
『私をくいとめて』脳内相談役A=中村倫也が“声で”サプライズ登場
ロングランを記録した『勝手にふるえてろ』の、原作=綿矢りさ×監督・脚本=大九明子のゴールデンコンビで贈る、映画『私をくいとめて』が大ヒット公開中。このたび、本作の公開記念舞台挨拶が行われ、のん、林遣都、臼田あさ美、若林拓也、片桐はいり、橋本愛、大九明子監督が登壇した。【関連記事】のん主演『私をくいとめて』初めて見せる表情が随所に 俳優のんの最高値・一人上手のみつ子
上映終了後の熱気が冷めやらぬ中、盛大な拍手に包まれながら、豪華キャスト陣、監督が入場し、一言ずつ挨拶すると舞台挨拶がスタート。

さらに、(Aの声の)収録ではのんも現場に赴き、実際に対面で掛け合いをしながら収録が行われたそうで、「待ち時間にスタッフさんが録音したAの声で会話してくれたりもして……楽しく撮影ができました。とても良い声でした!」とニッコリ。
みつ子が想いを寄せる年下男子・多田くんに扮した林遣都は、今回が“大九組”初参加。現場でのエピソードを聞かれると、「撮影が終わった後にアフレコ収録があったのですが、いきなり歌を覚えてきてほしいと言われたり、撮影現場でも突然『“ざっぱーん”と言ってみて』と言われたり……(笑)意外なリクエストが多くて、どういうシーンになるのだろうというワクワクがとまらなかったです」と回顧。
さらに特に印象的だったというのが、みつ子と車で買い物に出かけるシーンだったという。「駐車場でのシーンで、監督に急に『(車で)走り回って!』と言われて。びっくりしましたが、自分の中でかみ砕きながら、こんなことができるのは映画ならではだなと思い、楽しみました」と冗談交じりに語り、笑顔をみせていた。

今回初登壇となるのが、臼田、若林、片桐の3名。臼田はみつ子の先輩・ノゾミさん役を、若林はクセの強い存在感を放つ若手社員、通称“カーター”役をそれぞれ熱演。風変わりなキャラクターを演じた両者へ役作りについて質問が及ぶと、ノゾミさんを演じた臼田は「原作でノゾミさんは“イケメン祭り”に行くこともあるくらいの大のイケメン好き。
さらに「大九監督から、食堂でカーターを見かけて急いでお味噌汁で口の中をすすぐという、あまりお上品ではない面白い演出もいただきました(笑)」とぶっちゃけ、笑いを誘う場面も。
そんな臼田演じるノゾミさんに熱烈な想いを寄せられるカーターに扮した若林は、「カーターの風変わりな性格を動きで表現できるように、撮影ではモデル歩きを意識しましたね。僕も高校時代にカッコつけて歩くことが多かったので(笑)、そのころを思い出しながら演じてみました。そういう風に役を膨らませながら作っていくのがすごく楽しかったです」と振り返り、充実な撮影ぶりを明かした。

一方で片桐は、みつ子の“イカした”上司・澤田役で出演。映画オリジナルのキャラクターとして登場する片桐は「バリバリ仕事もできて、(みつ子の)憧れの上司みたいな役どころですよね」と役どころを説明しつつ、撮影について「のんさんとは長いお付き合いで、親戚みたいに応援しているのですが、あののんさんが30歳の役を演じる、そしてその上司役というところで、いろんな感慨もありましたね」としみじみ回顧。
さらに「(澤田の役どころには)監督の30歳を前にひとりで海外を旅したというエピソードが付け加えられているので、モデルは大九明子だと思い演じていました(笑)」とジョークを飛ばし、会場を盛り上げる。
そんな片桐に、「私がモデルということはまったくないです!」と笑いながら否定しつつも、「みつ子が年の離れた上司と話すときに、知らなかったことを聞いて“へぇ”となるようなシーンを作りたくて、完全に澤田役は片桐さんをイメージして当て書きしていました」と裏話を告白していた。
さらに、みつ子の親友・皐月役についても、“妊婦”という映画オリジナルの設定が。「みつ子が“おひとりさま”の半径を広げるとき、親友がちょっと想像とは違う感じに変化していたら(みつ子は)どうなるだろうと思い、皐月に重要な役割を担ってもらいました」という監督の想いが込められていたそう。
橋本は、「映画では、(皐月の)妊娠をきっかけに、30歳を超えた女性同士特有な独特の感情がにじみ出てくるシーンが、原作とは違う観点から考えなきゃいけないなと感じました」と撮影当初を振り返る。
さらに「原作ではあまり笑わないキャラクターとして描かれていますが、みつ子との気まずい空気や確信を突こうとする皐月の努力、みたいなものは笑顔なしで表現するのは難しいかなと思い、原作よりは少しにこやかになっていると思います」と明かすと、監督も「イタリアにいる家族に溶け込もうとしているときの顔と、安心できる親友に見せる笑顔の違いを、“少女みたいな笑顔”で見事に表現してくれました」と称賛していた。
そしてイベントでは、SNSでもその“美声”が大いに話題を集めていた、脳内相談役「A」のキャスティングもついに発表。「A」の声を演じた中村倫也が、役柄同様に「声の出演」でサプライズ登場!

脳内相談役「A」は、ちょっとした悩みやご近所トラブルにも正しいアンサーをくれる、みつ子の“心の拠り所“のような存在。もし「A」のような存在がいたら、どんな悩みを相談したいかという質問に、「私は話べたなのですが、初対面の人とも一瞬で仲良くなるのはどうしたらいい?って相談したいです!」と答えるのん。
そうのんが答えると、突如「あなたの悩みに私がスッキリ回答します」と答えるAの声が!「ゆっくりと”下手“を見てください。次に”上手“を見てください。ね? わかりましたね?」と”スッキリしない回答“に終わるも、「脳内相談役”A“の中村倫也でございます、こんにちは」とついに正体が明かされると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
まずは出来上がった作品について感想を求められると、「とっても楽しく拝見させていただきました。女性だけじゃなくて、男性の僕でも“ああ、こういうときあるなあ”と感じられる作品で。“僕自身の中にも脳内相談役Aはいるな“と思いながら、みつ子に寄り添う気持ちで観させていただきました」と回顧し、共感性の高い物語に魅力を感じていた様子。
さらに劇中に登場する脳内相談役Aの”実体“については、「むっちり白肌? そこは共通なのかな? そのシーンはですね、非常に笑わせていただきました。意外だったんじゃないですかね、みなさんも」と観客に問いかけ、会場の笑いを誘っていた。
そしてイベントの最後には、代表して監督が挨拶。「Aの正体もようやく解禁できまして、ようやく中村倫也の魅力を伝えられる! とホッとしています」と心境を吐露しながら、「世の中がウイルスに振り回されて、こんな状況がいつまで続くんだろうと非常につらいところではありますが、映画館ではそんな気持ちも忘れて、ほっこりゆったりした気分を楽しんでもらえたらと嬉しいです」とメッセージを送り、イベントを締めくくった。
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作品情報
『私をくいとめて』大ヒット公開中

出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛
原作:綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督・脚本:大九明子
音楽:高野正樹
劇中歌:大滝詠一「君は天然色」(THE NIAGARA ENTERPRISES.)
製作幹事・配給:日活
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
企画協力:猿と蛇
公式サイト:http://kuitomete.jp
(C)2020『私をくいとめて』製作委員会