
SixTONES 4thシングル全曲徹底解説
2月17日にSixTONESの4thシングル『僕が僕じゃないみたい』がリリースされる。【関連記事】SixTONES ジェシー、陽気なキャラと音楽に対する愛情が伝わる歌声で注目を集める24歳の素顔
2020年1月22日、シングル『Imitation Rain』で鮮烈なデビューを飾ってから早1年。2021年1月6日には初のフルアルバム『1ST』をリリースしたばかり。
4枚目のシングル曲はSixTONES初の映画主題歌に起用されたポップソング。2020年に築き上げてきたロックやクールな印象とは異なり、新たなジャンルへの挑戦が続く。
発売に先駆けて、表題曲「僕が僕じゃないみたいだ」をはじめ、通常盤(初回仕様あり)、初回盤A、Bでそれぞれ異なるカップリング5曲の全6曲を一挙にレビューする。
●「僕が僕じゃないみたいだ」
Music & Lyrics:SAEKI youthK
Arrangement:Naoki Itai / MEG / SAEKI youthK
メンバーの松村北斗と俳優の森七菜がW主演を務める、映画『ライアー×ライアー』(2月19日公開)の主題歌。ラブコメディ作品にぴったりの爽やかさと疾走感をまとったポップな曲調。一方、YouTubeで公開されているMVは、SixTONESならではのアーティスティックな世界観で、メンバーの歌唱と表情で、恋に揺れる心情を表している。一曲で映画、ライブ、音楽番組、MVと多面的に楽しめる。
【外部リンク】SixTONES - 僕が僕じゃないみたいだ (Music Video) [YouTube Ver.]
歌詞に<僕>と<君>が頻出する様子からも、周囲が見えなくなるほどの恋、自分を見失ってしまうほどの高まる思い、揺れる心情が伝わってくる。嘘をついたり自分を飾ったり誤魔化したり、衝動的な言動を素直に認めて俯瞰するも抑えきれない様子。
黒背景に映える白を基調にした衣装からは、潔白でありたい気持ちや始まりを感じた。鮮やかなグラフィックは、恋によって日常が彩られていく様子、相手色に染まりたい無垢な気持ちもあるのか。鏡に映る自分、襟付きのシャツからは、自分と相手に誠実であろうとする真っすぐな気持ちを表現しているかのよう。
ラブコメ映画の主題歌に相応しいポップな曲調だが、この先、年齢と共にメンバーの演じる役どころも少しずつ変化していくことを思えば、20代のいまだからこそ歌える楽曲と言える。
すでにライブ配信や音楽番組でも披露したように、今回はダンスを封印。フォーメーションも変わらない。足元に置いた花束で甘さを添え、歌唱と細やかな表情で恋心を表現している。大サビの<君といる時の 自分が好きなんだ それが本当の僕だきっと>透明感ある松村の歌声がすーっと耳に馴染んで印象を残す。
SixTONESのセンスが光るカップリング5曲
ここからはカップリングに注目していきたい。●通常盤「Call me」
Music: Christopher Golightly / Carlos K.
