
もうちょっと専科のみんなの学びを見ていたい『ドラゴン桜』第8話
今シーズンのドラマの中で抜群の安定感を誇る日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS / 日曜よる9時〜)第8話。【前話レビュー】『ドラゴン桜』大事なのは情報――東大試験でも、人生でも。汎用性ある桜木の喝が心に響いた第7話
夏目前、龍海学園の周辺は統合型リゾート計画のためにすでにほとんど買い占められていた。
せめて全員合格させて自身の評価を上げるしかない。「もうすぐ夏が来るんだ」と焦る桜木。夏を制する者は受験を制す、とよく言われる。専科の暑い夏、桜木は生徒たちに自主学習させる。「自分で乗り切った経験は力になる」。

東大入試のノウハウはそれなりに説得力があるように感じるのだが、土地売却のことや、桜木にその情報を海外のサーバー経由で誰かがメールして来ることなどはかなりざっくりとしている。理事長・龍野久美子(江口のりこ)もいつの間にか生徒思いの良い人になっていた。
5人合格したら理事長退任という契約書を先代理事である父・恭二郎(木場勝己)が作ったため、4人しか合格させないようにすればいいという意見に「あれだけがんばってる子たちの気持ちになってみなさい」と自分の立場よりも生徒を思う理事長。初回を見た時はこんな人とは思ってもみなかった。



『ドラゴン桜』はあくまで受験がメインであって、陰謀渦巻く企業ものはちょっとしたアクセントに過ぎないから、そっちのディテールを練ることは思い切って捨てているのだろう。
今日の特別講師は……「おまえらだ」
夏を前に、東大との距離を知ることを教える桜木と水野(長澤まさみ)。「目標点数−現在の点数=東大との距離」ってなんだか『先生を消す方程式』を思い出した視聴者もいるのではないだろうか。オーダーメイドの戦略を伝授し、今日の特別講師は……「おまえらだ」と言う桜木。他者に教えることで知識を理解して咀嚼し、使いこなすようになるためである。


その後は、自分たちだけでやれ。「この夏おまえらは本当の強さを身につけるんだ」と桜木は言い、岩崎楓(平手友梨奈)、瀬戸輝(高橋海人)、早瀬菜緒(南沙良)、天野晃一郎(加藤清史郎)、小杉麻里(志田彩良)、藤井遼(鈴鹿央士)、原健太(細田佳央太)の7人は、オーシャンキッチン「ブラックパール」で勉強に励む。夏休み設定でもあって、教室ばかりで飽きてしまわないように、舞台を少し変えてみる戦法であろうか。なぜか坊主の不良生徒・小橋(西山潤)と岩井(西垣匠)も参加して――。


他者の答案の採点をすることで、自分の弱点に気づくやり方を試していると、瀬戸は岩崎の大量のミスに気づく。岩崎の成績が伸び悩んでいるわけは、親のすすめによってバドミントンの強豪・日本ユニシスの練習に参加することになり、勉強と両立させようと必死になっていたから。練習していることは専科の人たちには秘密。
桜木いわく、夏が終わると、スポーツの試合を終えた学生たちも受験に参戦し、強敵が増えるという。そんな大事な時期に岩崎はバドミントンの練習までやっているのだから大変だ。親を失望させるのが怖くて岩崎は限界まで頑張り続け、とうとう倒れてしまう。

あっという間に2学期に
桜木に説得され岩崎は両親に東大に行くと告白し、東大もオリンピックも両方叶えると宣言する。桜木に言われたとおりに「親と縁を切る覚悟で話してるの」と言う岩崎は若干、桜木に洗脳されているような気もしないでない。岩崎は人の言葉に影響されがちなんだろう。とはいえ、思い込みの強さは受験にも役立つこともありそうではあるが……。平手友梨奈の一途な表情が胸を打つ。
やがて、あっという間に2学期に。共通一次まであと137日。小橋と岩井まで専科に参加することになって、専科の勢いが増していく。
(木俣冬)


【関連記事】『ドラゴン桜』第9話あらすじ 遂に共通テスト本番。そして桜木・水野に驚愕の真実が襲いかかる……

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番組情報
TBS日曜劇場『ドラゴン桜』
毎週日曜よる9時〜
出演:出演:阿部寛 長澤まさみ 高橋海人(King & Prince) 南 沙良 平手友梨奈 加藤清史郎 鈴鹿央士 志田彩良 細田佳央太 西山 潤 西垣 匠 吉田美月喜 齋藤瑠希 内村 遥 山田キヌヲ ケン(水玉れっぷう隊) 鶴ヶ崎好昭 駿河太郎 馬渕英里何 大幡しえり 深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.) 林 遣都 佐野勇斗 早霧せいな 山崎銀之丞 木場勝己 江口のりこ 及川光博
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(コルク)
脚本:オークラ 李 正美 小山正太
音楽:木村秀彬
プロデューサー:飯田和孝 黎 景怡
演出:福澤克雄 石井康晴 青山貴洋
制作著作:TBS
番組サイト:https://www.tbs.co.jp/dragonzakura/
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木俣冬
取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。
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ゆいざえもん
フリーで活動するグラフィックデザイナー・イラストレーター。得意としているファンアートは、透明水彩画や似顔絵で役者さん・舞台の魅力にアイデアを加えながら描いています。他にブランディングデザインやパッケージ・ウェブデザインなどを行う。宝塚歌劇が大好き。愛知県在住。
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