「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

1999年から2003年にかけて放送され、絶大な人気を誇ったアニメ『おジャ魔女どれみ』。テレビアニメ第一シリーズから20年を迎え、周年を記念した映画の製作が決定。
遂に待望の新作が今年お目見えとなる。

映画のテーマは『おジャ魔女どれみ』を観て育った女性3人の成長を描いた“大人のための新たな魔法の物語”。教員志望でありながらも進路に戸惑う大学生・長瀬ソラ役に森川葵、都内の有名商社に勤めながらも会社での人間関係に悩む会社員・吉月ミレ役に松井玲奈、夢を追いながらもダメ彼氏に振り回されるフリーター・川谷レイカ役に百田夏菜子が出演し、豪華共演が実現。年齢も性格も職業もバラバラな3人が、『おジャ魔女どれみ』をきっかけに運命的な出会いを果たし旅に出る。

小さい頃から『おジャ魔女どれみ』のファンで、本作をきっかけに友達になったという森川&松井&百田。映画さながらに『おジャ魔女どれみ』繋がりで仲を深めた彼女たちに、アニメに関する思い出や、本作から学んだことなどたくさんの質問に答えてもらった。

取材・文/近藤 加奈子 撮影/稲澤朝博

「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

「気がついたら、どれみちゃんはいつも傍にいて、人生に寄り添ってくれました」(百田)


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――まずは、今回のオファーを受けたときの気持ちをお聞かせください。

森川葵(以下、森川):作品のいちファンとして「え、嘘でしょ? 本当に?」という気持ちで信じられませんでした。しかも、お話を聞いたときは台本もまだ読めていなくて、自分がどういう役で参加するのかも分からない状態で。でも昔からどれみちゃんが大好きだったので、自分のなかではもう“出たい”って決めていたんです(笑)。そんな特別な思いがあるからこそマネージャーさんと相談を重ねて出させていただくことになりました。
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松井玲奈(以下、松井):私も『おジャ魔女どれみ』をずっと観ていた世代なので、お話を頂いたときはとてもうれしかったです。むしろこの映画を観に行こうと思っていた側の人間だったので、「まさかそこに自分が参加できるなんて!」という驚きでいっぱいでした。
あと、今回の作品は周りの友達も楽しみにしてくれていて、本当にどれみちゃんが多くの人に愛されているのを実感しています。
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百田夏菜子(以下、百田):最初マネージャーさんからお話を聞いたときは、信じられなくて3回くらい聞き返しました。「え? どれみちゃん?」と私が半信半疑で確認すると、マネージャーさんが「そういう話みたいだよ」って。なんかすごくぼんやり言われたので、「それ本当に『おジャ魔女どれみ』で合っています?」って何度も確認するという(笑)。どうやらマネージャーさんは世代じゃないらしく、どれみちゃんに疎かったらしくて。その後、オファーは嘘じゃないと判明しました(笑)。

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――良かったです!(笑)

百田:本当にそうですよ(笑)! そしてその日はマネージャーさんにずっとどれみちゃんの素晴らしさを語り尽くしました。

松井:マネージャーさんはどんな反応だったんですか?

百田:ちょっと引いていました(笑)。

森川&松井:(笑)。

百田:でも最終的に「まぁ、たしかに子供の頃に観ていたアニメって大人になっても情熱が抜けないものだよね」と理解はしてくれました。
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

――本当にガチ勢なんですね! 皆さんにとって『おジャ魔女どれみ』とはどんな存在なんですか?

森川:私にとってはアニメの楽しさを教えてくれた作品です。今は自分が“アニメ好き”という自覚があって、積極的にいろんな作品を観ているのですが、どれみちゃんに関しては物心ついたときから無意識にチャンネルをつけていました。
今みたいに何にも情報を持たないで観ていたアニメとしては、自分にとって一番古い作品だと思うんです。だからそういう意味では、自分にアニメの素晴らしさを最初に気づかせてくれた作品なのかなって。

百田:私も物心ついたときにはどれみちゃんが大好きでした。森川さんの言うように、今なら、「このアニメ面白いから観てみてよ!」みたいな感じで誰かからオススメされて、それでその作品を好きになったりするけど、どれみちゃんはそういうのが一切ないんですね。どれみちゃんは自分の生活にあって当たり前の存在で、いつも近くにいてくれた。今でも当時の感覚に戻りたくて、小さい頃に好きだったシリーズを観返すんですよ。

