歌手の橋幸夫が20日、アルツハイマー型認知症と診断されていたことを公表した。所属事務所「夢グループ」の石田重廣社長が都内で記者会見を行い、明らかにした。

今後も芸能活動は継続するという。

 都内の事務所で取材に応じた石田氏は「昨年の夏頃にスタッフが『橋さんの言葉がおかしい』と。『何度も同じことを言う』と伝えられた」と告白。同時期に行われた夢グループの20周年コンサートで共にステージに立ったといい、「10秒立たずして『20周年おめでとうございます』と繰り返した」ことで異変を感じたという。

 当時は「歌はしっかり歌えた」というが、今年1月頃からは「歌も忘れ始めた」と説明。「橋さんがショックだったのが、同じことを繰り返すことでお客さんが笑うことだった。そこから(石田氏が)橋さんと一緒に(ステージへ)入るようにしました」と明かした。現在、MCは石田氏がサポートし、進行しているという。

 今後は体調を見ながら活動を継続する。数日前に橋から「社長、みんなに迷惑掛けているならしばらく休む。俺、分からなくなっちゃうんだ。みんなに迷惑掛けてるなら、俺休むから」と伝えられたというが、医師の助言もあり「何もしない生活にすればあっという間にガタガタと(症状が進行)するんじゃないかと。

それならば皆さまに知ってもらって、こういう状況でも頑張っていくとした方が良いんじゃないかと思いました」と休養の選択はしなかった。橋に休む必要はないと伝えると、喜んでいたという。

 しばらくの間は本人の意思を尊重しながら、夢グループの20周年コンサートに出演する。「声は全くもって衰えていない。音程は違わない。そのような状況なのに音楽が流れると元の橋幸夫さんに戻る」とした上で、「不自然な動きを理解してくれとは言いません。橋さんの歌は素晴らしいものがたくさんあります。(ステージの出来栄えは)50%、30%かもしれませんが、できるだけ(症状の進行を)食い止めることができればなと思います」と願った。

 報道陣に配布された診断書によると、橋は2020年頃から物忘れが目立つようになり、22年に病院を受診。その際に軽度のアルツハイマー型認知症と診断されたという。

 その後も症状が進行し、23年11月には「右頭頂葉脳梗塞」を併発。一週間、入院した。

さらに、昨年の12月に受診した際には中程度のアルツハイマー型認知症との診断を受けた。

 橋は80歳の誕生日だった2023年5月3日に、老化と喉の筋力の衰えを理由に歌手活動を一時引退。しかし、翌24年の4月に引退を撤回し、歌手活動を再開していた。

 ◆橋 幸夫(はし・ゆきお)1943年5月3日、東京・荒川区生まれ。82歳。呉服屋の9人きょうだいの末っ子として誕生。60年「潮来笠」でデビュー。日本レコード大賞新人賞、NHK紅白歌合戦初出場(通算19回出場)。62年「いつでも夢を」、66年「霧氷」で2度のレコード大賞。舟木一夫、西郷輝彦さんと共に「御三家」と呼ばれ、一時代を築いた。2017年に凡子夫人と離婚。18年に一般女性と再婚。

血液型A。

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