多部未華子「私の家政夫ナギサさん」かつても“お母さん”だったナギサのココロを今メイがキレイにした7話
イラスト/ゆいざえもん

ナギサさんとメイの絆が強くなった 「私の家政夫ナギサさん」7話

火曜日の癒やし『私の家政夫ナギサさん』(TBS系 毎週火曜よる10時〜)第7話の途中、提供ベースで、「#わたナギ働く女子あるあるをご紹介!」として「トイレの個室が唯一休まる場所」「冷凍食品ばかりのお弁当も、れっきとした自炊だ」という一文が出てきた。やっぱり「ナギサさん」は私たちの味方である。

視聴率は16.6%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)とさらに上昇。
スーパー家政夫ナギサさん(大森南朋)優秀MR・メイ(多部未華子)のコンビ、無双。「北斗の拳」で言ったら「退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!」といったところか。このまま最終回まで突き進んでほしい。

「ナギサさん」の魅力は “いやなことがほとんどなくて癒やししかない”という世界。毎週、ナギサさんの作り上げるクリーンであたたかい空気にメイが癒やされていくのと同じく、見ているほうも一流テクのマッサージの受けたあとのように身も心もすっきりできる。

ところが、火曜の夜は週の後半を乗り切るためのリラックス時間と思って、うきうきチャンネルを合わせたら、7話はちょっと違っていた。

ふんわかした世界にいきなり影が。ナギサさんの過去――お母さん 瑞枝(岩本多代)の闘病、後輩MR 箸尾(松本若菜)が仕事のし過ぎでメンタルをやられてしまうというエピソードが描かれたのだ。メイが新プロジェクトにはりきっている姿に、ナギサさんがやけにナーバスになって、しつこく気にかけてくるようになった理由は、ナギサさんが過去の自分を後悔しているからだった。

第6話の終わり、メイが新プロジェクトのプレゼンのために訪れた病院に、メイの忘れ物を届けにきたナギサさんの様子がおかしくなった。得意の家事がおろそかになった挙げ句、急に休みを申し入れる。すべては、病院にいた女性に原因がありそうと心配したメイは、謎を解こうと行動に出る。


ナギサさんの過去がついに明らかに

メイが突き止めたナギサさんの過去――ナギサさんはかつて病気の母親のために、未経験から短期で優秀なMRになったが、仕事が忙しくなってしまったため、見舞いになかなか行けなくなってしまうという矛盾に悩んでいた。

その頃、彼にあこがれてMRになった後輩・箸尾にも、ナギサさんはメイに対するように「お母さん」のように接し、癒やしの存在になっていた。だが、母のこともあって、頑張り過ぎてストレスを溜めている箸尾のケアが行き届かないまま、彼女はピークに達して倒れてしまう。

ナギサさんとお母さんとの別れ、最初明るかった箸尾がどんどん追い込まれてしまうシーンは胸が締め付けられ、今回、ちょっと癒やされないぞ……と不安になったが、大丈夫、やっぱり「ナギサさん」の特性は健在だった。その回のうちに問題は解決、最後は気持ちのいい風が吹くような笑顔で終わった。

「ナギサさん」のキャッチコピーは「おじさん、とっ散らかった私のココロもキレイにして!」なのだが、今回は、メイがナギサさんのとっ散らかったココロをキレイにしたのであった。こうして、ナギサさんとメイは「信頼」という絆を強くしていく。

ちょっとだけ細かいところをチェックすると、箸尾さんに関してはナギサさんが考え過ぎだったんじゃ……というところもあった。というのは、箸尾さんには彼がいて、倒れてしまったときにはその人が病院に運んでいったというところ。つまり、ナギサさんがそんなに彼女に責任を負うこともなかったのである。

そして、志半ばにして仕事を辞めた箸尾は、その後の人生をちゃんと豊かに紡いでいた。余談だが、箸尾は結婚したのになぜ旧姓で通しているんだろう?

さらに細かいところをチェックすると、メイはかなりハードルの高い新プロジェクトにリーダーとして携わっていて、最初の大事なプレゼンを準備不足で失敗してしまったにもかかわらず、ナギサさんの問題にクビをツッコんでいる。そんな余裕があるのか気になるし、もっと気になったのは、後輩の天馬あかり(若月佑美)瀬川(眞栄田郷敦)が会社に残って仕事をしているとき、メイは外回りからそのまま帰宅して、あかりとLINEで連絡をとっていること。
フリー人生の長い私は会社員経験がほとんどないので常識がわからないのだが、リーダーとしてそれでいいんか(大地真央ふうに)。

多部未華子「私の家政夫ナギサさん」かつても“お母さん”だったナギサのココロを今メイがキレイにした7話
第8話は8月25日放送。画像は番組サイトより

自分を信じ切った安心感のある多部未華子

メイはいろんなことをほったらかしている。結婚を前提に交際を申し込まれている医者・肥後先生(宮尾俊太郎)への回答は保留中。田所(瀬戸康史)の明らかな好意も曖昧にしている。仕事も後輩たちに任せ、ほったらかして夢中なのはナギサさんのことを詳しく知ること。

休みをとったナギサさんの家に押しかけ、今日は私が食事を作りますと言って、うなぎをフライにしたものを作るなどとんちんかん。でも、それが憎めないのがメイ。「助けたりしません。弱みを握るんです」と目を丸くして主張する表情は最高。箸尾を見つけてきて「私、仕事早いんで」と自信満々なところも、ふふっと笑えてしまう。

多部未華子はしっかりと地面に根を張った植物のように悪気がない。誰がなんと言おうと気にしない、自分を信じきっている安定感がある。どんなことでも信じきっていればOKなのだと背中を押してくれるヒト、それが多部未華子。


メイの衣裳は、いつもふんわりフェミニンなものではあるが、胸元を決して出さない。Vネックの下はたいてい鎖骨が隠れるくらいの詰まりめな襟ぐりのインナーを着ている。極力肌を見せないところにメイの生真面目さ、清潔感が現れている。
(木俣冬)

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番組情報

TBS 火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』
毎週火曜よる10:00〜10:54

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/WATANAGI_tbs/
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