米倉涼子主演の人気医療ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」第6シリーズ(テレビ朝日系・木曜21時~)第8話。

患者として小泉進次郎っぽい“政界のプリンス”が登場。
タイムリーでおいしいキャラクターだが、それ以上にキャラの強い美人女医の登場に心を奪われてしまった。
「ドクターX」小泉進次郎っぽい「政界のプリンス」が、あざとい美人女医・松本まりかと結婚8話
イラストと文/北村ヂン

失敗しない美人女医登場


蛭間院長のリークによって、副院長のニコラス丹下(市村正親)が逮捕された。

これまで丹下派だった医師たちに粛正の嵐が吹き荒れる中、蛭間院長による招へいで“失敗しない天使”こと中山麻里亜(松本まりか)が現れる。

麻里亜は、医学部時代にミス・東帝大を受賞した美人女医。海外の病院で、マッカーサー教授やチャーリン教授、スターチル教授(突然の政治家・軍人ネタは何なんだ……)といった世界的名医と組んで難しい手術をこなし、論文も高い評価を受けているという。

“女医”であることで、医局の中において良くも悪くも目立っている大門。考えてみれば、大門のライバル的なポジションとして女医が出てきたことは、ほぼなかった。

本作の定番パターンが、「男尊女卑的な思考を持ち、大門を侮るおっさん医師たちを、超絶テクニックで蹴散らす」構図が多いからという事情もあるのだろう。

そこに現れた若くて腕もいい美人女医。

「若いし、女らしいし、愛想はいいし、大門さんにはないものばかり持っている女だってことは間違いないわね」

手術の腕が超絶良くて顔面が米倉涼子だったら、多少、性格に難があってもチヤホヤされそうなものだが……。

手術さえできていれば、おっさんたちに侮られようが、嫌みを言われようが気にしない大門だったが、医局や患者たちにチヤホヤされまくりな麻里亜に対しては、若干いらだちを見せていた。

「大門先生って、バイトなんですよね?」

「フリーランス!」

無敵の大門が驚異を感じる女医登場か!?

しかし、手術を見学した大門は、麻里亜のオペがドヘタだということを見抜く。

「失敗しない呪文」の正体は……


東帝大学病院に、次期総理候補ナンバー1と言われる政界のプリンス・八村正義(竹財輝之助)……まあ、小泉進次郎っぽい人が入院して来た。

八村の手術の執刀医は潮一摩(ユースケ・サンタマリア)に決まっていたが、麻里亜が蛭間院長に手を回し、記者会見の場で突然、麻里亜が執刀医であると発表される。


そもそもこの記者会見も、秘密裏に手術を済ませようとしていた八村を「病気を公表する事こそが、真の政治家の姿ではないでしょうか?」とか何とか言いくるめて実施することになったのだ。

男性医師たちにも媚びまくり、時には手術中におっぱいを押し当ててまで味方を作っていく麻里亜。これまでになかったタイプの敵役だ。

麻里亜が八村の執刀医となったことを知った大門は、

「アンタはオペしない方がいいって。ヘタクソだから」

と忠告するが、

「大丈夫です。私ヘタでも失敗しないので。失敗しない呪文を知ってるんです。大門先生には使えない、とってもよく効く呪文なんですよ」

とのこと。

麻里亜の媚び媚びな行動から、おおむね予想はついていたが、「失敗しない呪文」の正体は「お願い、助けて!」というもの。

要は、名医を助手につけて、フォローしてもらっていたから失敗しなかったのだ。

「アメリカの教授たちを食い散らかして、もう誰も助手をしてくれる人がいなくなったから日本に帰ってきたそうですね」

アメリカ時代には潮とも交際しており、村崎公彦(藤森慎吾)も付き合いがあったという。

「おいおい、ブラザーかよ!」

女の武器をフルに活用する呪文。
そりゃあ大門には使えないわけだ。

松本まりかのヤバあざとい演技に圧倒された!


結局、潮と村崎が手術を放棄したことで途方に暮れる麻里亜の元に、大門が登場してサクッと手術を成功させるいつもの展開。

腕を誇っていた医師が手術の失敗を経て、大門に屈服して心を入れ替えたり、ますます敵意を増大させたり……というのがお約束だが、もともと「手術がヘタ」だと割り切っている麻里亜にとっては、手術の失敗などノーダメージだった。

「アンタの失敗しない呪文は、患者の命を人任せにする呪文でしょ。そういうの、医者って言わないの。患者に迷惑。もう医者、やめたら?」

「やめます。大門先生に言われなくても。私、結婚するので!」

いつの間にか政界のプリンスのハートを射とめており、将来の総理夫人ポジションをゲットしていたのだ。強い……! 大門未知子がここまで翻弄される相手は、なかなかいない。

「ホリデイラブ」のサイコな不倫女や、「シャーロック」でのクレイジー妻役など、ヤバくてあざとい女の演技をさせたら当代一の松本まりか。敵役の影が薄い今シリーズにおいて、輝きを放っていた。


むしろ、シリーズ通して出演して、おっさん医師たちをどんどん味方につけて大門を追い詰めたりしていたら、もっと盛り上がったんじゃないかと……。

一方、影の薄い敵役・浜地真理(清水ミチコ)は、若い美人女医の出現でますます冷遇され、なぜか大門たちと仲良くなって、ユーミンや井上陽水、黒柳徹子のモノマネを披露していた。

いや、面白いんだけど、ドラマでやる必要はあったんだろうか。
(イラストと文/北村ヂン)

【配信サイト】
Abema TV
テレ朝動画

『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日)
脚本:中園ミホ、林誠人、香坂隆史
音楽:沢田完
主題歌:P!NK「ソー・ホワット」
企画協力:古賀誠一(オスカープロモーション)
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、都築歩(テレビ朝日)、霜田一寿(ザ・ワークス)、大垣一穂(ザ・ワークス)、伊賀宣子(ザ・ワークス)
演出:田村直己(テレビ朝日)、松田秀知、ほか
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
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