」が大好きなので。第一話の収録後も、「このアニメすごいよね」って盛り上がっていました。
「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』
細谷佳正がCVを務める『百貴』

──名探偵・酒井戸の話に戻りますが、素人目には、演じるのが難しそうな役柄にも思えます。苦労した点などはありましたか?

特別、名探偵・酒井戸が難しいということはなかったんですよ。そもそも、酒井戸に限らずキャラクターを演じるのは難しいことだと僕は思っていて。その中で酒井戸は、僕の感覚で言うなら、割とフィットしました。

酒井戸も、鳴瓢(酒井戸のもうひとつの人格)もどちらも淡々としていて、乾いているような人間。でもすごくウェットなものも持っていて、そこのバランスがすごく自分自身になじみましたね。特に鳴瓠はすごく静かなんだけど、中にすごいものが渦巻いていて……。

──津田さんご自身にも、そういう一面がある?

そうですね、だからフィットしたのかな。僕にとって名探偵・酒井戸は、一緒に長い旅をした同志のような存在なんです。いろんな世界に飛んで、酒井戸と一緒に旅をしたような感じ。酒井戸、そして鳴瓢がどんな人間なのか僕も最初はわからなくて、何を求めているのか、何を抱えているのかは台本が進むにつれてようやくわかっていった。そういう意味では僕自身にとっても、この1クールは酒井戸を知っていく旅でした。
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プレゼント応募要項


「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」の放送を記念して、津田健次郎さん、細谷佳正さん、あおきえい監督、碇谷総作画監督4名のサイン入り色紙を抽選で1名様にプレゼントいたします。

応募方法は下記の通り。
(1)エキサイトニュース(@ExciteJapan)の公式ツイッターをフォロー
(2)下記ツイートをリツイート
応募受付期間:2019年12月11日(水)~12月25日(水)18:00まで

<注意事項>
※非公開(鍵付き)アカウントに関しては対象外となりますので予めご了承ください。
※当選者様へは、エキサイトニュースアカウント(@ExciteJapan)からダイレクトメッセージをお送りいたします。その際、専用フォームから送付先に関する情報をご入力いただきます。
※当選した方に入力いただく情報はエキサイト株式会社がプレゼント発送に使用するものです。また、提供された個人情報は、同社サービスに関する連絡に限定して利用されます。
※DMでお伝えした期日までに返信をいただけなかった場合は、当選無効とさせていただきます。
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(エキサイトニュース編集部)

アニメ情報


「このアニメ、衝撃の連続だった」主演・津田健次郎が語る、あおきえい監督最新作『ID:INVADED』

ID:INVADED イド:インヴェイデッド
2020年1月放送開始
https://id-invaded-anime.com/

キャスト
酒井戸:津田健次郎
百貴:細谷佳正
本堂町:M・A・O
東郷:ブリドカットセーラ恵美
早瀬浦:村治学
白岳:近藤隆
羽二重:岩瀬周平
若鹿:榎木淳弥
国府:加藤渉
西村:落合福嗣

スタッフ
原作:The Detectives United
監督:あおきえい
脚本:舞城王太郎
キャラクター原案:小玉有起
キャラクターデザイン:碇谷敦
美術・世界観設定:曽野由大
メインアニメーター:又賀大介

Profile
津田 健次郎
つだ けんじろう

アニメ、吹き替え、CMナレーション、ラジオパーソナリティーなど声優業を中心に、他にも舞台など多方面で活動している。

関連サイト
@tsuda_ken津田健次郎 Official Website