Lyrics: nana hatori
全編英語で綴られた歌詞をトロピカルR&Bに乗せた「Call me」。軽やかに進行していくようで低音が切なく響く。もどかしさを含んだ複雑な心境を歌声に重ねたエモーショナルな楽曲。
思いを寄せた女性の心には別の人が――ストレートに愛情を表現しているのは胸に秘めているから。許されるならば女性の手を引いて奪ってしまいたいくらい、そんな気持ちに鍵をかけて閉じ込めるように。「僕が僕じゃないみたいだ」に続く物語として受け取れなくもない。
特にBメロ<Is he true and honest to you?> 京本大我の高音からはもどかしさを、サビ前の<Remember, remember>と言葉を重ねた森本慎太郎の甘い歌声が切ない。
2番からはグラデーションするように心境の変化を感じる。<I'll be there to wipe your tears>と、こんな心優しい男性に想われたら幸せだろうと思うが、現実はそう上手くいかないのが恋か……。
ジェシーを筆頭に、英語詞の発音が滑らかで楽曲の世界に入り込める。
●通常盤「NEW ERA」(Japanized Rearrange)
3rdシングル「NEW ERA」のJapanized Rearrange。箏、十七弦、津軽三味線、尺八、和太鼓の和楽器とコラボした楽曲。ロックで疾走感溢れる「NEW ERA」から和の部分を膨らませたとある。和楽器をメインに用いることで、貫録のあるキリっとした輪郭が現われる。
2020年11月25日放送『音楽の祭典!ベストアーティスト2020』(日本テレビ系)で、「NEW ERA」の和楽器演奏とのコラボステージを披露した。演奏の横で舞うように踊り歌い、ラップを合わせる異色の取り合わせはSNSでも話題を集めた。
ギターの音とはまた違ったキレと力強さが宿る津軽三味線。箏、十七弦、尺八の個性的な音色と、和太鼓の低音の重なりで荘厳な趣に。
【外部リンク】SixTONES - JAPONICA STYLE[Official Music Video]
●初回盤A「Strawberry Breakfast」
Music:Josef Melin / Jimmy Claeson
Lyrics:MiNE / Atsushi Shimada
Arrangement:Josef Melin
世の中にはこんなにも素敵な朝の始まりがあるのか……。「Strawberry Breakfast」はパートナーとの二人だけの世界が広がる。二人による二人のためのスイートでハッピーな楽曲。
イントロのクラップ音に続いて「Uh, Wow, Uh, Wow,」と鼻歌のような陽気な始まり。弾むようなジェシーの歌声から田中樹、京本大我の伸びやかな歌声で高地優吾(「高」は正しくは“はしごだか”)へ。Bメロは森本。<二人の呼吸が混ざりあうだけで> 甘さの中に強さを感じる歌声に続いて、<溶けるくらいにSweet…>と、松村の甘くてセクシーな声が連なる。
サビはファルセットを交えながらメンバーのや歌声と歌詞が溶け合う。<主演女優賞をあげる Just for you>とストレートに思いを伝えてくれる。
2番の歌い出しが田中樹なのも新鮮で、2サビの終わりに続くラップパートも、これまでの凛々しいイメージとは違って甘さを含む。ラップの表現力の奥行きを感じた。
嬉しい言葉の数々に、頬が緩みっぱなし。甘甘甘……甘ーい、どこまでもスイートで泣けてくるほどの幸せな世界。メンバーのソロアングルを捉えた映像を脳内再生してしまうほど想像を掻き立てる、まさに“まるで映画で観るようなワンシーン”。憂鬱な朝にこそ聴きたい。そして主演男優賞はSixTONESだ。
●初回盤B「Bella」
Music & Arrangement:TOMOKO IDA / TSUGUMI
Lyrics:TSUGUMI / TOMOKO IDA
「Bella」(読み:ベーヤ)…Bellaとはスペイン語で“美しい”の意味。レゲトンに情熱的な歌詞が重なる大人のラブソング。カップリングで一気にクラブシーンへと誘う、この振り幅がなんともSixTONESらしい。
制作陣は「love u...」(『NAVIGATOR』通常盤収録)、「So Addicted」(『NEW ERA』期間限定盤収録/RAP詞は田中樹)、「Coffee & Cream」(アルバム『1ST』収録)を手掛けてきたTOMOKO IDA・TSUGUMI。これまでもカップリングやアルバムで展開しており、もはやシリーズ作品と呼べるほど。今後も継続して聴きたいジャンル・世界観であり、ステージ演出や衣装の楽しみを与えてくれる。
2020年は、SixTONESをはじめファンにとってもメモリアルな年だった。一つ年を重ねて、2021年の幕開けは初のフルアルバム『1ST』のリリースからスタート。そして4thシングル、松村の映画W主演、SixTONESの楽曲が初の映画主題歌に起用と、嬉しい知らせが続いている。
これまでのロックやヒップホップなどのエッジのきいたナンバーから、一転してポップソングを掲げた。また一つジャンルを広げたことで、SixTONESの輪郭を形作る挑戦となったのではないだろうか。
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柚月裕実
Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。
@hiromin2013