香取慎吾『アノニマス』自分の目で確かめることの重要さ訴える万丞の捜査力が光った6話
イラスト/ゆいざえもん

※本文にはネタバレがあります

善意のはずが…『アノニマス』6話<偽りの復讐>

SNSの誹謗中傷問題が加速する現代。PCやスマホなどキーボードによる殺人、“指殺人”の対策室を舞台にした『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』。第6話は「偽りの復讐」。
万丞渉(香取慎吾)の捜査が光った。

【前話レビュー】居場所を奪われ暴走する男性に共鳴した咲良に万丞が自身の苦い経験と想いを語る

数日前から匿名の中傷メールが送られてきたと悩む専門学校生・末松香(川島鈴遥)が指対策室に相談に訪れた。メールには恋人・椚総一郎(田中偉登)への中傷が書かれていた。

総一郎は大学野球で“イケメン王子”として注目を集める次期エース候補選手だった。やっかみによる嫌がらせかと思いきや、そのあとに続いたメールには、「全てを奪ってやるから覚悟しろ」と、脅迫ともとれる文章が。総一郎とも連絡がとれないという。


香取慎吾『アノニマス』自分の目で確かめることの重要さ訴える万丞の捜査力が光った6話
(C)「アノニマス」製作委員会

ところが、香から話を聞いている最中に、総一郎が拉致監禁されたとの情報が。その一幕は、動画サイトを通じて生配信され、SNSでも注目を集めた。

犯人は、「午後2時までに場所を特定できなかったら……」と、総一郎の身の危険を匂わせた。誹謗中傷の相談のはずが監禁事件へと急転した。

「あんな配信をしたりタイムリミットで煽る目的はなんだ」ーー誹謗中傷メールに始まり、犯人による動画、拉致実行犯を特定するかのような情報、次々と有力な情報が流れてくる状況を訝しむ万丞。碓氷咲良(関水渚)と共に香から詳しく話を聞いたのだが、万丞の目は、これまでとは違う鋭さがあった。
真剣な眼差しの中にも厳しさがある目つき。腕を組む姿からは、香を疑うわけではないが信用しているでもない心境が伝わってきた。

情報が相次いで流れてくるなか、相談に訪れていた香もまたSNSで「拡散希望」の言葉を添えて総一郎に関する情報提供を呼びかけていた。

香取慎吾『アノニマス』自分の目で確かめることの重要さ訴える万丞の捜査力が光った6話
(C)「アノニマス」製作委員会


タイムリミットに加えて、アノニマスが指対策室にいないとも限らないと、警察内部から疑いの目を向けられていたこともあり、いつもに増して躍起になっていた指対メンバー。「バカにしやがって…」とこぼした四宮純一(清水尋也)は特に、だった。公式SNSに、裏K察に投稿された拉致の瞬間を捉えた映像を流して情報提供を呼びかけた。
裏を取れとは言うが、裏は裏でもその“裏”じゃない……。

四宮は一刻を争う状況、信憑性が高いと判断して投稿に踏み切ったという。「市民の善意に頼って何が悪い」という四宮の主張に、「犯人の目的が不明なんだ!」と声を荒げた万丞。

香取慎吾『アノニマス』自分の目で確かめることの重要さ訴える万丞の捜査力が光った6話
(C)「アノニマス」製作委員会

あまりにも出来過ぎていると疑いの目を持つ万丞。いくらネットで有力な情報が得られたとしても、あくまでも他人が切り取った情報。事件は人が巻き起こしたものであり、思い当たる場所に足を運び、自らの目で確かめるーー綿密な情報収集に想像力、洞察力……捜査一課での経験の賜物、そしてポリシーなのだろう万丞の捜査力が光った。


自分の目で確かめる

「自分の目で確かめてもいないことを、真実だと言い切れるんでしょうか」

動画サイトで生配信を行った香。「みなさんは善意でその情報を拡散してくださったのかもしれません」と善意について感謝したものの、もう一つの目的を果たそうとした。香の訴えに、チャットでは「おまえだってウソをついて日本中に迷惑をかけた」「その話も眉唾モンだな」なんてコメントが寄せられていた。

香取慎吾『アノニマス』自分の目で確かめることの重要さ訴える万丞の捜査力が光った6話
(C)「アノニマス」製作委員会

香は悲しい過去を押し殺し、背負いながら生きてきたことを思うと胸が痛んだ。正義も善意も、情報の取り方を間違えたり行き過ぎたりすると仇となる。積年の恨みが正義感を加速させた一方で、香が声をあげたことによって救われた人もいたのも事実。終盤、暴走した香を厳しく諭した万丞。
短くも真理をついた言葉が残る。

善意を巧みに利用した側面を持つ今回のテーマ。実際に起こった例だと、まだSNSが浸透して間もない頃に時々みられた人探しもその一つだろう。「探しています」と、人物の顔写真と共に捜索協力のツイートが拡散されたのだが、追って流れてきたのは加害者によるなりすまし説。公的な手順を踏んでいないものの中には、加害者が身内を装って情報を流しているケースもあるのだ。一連の流れをリアルタイムで目にした時にはぞっとした。


香取慎吾『アノニマス』自分の目で確かめることの重要さ訴える万丞の捜査力が光った6話
(C)「アノニマス」製作委員会


香取慎吾『アノニマス』自分の目で確かめることの重要さ訴える万丞の捜査力が光った6話
(C)「アノニマス」製作委員会

全てを自分の目で確かめることは難しく、見えたものが全てとは限らないが、せめて情報を鵜呑みにせず正しい情報の取り方、物事の本質を見極める目を養っていきたいと思わされた。

さて、次回7話からはいよいよ最終章へ。今回、香を突き動かしたように、詳細な情報と共に正義を問うアノニマスとは一体何者か。「あなたにとって正義とはなんですか」ーー以前、「anonymous@dwws com」のアドレスから届いたメールを再び眺める万丞。ついに返信をした。

最終章ではアノニマスとどう接触を図るのか、次回から大きく展開しそうだ。

【関連記事】『アノニマス』4話 衝撃のラストシーン 倉木は生きていた…… だが、その目に光はなく…
【関連記事】『アノニマス』3話 回を追うごとに明かされる万丞の熱い胸のうち
【関連記事】『アノニマス』2話「未来はいくらでも書き足すことができる」万丞(香取慎吾)の言葉が亜里沙の背中を押す

※第7話のレビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターにてお知らせします

●第7話あらすじ
社員をパワハラで自殺に追い込んだブラック企業だとの噂で大炎上したある食品会社。そのSNSに「罪を告白しないなら爆破する」という爆破予告が届く。万丞渉(香取慎吾)らが突き止めた予告犯・小柳祐平はアノニマスの信望者だった。するとアノニマスから裏K察に新たな動画が投稿される。「次に告発するのはこの国最大の巨悪・警察」。同じ頃、万丞は刑事部長・城ケ崎明文(高橋克実)から、アノニマスの正体を突き止めるよう指示を受けた……。

――番組公式サイトより


番組情報

テレビ東京系
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
毎週月曜よる10時〜

出演:香取慎吾(プロフィール)
関水渚(プロフィール) MEGUMI(プロフィール) 清水尋也(プロフィール) 勝村政信(プロフィール) シム・ウンギョン(特別出演)(プロフィール) 山本耕史(プロフィール)

監督:及川拓郎(プロフィール) 湯浅弘章 大内隆弘
脚本:小峯裕之 玉田真也 入江信吾
音楽:山下宏明 丸橋光太郎

制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
(C)「アノニマス」製作委員会

番組サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/


Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

関連サイト
@hiromin2013