「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

松井:もう存在が大きすぎてひとことでは言い表せないですよね。私の人生のなかに『おジャ魔女どれみ』というものはずっとあって、どれみちゃんとの思い出はたくさんあります。同性代の女の子たちの間では、『おジャ魔女どれみ』は共通言語みたいなもので、カラオケで『おジャ魔女カーニバル!!』を歌って盛り上がるのもお約束。思い出のアニメとかそういう枠を通り越して、潜在意識にあるものだと感じでいます。
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「今回の現場で学んだ声の表情の大切さを、お芝居にもフィードバックしていきたいです」(森川)


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――脚本を読んでみてどんな感想を持たれましたか?

森川:魔法って実は日常に溢れているんだなということに気づきました。やっぱり大人になって現実を知ると、「世の中こんなもんか……」と腐ってしまうことも思うんです。でも純粋な気持ちでまわりを見れば、魔法のような奇跡や幸せってたくさん起こっているんだなって。


――たとえば日常のどんな瞬間に魔法に気づきましたか?

森川:今がまさにそうですよね。こうやって『おジャ魔女ドレミ』好きの女子3人が集まって、憧れの作品に参加できるなんてすごい奇跡だなと思うんです。これも魔法じゃないけど、魔法みたいに素敵な出来事じゃないですか? こんなふうに日常の至るところに幸せってあるんだなって、台本を読んであらためて感じました。

――ちなみに今回のアフレコは3人同時に行われたそうですね。

松井:私たちの収録は3日間かけて行ったのですが、そのなかに本読みも含まれていたので、今回の収録はかなり濃い時間を過ごしたなと感じています。でも、そんな時間を3人で共有して、同じ目標に向かっていくと、心理的な距離ってすごく近くなるんだなって。なんか合宿しているみたいな感覚もありました。
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百田:本当に朝から晩まで3人でずっとやっていましたよね。合宿って例え、めっちゃ分かります(笑)。

森川:個人的にアフレコは集中力との戦いって感じでしたね。普段やっている実写のお芝居はセリフを覚えて現場に行ってという感じなのですが、アフレコの場合は頭の中にセリフが入っているのは前提で、現場では画面を見ながら台本も見て、おまけにタイムを気にしながらキャラクターの口の動きに合わせて喋らなきゃいけない。もういろんなことが重なって“パニック!”みたいな(笑)。
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百田:えぇ~、すごく落ち着いているように見えてた!

森川:全然落ち着いてないです(笑)。しかも私、画面に小さく表示されているタイムが見えづらくて余計苦戦しちゃって。

百田:私なんて気づいたら自分が言うセリフが通り過ぎちゃう状態だったから、めちゃくちゃご迷惑かけちゃったなと思います(笑)。今までも声優として作品に参加したことはあるんですが、3人一緒でのアフレコというのは今回が初めてで。だから戸惑うことも多くて、ブースの外から監督に「あれ? 今違う声が入っていたけど……」と言われて、心の中で「絶対私だ……」みたいな(笑)。それで恐る恐る「ちょっと……声が……入っちゃいました……」と自分から申し出るんですが、それでも皆さん優しく接してくれるので、楽しく収録することができました。
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

――森川さんは実写のお芝居と比較してみて感じたことはありますか?

森川:声で感情を伝えることの大切さを学びました。たとえばお芝居だったら少し口角を上げるだけで、うれしいという感情が伝わりますが、アニメだとそれができない。普段やっているお芝居で声だけで気持ちを表現するというのはまったく経験のないことだったので、そこは難しかったです。
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

――その学びを今後どのように活かしていきたいですか?

森川:たとえば無表情の女の子の役だったら、セリフ自体は少ないけども話す声のトーンやスピードを変えることで、観ている方たちの印象もだいぶ違ってくると思うんです。今回の経験で学んだことを活かせる役がまわってきたら、ぜひ活用したいですね。

「“推し”がいる生活って素敵だな、というのをこの映画で改めて感じました」(松井)


「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

――それぞれが演じた役とご自身の間に共通する部分はありましたか?

