SixTONES、ジャニーズJr.時代最後のライブが映像化 手を繋いだ6人が潤んだ瞳で見たものは?
(c)Sony Music Labels

SixTONES『TrackONE -IMPACT-』レビュー

「俺たちが、ジャニーズJr.ー!」ーーライブのラスト、横一列に並んだSixTONES。マイクを使わずに叫び、ぎゅっと繋いだ手を高らかに上げた。
潤んだ瞳で見た景色に何を思ったのだろう。

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SixTONESのライブDVD/Blu-ray『TrackONE -IMPACT-』が10月14日にリリースされた。2020年1月4日から横浜アリーナを皮切りにスタートしたライブツアー。ジャニーズJr.として、最後のライブを収めたメモリアルな映像作品だ。

●2020年1月7日 横浜アリーナ公演最終日を完全収録
ランダムに横浜アリーナを照らす無数の青い照明。「SixTONES! SixTONES!」と会場からは待ちきれないファンのコール。暗転すると、それは悲鳴に変わった。

メインステージにはツアータイトル『TrackONE -IMPACT-』の文字。「Rollin'」のイントロにジェシーの声が重なると、会場の熱気は一気に増した。「横浜、声出せるか?」

煽りに全力で応えるオーディエンス。「SixTONES Live Tour, Let’s go!」の声で幕が下り、スモークの先には地上15メートルの高さに回転式ケージ。その中にメンバーの姿があった。
ジェシー、田中樹、京本大我、高地優吾、森本慎太郎と歌い継ぎ、最後に松村北斗が力を込めて叫んだ。「TrackONE IMPACT(トーンインパクト)、開幕ー!」。

曲間に「いくぞー!」という田中のかけ声で、6人が力を合わせてケージを回転させた。回数も速度もなかなかのもの。ツアータイトル“IMPACT”に違わぬ演出だ。6人の力で自転、ケージがゆっくりと降り、ステージへメンバーを放った。しばし佇み、行く手を見極めるかのような鋭い眼差し。まるで彼らの境遇を表現したかのよう。

続いて、「JAPONICA STYLE」。演出、衣装も相まって迫力が増し、よりラグジュアリーに。早くもステージが狭く感じた。曲間の「今日はたっくさん声出させてやるよ!」との松村の言葉に再び悲鳴があがった。
開始わずか9分、2曲目でこの煽られよう。

3曲目「 "Laugh" In the LIFE」では弾ける笑顔をみせながらセンターステージへ。ファンに接近しながら、気持ちよさそうに歌い踊るSixTONES。続く「RAM-PAM-PAM」では、セクシーな露出を交えながら色気たっぷり。見惚れていると、田中の背中越しから激しい腰つきで迫る松村。挑発するようなダンスに危険な視線。ひと時も油断ならない刺激的なステージが続く。

●彼らの軌跡とリンクする「NEW WORLD」
スリリングなステージから一転、「NEW WORLD」へ。セットリストでも感情を揺さぶってくる。会場に背を向け、拳を突き上げて“6”を指でカウント。ジェシーに続き、森本の優しい歌声に引き寄せられた。

サビ終わり、<夢の先目指せ We got a STONE>をジェシー、松村、京本がそれぞれのパートで、メッセージを伝えるように歌い上げた。
<全て無駄じゃない過去も糧に Over the top>田中の訴えるような熱いラップ。<あの日の偶然の出会いから>目を閉じて、感情を込めたジェシー。<夢の先目指せ>手の振りに力を込めた高地が頼もしい。

目まぐるしくポジションを変える息の合ったパフォーマンス、彼らの軌跡とリンクする歌詞、気持ちを込めた歌唱。メンバーと変わらぬ熱量で揺れるペンライト。カメラワークによって束ねられた会場の一体感に胸が熱くなる。

デビューを2週間後に控え、この公演がジャニーズJr.としての最後のステージ。ドラマ共演を経て、一時は離れ離れになったが、それでもこの6人が集まった。ジャニーズJr.として数々のステージに立ち、CDデビューを掴むまでには正直もどかしい日々もあった。それでも前を向き、目の前のことに向き合ってきた。そんな彼らの姿が重なり、胸に迫るものがある。

●これで見納め…ジャニーズJr.ならではのステージ
ジャニーズJr.ならではのステージとえいば、「SUN BURNS DOWN」から、「RIGHT NOW」「Battery」「THE D-MOTION」「KEEP GOING」のセクション。
Jin Akanishi、KAT-TUN、SMAP、V6の楽曲からエッヂの効いたEDMをチョイス。

オリジナルの世界観を踏襲しつつも、安定した歌唱力とダンススキル、キャラクターに裏打ちされたSixTONESの世界観をくぐらせる。聴き込んだはずの楽曲も表情を変え、音楽やライブの楽しさを改めて教えてくれた。

マスクにサングラス、メンバーカラーの照明と演出が冴え渡り、激しいダンスではなく存在感に圧倒されるシーンも。ラグジュアリーな衣装で花道を踊りながら進む姿は、まるでメンズコレクションのランウェイのよう。散々カッコいい姿をみせておきながら、「らびゅ~」。このギャップはズルい……。

●本編ラストからアンコールの最後の最後まで濃密
笑いに溢れるMCや「Mr.ズドン」など、笑ったり叫んだり、オリジナル曲を交えながら楽しい時間が流れた。

そして本編の終盤。さっきまでのハイテンションとは打って変わり、静寂の中、メンバーひとりひとりが胸の内を吐露。デビューに至るまでの苦悩や葛藤を、自分の言葉で伝えるからこそ重みがある。全てを包むかのようにファンの拍手が響いた。


SixTONESとファンの最高の旅の始まりとして、デビュー曲「Imitation Rain」を披露。SixTONESには、メッセージ性の高い楽曲が多い。彼らのリアルな姿とリンクする歌詞を心を込めて歌う。魂の歌唱は何度も何度も胸を打つ。

本編を終えると、会場からはすぐさまSixTONESを求める声。その気持ちに応えたSixTONES。アンコールでは、京本がこう切り出した。「今日さ、最後…わがまま言っていい?」。ここからさらに濃密な時間が流れた。

初回盤には、特典映像としてビデオコメンタリーが付属する。メンバーは瞳を輝かせて映像を眺めていた。「JAPONICA STYLE」では、森本が「カメラワークいいね!」と切り出せば、ジェシーが「カメラさん、今日いないの?」、田中も「お礼したいんだけど」。
松村は「俺らってさ、動きとかさ振りもちょっと少ない方じゃん。だからカメラワークに助けられるんだよね、いっつもね」。

寄りと引き、上下左右…様々なアングルから捉えた映像からは、メンバーの目の輝き、流れる汗、潤んだ瞳……細かな表情が見られる。ついさっきまでの笑いに溢れたムードから一変。真剣な面持ちで見守った「Imitation Rain」。しばし無言で見入るメンバー。松村が口を開き、この曲を歌っているときの心境を語った――。

10年以上にも及ぶジャニーズJr.時代に終止符を打ち、掴んだデビュー。終わりと始まり、SixTONESのまたとない時を収録した『TrackONE -IMPACT-』。笑ったり、一緒に歌ったり、何度も惚れ直して、時には涙……。最後の最後まで容赦なく心を揺さぶるSixTONESのステージ。

ラスト、両隣のメンバーと手を繋いだSixTONES。手のひらを合わせるのではなく、指を絡めた“恋人繋ぎ”。そんなところも最高に愛おしい。
(柚月裕実)






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