
賀来賢人と伊藤健太郎がゲスト出演 『親バカ青春白書』5話
『親バカ青春白書』(日本テレビ系 毎週日曜よる10時30分〜/以下『オヤハル』)。第5話(8月30日放送)では、脚本統括、演出の福田雄一が監督した映画『今日から俺は!!』からのゲストが復活。主役の賀来賢人と伊藤健太郎のふたりという豪華さであった。ふたりは朝のワイドショー「今日からワイド」という番組の司会者とコメンテーター役。さくら(永野芽郁)と寛子(今田美桜)がいまどきの大学生の恋愛事情を語っているのを見てコメントする。
彼がいないとさくらと寛子がコメントしたため、テレビを見ていた男たちがさくらにすかさず寄ってくる。当然ながら、追い払うガタロー(ムロツヨシ)。そのときムロは志村けんのアクションをキレのいい動きで完コピしてみせる。すばらしい。桑田佳祐のマネも披露した。
ノリノリで行くかと思ったら、『オヤハル』の4話からその片鱗が見えるのだが、バラエティー色よりもストーリーもの色を濃くしてきていて、5話では、より現代の若者の悩みにフォーカスしていく。
4話で元彼にストーカーのように追いかけられた美咲(小野花梨)はガタローとさくらの家に居候する。なんだか仲良い美咲とガタローにもやもやするさくら。
そうこうしていると、彼と分かれた寛子が畠山(中川大志)と付き合うと言い出し、さくらを驚かせる。
面倒だなと思いつつも、絶対的に自分の味方であった父がほかの、自分と同い年の美咲と仲良くしているのは複雑であろう。
温室育ちのさくらに試練が……と思いきや、寛子と畠山が付き合うのは寛子の作戦で、畠山とさくらが初デートすることになる。とびきりかわいくオシャレしたさくらにときめく畠山。だがしかし、当然ながらガタローが邪魔しにやって来る。
ガタローの叫びに胸熱く
そんなほのぼのしたドタバタをはさみつつ、たっぷり描かれるのは、YouTuberになった根来(戸塚純貴)の悩み。ネタが尽きてすっかりスランプになった根来。ついに更新が止まってしまった。それを心配したガタローは根来の部屋を訪ねる。畠山といい、根来といい、住環境がリア充(部屋が広いのはもしかして密を避けるため?)。行き詰まり、めちゃくちゃ荒れて、部屋を荒らしまくる根来。おバカな根来とはまるで違う暗い演技。気分を変えようと大掃除しながら語るガタロー。ガタローはかつてデビュー作が注目されたものの、その後、鳴かず飛ばずで今がある。
掃除によって、親に送ろうと思っていた300万円をYouTube仲間に盗まれたことが判明。300万円くらいいい、とあっさり諦めそうになるところがすごい。相当稼いだのであろう。
「一発屋バカにするんじゃねえ」
一作も書いてない者よりも一作でも世に認められたほうが価値はあるというような趣旨のことを熱弁するガタロー。
「毎日毎日、誰にばかにされても、ずっとずっと2発目目指してがんばってるんだ」
ガタローのこのセリフに心打たれた芸人、および芸人を目指す人もいるんじゃないだろうか。そして、このセリフによって、前半、ムロが志村けんのギャグのマネをしていた意味が出てくる。志村けんは一発屋では全然ないが、「へんなおじさん」などのひとつのギャグをずっとずっと続けてきた人だ。
次々新しいギャグを生み出すのもいいし、同じギャグをずっと続けていくのもいい。とにかく、外野の言葉なんて気にせず、自分の信じた道を確実に進んでいく。そういうことの大切さをガタローは感じ取らせてくれる。
『オヤハル』は若者の希望を拓くやさしい物語だった
一件落着のお礼に根来は料理を作る。実家が漁師の根来は魚を捌くのが得意。それはともかく、なんと『オヤハル』、ガタローという大人世代が若者と触れ合うことで、若者の未来の希望を拓くやさしい物語であった。
美咲は、ガタローの過去作を読破して、鋭い批評をし、編集者の才能を見せる。靴を履はきながらバタバタ歩く「にぎやかな舞」を鍛えるだけでなく、美咲の才能に気づくガタロー。
ガタローはガタローでもう一度、小説を書こうと思い、担当編集に電話する。4話で、最近のガタローは小説以外のことに力を入れていると感じると編集者にいわれ、打ち切りになっていたのだ。

若者たちも成長し、大人ももう一度輝こうとする。福田雄一ドラマといえば、状況を茶化すものという印象があるだけに、『オヤハル』がいい話に寄り過ぎて、若干調子が狂うのは私だけでしょうか(今回、福田は脚本を書かずに統括しているだけだからというのは要因のひとつではあると思う)。
また、余談ではあるが、ガタローの妻役の新垣結衣が麻生久美子に似てきた気がすると思うのも、私だけでしょうか?(「私だけでしょうか?」と問う、R-1グランプリ初代優勝者・だいたひかるのギャグより)
(木俣冬)
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番組情報
日本テレビ『親バカ青春白書』毎週日曜よる10:30〜
番組サイト:https://www.ntv.co.jp/oyabaka/