松井:ミレさんの仕事に生きる姿勢は、すごく自分と似ているなと思いました。私もお仕事が大好きで、忙しい方が性に合っているというか、むしろ休みの日があると不安で体調が悪くなっちゃうんですよ(笑)。あと、『おジャ魔女どれみ』の聖地巡礼をしているとこなんかも理解できます。私もアニメが大好きで、“推し”の作品の舞台になった場所によく行ったりするんですよ。ワーカホリックで何か好きなものがある、っていうのは自分と一緒だなって。

百田:レイカちゃんって見た目がラフな感じの子なんですが、私も地元にいるときはこんな感じで歩いているな~って思います(笑)。髪の毛はテキトーに結んで、服装は楽ちんなパーカーにジーパン。あと、物語では3人の中で一番年下という設定なんですが、自分が年上の方たちと一緒にお仕事をしているときの接し方に近いなと感じました。

森川:私もソラちゃんと一緒で思っていることはたくさんあるけど、意外と口に出さないタイプなんです。けど、いざというときは「ミレさん良くないです!」みたいな感じでスッと言えるので、ソラちゃんは自分と似ているなと感じました。

――この作品を楽しみにしている大人の女性ファンに見どころをお聞かせください!

森川:大人になると自分の生活範囲が出来上がってしまっているので、友達もできにくいじゃないですか? でもこの物語のように大人になっても好きなものが一緒だと、あらゆる垣根を超えて一気に仲良くなれるんだなと感じます。そうやって好きなもので通じ合えるって素敵だし、大人の友達作りの参考にもなる映画だと思うので、ぜひ大画面でこの感動を体験してほしいです。
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

百田:たしかに好きなもので通じ合えるっていいですよね。この映画だと3人は性格も年齢も職業もバラバラなのに、『おジャ魔女どれみ』という共通の話題によって、出会い、旅に出て、仲を深めていく。そんな現実世界で起こった“魔法の物語”からは、きっと大人の女性も勇気をもらえると思います。
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

松井:私自身がオタクなので、この3人のように好きなものがあって良かったなと感じています。この映画を観るとあらためて、「“推し”がいると生活がこんなにも豊かになるんだな」と考えさせられるんですよ。そもそも3人の出会い自体が控えめに言っても、“推し”が与えてくれたものじゃないですか? そういうことに思いを馳せながら観ると、「“推し”って自分の人生をこんなにも希望をもたらしてくれているんだな」と幸せな気持ちになれます。
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

百田:それだと映画の見どころとちょっと変わってきちゃうような……(笑)。

松井:でもそれくらい好きなものがある、打ち込めるものがある、そしてさらにそれを共有できる友達がいるのは素晴らしいことだとこの映画では教えてくれるので、ぜひ皆さんにも「“推し”がいるって素敵だな」という気持ちを体感してほしいです!
「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

(※本記事の取材は2020年の3月上旬に実施)

作品情報


「アニメの楽しさを教えてくれた作品」森川葵・松井玲奈・百田夏菜子が語る“おジャ魔女どれみ”の魅力

『魔女見習いをさがして』
公開:2020年11月13日(金)全国公開
配給:東映
声の出演:森川葵 松井玲奈 百田夏菜子(ももいろクローバーZ) 千葉千恵巳 秋谷智子 松岡由貴 宍戸留美 宮原永海 石田彰 浜野謙太 三浦翔平
原作:東堂いづみ
監督:佐藤順一 鎌谷悠
脚本:栗山緑 音楽:奥慶一
キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦
プロデューサー:関弘美 
アニメーション制作:東映アニメーション
映画公式サイト:https://www.lookingfor-magical-doremi.com/
(C)東映・東映アニメーション

ストーリー


「ねえ、大きくなったら何になりたい?」

教員志望でありながらも、自信をなくして進路に戸惑う大学生・長瀬ソラ(名古屋)
望んだ仕事についたものの、職場になじめず葛藤する帰国子女の会社員・吉月ミレ(東京)
夢に向けて進学費用を貯めるも、ダメ彼氏に振り回されるフリーター・川谷レイカ(尾道)

年齢も性格も住んでいる場所も……なにもかもが違う三人。しかも、それぞれ思い描く未来が見えず、人生に絶賛迷い中! そんな彼女たちを引き合わせたのは“おジャ魔女どれみ”!?

かつて魔女見習いたちが集っていたMAHO堂――鎌倉にある洋館での運命的な出会いをきっかけに、三人は飛騨高山・京都・奈良と「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地を巡る旅へ!笑って泣いて支え合って、かけがえのない時間を過ごした三人は改めて気づく、いつもどれみたちがそばにいてくれたことに。そして魔女見習いたちに背中を押され、踏み出した先に、素敵な世界が広がっていた――。