米倉涼子主演の人気医療ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」第6シリーズ(テレビ朝日系・木曜21時~)第6話。

時事ネタをチョイチョイ取り入れてくる本作。
今回は海外セレブの患者が登場し、浅草観光や歌舞伎の要素が取り入れられていた。……「インバウンド」ネタか。
「ドクターX」大門未知子が植毛手術に挑戦? 何だかんだで胃がんと薄毛を根治第7話
イラストと文/北村ヂン

大門未知子が植毛手術!?


患者は、ゴールドバーグ・バンクCEOのセブン・ゴールドバーグ(アラン・ロワ)。最先端の毛包手術……要は植毛を希望しているという。

大門が形成外科の分野にチャレンジという、なかなか面白そうな案件。大門がミラクル技術で毛を植えていくの、見たい! ……と期待していたのだが。

「たかが植毛でしょ? 生きるか死ぬかって患者は、私は絶対に救う。あんたのはサクッと片付ける」

手術だったら何でもやりたいタイプだと思われていた大門だが、生き死にに関わらない手術はお好みではないらしい。

植毛に関しては完全にやる気ナシな大門だったのだが、突然セブンがぶっ倒れる。実は別の病気を発症していたというパターン。

セブンの病状は「胃がんステージIB」。リンパ節への転移が見られるものの、手術によって根治できる可能性は高い。

暴言を吐いた大門は例のごとくチームから外され、加地秀樹(勝村政信)が主治医に、第一助手に原守(鈴木浩介)と、第1シリーズからのお馴染みのメンバーが担当することに。


プライドから「英語力には自信がある」と言い張って後輩の通訳を断ったふたりだったが、セブンの問診中「アレルギーがあるかどうか」という重要な項目が聴き取れず、あやふやなまま手術に突入していしまう。

加地はともかく、原は以前、アメリカ人外科医のナナーシャと付き合っていたのに英語ダメだったんか……。

ささいな雑談も逃さない大門


案の定、手術中に容体が急変し、高熱を出したセブン。加地たちは、問診ミスのせいでアレルギーによるアナフィラキシーショックを引き起こしてしまったのではないかとパニックに陥るが、そこに大門が登場するというお約束の展開だ。

「アレルギーじゃないよ。これ、悪性高熱症」

「悪性高熱症」とは、全身麻酔によって引き起こされることのある併発症で、高熱を発症し、適切な処置を行わないと死に至る。

大門は、セブンの妻・ナナリー(アナンダ・ジェイコブズ)との雑談で「(セブンの父が)盲腸のオペの後に高熱を出して死亡した」という話を耳にしており、遺伝することがある「悪性高熱症」の可能性を見抜いていたのだ。

手術後、加地たちは問診があやふやなまま手術をしてしまったことを大門に謝罪するが、

「ふざけんな! プライド? 恥? ふざけんじゃないよ。そんなゴミみたいなもんで、あの患者死なせるところだったんだよ。そんなんで患者にメス入れんな!」

と激怒される。正論ではあるけど……。

たとえ加地たちが問診を完璧に聴き取れていたとしても、問題はアレルギーとは関係のない「悪性高熱症」だったわけで、可能性に気付くのは難しかったのではないだろうか。父親の話なんて出てもいなかったし。


とはいえ「問診、よく聴き取れなかったけど、ま、いっか」感覚で手術をされる患者はたまったもんじゃない。毎度毎度、恐ろしい病院だ。

ささいな雑談の中からも情報を見逃さない大門のすごさが際立っていた。

「外来種」って誰のことなのよ


「敵役」の存在感が薄く、ストレートにスカッとできるエピソードの少ない今シリーズだが、今回もボンクラ医師たちの失敗を大門がフォローするという、若干モヤモヤする展開となっていた。

加地は「腹腔鏡の魔術師」凄腕の外科医だったはずだが……。

敵対の構図としては、東帝大学病院の経営再建にかこつけて、自らの夢であるメディカルリゾート計画を推し進めるニコラス丹下(市村正親)と、今まで通りの権威主義的な病院の体制を維持しようとする蛭間院長(西田敏行)の対立を描こうとしているようだ。

しかし、大門が蚊帳の外に置かれている上、どちらにも別段感情移入できないためイマイチ盛り上がらない。

普段、クールな丹下が、ゴールドバーグ・バンクから5億ドルの融資をゲットして、鮫島有(武田真治)とふたりで「5億サンバ」を踊り狂っていたのには笑ったけど。

そんな丹下も、患者の容体を利用してインサイダー取引をした証拠を警察にリークされ、鮫島ともども逮捕されてしまった。今シリーズ第1話で、丹下のリークによって逮捕された蛭間の意趣返しだ。

いよいよ日産のお家騒動を思わせる展開となってきた。

胃がんが治った上に、髪の毛もフサフサにしてもらってご機嫌のセブンから、アメリカへの出張オペを依頼され「プライベートジェットも買う」とまで言われていた大門だが、「オペしたい患者がいるの」と断っていた。


大門との会食中、丹下が分かりやす~く胸を押さえていたが、「ドクターX」シリーズお馴染み、大門と敵対していた人が病気になって、大門に頼らざるを得なくなるパターンか。

「このままでは日本の弱い魚は全部食われてしまうぞ」と主張する丹下、「これ以上、外来種をのさばらせるわけにはいかんからねぇ〜」と語る蛭間院長。そして大門は「弱い魚はブラックバスに食われろ」と言っていた。

……ちょっと意味分からないんですけど。

最終回に向けて、海外からの刺客が現れるのかな?
(イラストと文/北村ヂン)

【配信サイト】
Abema TV
テレ朝動画

『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日)
脚本:中園ミホ、林誠人、香坂隆史
音楽:沢田完
主題歌:P!NK「ソー・ホワット」
企画協力:古賀誠一(オスカープロモーション)
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、都築歩(テレビ朝日)、霜田一寿(ザ・ワークス)、大垣一穂(ザ・ワークス)、伊賀宣子(ザ・ワークス)
演出:田村直己(テレビ朝日)、松田秀知、ほか
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
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